第54話 石灰石鉱床
「なんだいこの下品な像は?」
タコとタコが絡み合っている像を見ながらナターシャは呟いた。
「ガラクタしかないにゃ」
「ときめく魔道具がないのじゃ」
私も祭壇の品々を見て回ったが、お宝と呼べるものはなかった。
「そうね、これはガラクタだわ」
奥を調べていたヴィヴィが叫んだ。
「奥に続く道があるよ!」
一同が集まり奥を覗き込んだ。
「これは坑道にゃ」
「昔、なにかを掘っていたと思われるにゃ」
ミケケは壁を叩いて坑道の安全を確認している。
祭壇で隠れていた道は奥へと繋がっていた。
壊れた荷車や朽ち果てたつるはしが散らばっている。
「慎重に進みましょう」
私はみんなに声をかけた。
◆ ◆ ◆
坑道は下に続いていた。しばらく歩くと白い岩肌の空間に出た。
白い空洞が広がっている。
「この白いものはなんでしょうか?」
レイナは私に質問する。
私は岩肌に触れてみる。そして確信した。
「石灰石です」
私は答えた。
「この白いのは石灰石というのですね」
レイナは初めて聞く言葉に戸惑った。
「石灰石は漆喰の家を建てるのに必要にゃ」
ミケケはレイナに用途を教えた。
「あ、漆喰の家なら知ってます!」
レイナは石灰石という概念を理解して満足そうだ。
「ここは石灰石を掘るための島だったのかな」
私は呟く。
「じゃあ、大した鉱脈じゃないのさ」
ナターシャが肩をすくめる。
「そうね。モクロ商会で銅貨1枚で売られていたわ」
とその時——
光り輝く欠片が目に留まる。
「これはなにかしら?」
白い岩肌にあった欠片を手のひらに乗せる。
神々しい光を放つ不思議な欠片。
「きっと、いいものなのじゃ」
カルラは目を輝かせる。
「そう?じゃあ……」
私はその欠片を回収した。
「目新しいものはないにゃ」
岩肌を見ていたミケケが戻ってきた。
「これ以上調べてもなにもなさそうなのさ」
隠し通路を探していたナターシャが戻ってきた。
私は少し考えて決断した。
「もう、なにもなさそうね」
「ナターシャ、帰還魔法をお願いします」
「あいよ」
そして、私達は入り口に戻った。
◆ ◆ ◆
大和、第一艦橋。
「みなさん、おかえりなさいませ」
ヤマトヒメが迎えてくれる。
「ただいま、ヤマトヒメ」
「なにか変わったことはあった?」
「島の瘴気がなくなりました」
「なら、問題ないわ」
私は頷いた。
「艦長、識別のためこの島の名前を命名してください」
「そうね。では、石灰島としましょう」
「了解しました。以後石灰島と呼称します」
「では、サロス近郊までお願いできるかしら」
「畏まりました。艦長」
大和はゆっくりと回頭しサロスへ向けて動き出した。
「みなさま、夕食を用意しております」
「今日の夕食はカレーです」
ヤマトヒメは微笑んだ。
「やったー!」
「やったのじゃ!」
こうして、石灰島での戦いは終わった。
続く




