第65話 未確認飛行物体
7月4日——
大和第一艦橋。
「昨日のエービのてんぷらが最高だったのじゃ」
カルラはレイナを見て手を振った。
「また、食べたいですね」
レイナは微笑んだ。
タン、タン、タン、カチャ
階段を上る足音がした後、扉が開いた。
艦橋にミケケが上がってきた。
「昨日はよく寝たにゃ」
「レイナ、看病してくれてありがとうにゃ」
ミケケはレイナにお辞儀をした。
「ミケケさま、レディとして当然のことです」
レイナは胸を張る。
「レイナも一人前のレディにゃ」
ミケケは微笑んだ。
タン、タン、タン、タン、カチャ
ヴィヴィとナターシャも艦橋へ上がってきた。
「みんな、はやいのさ」
ナターシャが欠伸をした。
「みなさん、おはようございます。朝食はこちらです」
ヤマトヒメから葉に包まれたおにぎりと漬物、そして温かい扶桑茶が配られた。
「ありがとう、ヤマトヒメ」
ヴィヴィが元気よくお礼を言った。
私は軍帽を被りなおすと話し始めた。
「食べながら、聞いてください」
「今日からアスファルトとコンクリートを試製するため素材の回収に向かいます」
「まず、黒油島で重質油の回収——」
「次に、七群島で火山灰の回収です」
一同は頷いた。
「ではヤマトヒメ、黒油島へ針路をとってください」
「畏まりました。艦長」
「針路020、速力半速」
大和はゆっくりと動き出した。
◆ ◆ ◆
7月6日——
重質油を回収。
7月7日——
火山灰の回収。
「みんな、お疲れ様でした」
「あとはリヴィエラに帰還するだけです」
私は軍帽を脱ぎ、微笑んだ。
「今回は楽しかったね。また桃姫島に行きたいよ」
「今度はさ、桃姫島をあたしたちの島にするためにさ——」
ナターシャはヴィヴィに桃姫島整備計画について話している。
その時——
「艦長、距離40000に未確認飛行物体!」
「全長100メートル、本艦に向けて接近中です!」
「100メートルですって?」
(大型の古代竜?)
私は目を見開いた。
「高度は?」
「3000です」
「警戒態勢!」
私は指示を飛ばした。
艦橋に緊張が走る。
私は軍帽を再び被った。
「ヴィヴィ、ナターシャ、上空防御をお願い」
両者は頷くと露天艦橋へ上った。
「針路165、速力第二戦速」
「主砲に徹甲魔弾装填」
大和は未確認飛行物体を避けるように舵を切った。
「ミケケ、ふたりに防御魔法を」
「わかったにゃ」
「カルラ、スマホで撮影をお願い」
「任せるのじゃ」
ミケケとカルラも露天艦橋へ駆け上がった。
◆ ◆ ◆
「距離20000」
「未確認飛行物体は本艦に向けて針路を変更しました」
「映像出ます」
水晶球には、半円形状で灰色の物体が映し出された。
「こんなの見たことありません」
レイナは首を傾げる。
「距離10000」
「速力第三戦速」
「未確認飛行物体を識別のためユゥと呼称します」
「了解です。艦長」
私はマイクをとった。
「こちらはリヴィエラ海軍所属大和です。私達に交戦の意思はありません。貴艦の所属を教えてください。繰り返します——」
私の声がスピーカーを通して艦外へ響き渡る。
「距離5000」
「速力最大戦速」
「了解です。艦長」
「ユゥに動きがあります」
レイナは指さした。
ユゥの下腹部前方が少し開く。
そして——
ヴォォォォォン
大型の鉄槍が大和に向けて発射された!
続く




