第63話 川の字
カチャ、パタンッ
「これで片付けは終わり、あとは寝るだけね」
満天の星空とその中心に輝く月。煌めく星々。
私は星空を見上げた。
チャプン、チャプーン
(波の音と満天の星の輝き、ロマンチックだわ)
(星空の中に扶桑はあるのかしら?)
「歩哨はどうするのさ?」
ナターシャが尋ねる。
「この島には危害を加える存在がいるとは思えないけど——」
私は両手を組み思案しているとミケケが手を上げた。
「吾輩、眠くないにゃ」
「吾輩が歩哨しておくので、みんなは寝るとよいにゃ」
「ありがとう、ミケケ。でも、大丈夫?」
「心配ないにゃ、果実酒を用意してくれたらよいにゃ」
「わかったわ、ミケケ。お願いします。無理になったら私を起こしてね」
「わかったにゃ」
「月と星が綺麗にゃ」
トクトクトク
ミケケはコップに果実酒を注いで飲み始めた。
「ミサカさま、寝床の準備ができました」
レイナがテントから駆けてきた。
「わかりました」
私とナターシャはテントへ向かった。
「今日は楽しかったのさ」
「あたしも楽しかったよ」
「楽しかったのじゃ、今からお姉さまと寝れるのじゃ」
「一緒に寝れる——?」
レイナの顔が赤くなった。
レイナ、私、カルラ、ヴィヴィ、ナターシャという順に川の字になる。
「ランタン消すわよ」
私はランタンのスイッチを切った。
「おやすみなさい」
「おやすみなのじゃ」
「おやすみ」
「おやすみなのさ」
「おやすみ、みんな」
私は仰向けになりながら言った。
(今日は楽しかったわ)
(こういう日がたくさん続くといいわね)
(よく寝れそうだわ。Zzz...)
一同は眠りについた。
◆ ◆ ◆
翌日。
チュンチュンチュン
小鳥の囁きが聞こえる。
私は目を開けた。
「?」
右腕にはレイナが抱きついて体を寄せていた。
左腕にはカルラが抱きついていた。
レイナの息が顔に当たる——
ナターシャの方に目を向けるとヴィヴィとナターシャが抱き合って寝息を立てていた。
(まあ、悪くはないわね)
私はみんなが起きるまでそのままの体勢で目を閉じた。
「ミサカさま、起きてください」
私は二度寝をしてしまったようだ。
みんなが私を見ている。
「おはよう」
私は欠伸をして起き上がった。
外に出るとミケケができあがっていた。果実酒のビンが3本も転がっていた。
「おは、*ヒック*にゃ」
「吾輩は眠いから昼まで寝るにゃ、ウィ」
そういうとミケケはテントの中へ入っていった。
「お疲れ様、ミケケ」
私はミケケの背中にお辞儀をした。
私達は温水の川で洗顔や歯磨きをしてテントに戻る。
昨日焼いたおにぎりと水筒から温かい扶桑茶を注いでみんなに渡した。
「焼きおにぎりと扶桑茶。いい組み合わせなのさ」
一同は黙々と食べ始めた。
頃合いをみて私は話始めた。
「午前は自由行動とします」
「そして午後から大和の浮上実験を行います」
「午前は泳ぐのさ」
そういうとナターシャは服を脱ぎ始めた。
(ナターシャはよく脱ぐわね)
「あたしも泳ぐよ」
ヴィヴィも服を脱いでそれに続いた。
「うちは温泉に行きたいのじゃ」
カルラは元気よく言った。
「私も行きたいです」
レイナもカルラに同意した。
私はふたりを微笑ましく眺めた。
そして、ふたりは温泉の方へ歩いて行った。
(いつのまに二人は仲良くなったのかしら)
私はテントの前で簡易な椅子に座りノートパソコンを開いた。
カタカタカタカタ…
島の探索レポートをインプットする。
遠くでヴィヴィとナターシャが水遊びをしているのが見える。
私は扶桑茶を飲みながら彼女らを少し眺めていた。
(いいわね、あの義姉妹)
◆ ◆ ◆
午後。
「忘れ物はありませんか?」
私は一同を見渡す。
「大丈夫だよ、ミサカさん」
ヴィヴィは親指を立てた。
私は頷いた。
「では飛行ドローンに乗ってください」
ウィーーーーーン
飛行ドローンの羽根が回り、桃姫島を離陸した。
そして、私たちは大和へ帰還した。
続く




