第59話 桃姫島へ
7月1日——
午後11時。
「留守を頼みます。ムサシヒメ」
「任せてください、ミサカさん」
ムサシヒメは会釈する。
「ムサシヒメはどうして参加しないんですか?」
レイナは不思議そうに尋ねる。
「僕は戦艦武蔵——いや武蔵御殿の戦女神なんだ」
「だから、武蔵からあまり遠くには行けないんだ」
「レイナさん、ミサカさんをよろしくお願いします」
「わかりました! ミサカさまのことはお任せください!」
レイナは胸を張った。
(なにをお任せされたのかしら?)
レイナはキラキラした目で私を見つめた。
私は少し苦笑いをする。
「ミサカさん、みんな準備できたよ」
ヴィヴィが手を振った。
「浜焼用の食材と酒もばっちりなのさ」
ナターシャは遊ぶ気満々。
「桃姫島は楽しみなのじゃ」
カルラの元気な声。
「水着と釣り道具も用意したにゃ」
「レディにはバカンスも必要にゃ」
ミケケはしっぽを振っている。
ワイワイ、ガヤガヤ……
みんな、楽しそうに雑談をしている。
(任務なんだけど——まあ、いいわ)
「では、これより桃姫島へ向かいます」
「飛行ドローンに乗ってください」
一同は乗り込む。
そして、飛行ドローンで大和後部甲板へ向かった。
◆ ◆ ◆
大和第一艦橋。
7月2日午前2時——
「ヤマトヒメ、桃姫島までお願いできるかしら?」
「畏まりました、艦長」
大和はゆっくりと地底湖を離れて地下水道へ向かっていった。
桃姫島への航海は順調だった。
7月3日午前8時——
「桃姫島、距離1000です」
ヤマトヒメより報告が上がる。
「白い砂浜が見えてきたよ」
ヴィヴィが声を上げる。
「ぉぉ、砂浜が綺麗なのじゃ」
カルラは窓に顔を押し付ける。
「機関停止」
「投錨!!」
私は指示を出した。
「大和はここで停泊してください」
「後のことはお願いします」
「了解しました、艦長」
ヤマトヒメより凛とした復唱が返ってくる。
「では、準備できたら飛行ドローンに集合」
私は一同を見渡して指示を出した。
◆ ◆ ◆
陽光が海をキラキラと輝かせる。
チャプン、チャプン
穏やかな波の音が響く。
潮の匂いが鼻腔をくすぐる。
やさしい海風が心地よい。
カシャン
格納ハッチが閉まる。
「準備できたのさ、ミサカ」
後ろからナターシャが声をかける。
「では、乗ってください」
一同が乗り込む。
飛行ドローンは大和を飛び立ち、ついに桃姫島へ到着した。
「砂浜がキラキラしておるのじゃ」
そう言うとカルラは真っ先に桃姫島へ足を踏み入れた。
桃姫島バカンスが始まる——
続く




