第51話 ゲーフボウイ
ドガシャーーン
一発の徹甲魔弾が社に命中し、大穴が開いた。
「その後の気配はどう?」
私はヤマトヒメに尋ねた。
「未だ変化はありません」
「一門に三式弾<桜花>を装填」
「大穴に撃ち込んで」
「了解しました。艦長」
轟音とともに三式弾が発射された。
大穴に飛び込み爆散した。
「三式弾の有毒ガス消散まで様子を見ます」
私は一同を見渡して指示を出した。
「その間、仮眠をとりましょう」
「眠くて仕方なかったよ」
ヴィヴィが欠伸をする。
「吾輩も眠いにゃ」
ミケケはゆっくりと艦橋を出て行った。
「ヤマトヒメ、何かあれば起こしてください」
そうして、みんな艦橋を後にした。
◆ ◆ ◆
昼。
「よく寝たにゃ」
最後にミケケが艦橋へやってきた。
全員が艦橋に集まっている。
「ヤマトヒメ、気配の状況は?」
ヤマトヒメは目をつぶる。そして——
「依然、変わりありません」
「三式弾も効果なしか……」
私は手を顎にあてて考える。
「穴の中は毒ガスと灼熱地獄だったはず——」
(脅威を完全に排除するためには——)
(プリティームーンが陸戦隊になるしかないわ)
私はみんなを見渡す。
「上陸準備をしてください」
「穴へ侵入し脅威を排除します」
一同が了解の意を示す。
「人類の敵を放置するわけにはいかないのさ」
ナターシャが私の肩を叩く。
「マルのため、うちも頑張るのじゃ」
カルラは拳を上げた。
「ヤマトヒメ、後のことはよろしくお願いします」
「お任せください、艦長」
私達は準備を整え、飛行ドローンで大穴へ向かった。
◆ ◆ ◆
飛行ドローンで社の淵に到着し降り立つ。
破壊された社。大穴が口を広げていた。
ミケケは素早く防御魔法とライトの魔法をかけた。
大穴からは焼け焦げた匂いが立ち込める。
黒焦げた壁。
炭化して崩れた昆虫系魔物の死骸。
「うわぁ、炭化したケープ——」
ヴィヴィが途中までしゃべるとナターシャはヴィヴィの口をふさいだ。
「?」
私はナターシャの行動に首を傾げる。
「ミサカに"G"だと悟られちゃだめなのさ」
ナターシャはヴィヴィに囁く。
「!」
ヴィヴィが気づく。
「三式弾さん、ありがとう」
ヴィヴィは呟いた。
「ヴィヴィ、三式弾がどうかしたの?」
私は振り返り尋ねた。
「なんでもないよ、ミサカさん」
ヴィヴィの目が泳ぐ。
「そ、そう?」
私は不審に思いながらも先を進んだ。
穴から先は緩やかな下りになっていた。
しばらく降りると——
熱によって変形した鉄の扉があった。
ギィィ、ギィィ
カルラが力任せに開ける。
大きな石造りの空間に出た。
その先には怪しげな祭壇があり、なにかがこちらを睨みつけていた。
◆ ◆ ◆
石造りの大部屋。
「俺の島を焼いたのはお前たちか!」
「俺の食事配給奴隷を灰にしやがって!」
タコの頭をしたなにかが罵声を浴びせてきた。
顎から出ている触手がウネウネと動いている。
タコ頭は怒気を強めた。
「俺がこの島にどれだけ投資したと思ってるんだ!」
「お前らのせいで大損だ!」
タコ頭の顔は真っ赤になっている。
「俺は他人の損を見るのは大好きだが——」
「俺が損するのは大嫌いなんだよ!」
プリティームーンの面々を舌なめずりしながら見る。
「よく見れば、お前たち全員上物の雌ではないか……」
「供物が俺の前に自らやってくるとは——」
「俺の大好きな利益よな」
「おっと、自己紹介がまだだったな。俺はタコ公爵ゲーフボウイ」
「お前らの悲鳴を聞きながら、俺が食らってやろう」
ゲーフボウイの下卑た笑い声が石壁に響き渡った。
続く
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