第48話 サロス村
六月七日——午前10時。
私達は、飛行ドローンでサロス村の郊外へ降りた。
飛行ドローンにはいつものようにナターシャが認識阻害の魔法をかけていた。
サロス村。
浜には十数の小舟が並んでいる。小さな漁村だ。
「あれがテツさんの言っていたプリティームーンの一行じゃないか?」
「海を越えてやって来たらしいぜ」
「あらやだ、美人さんばっかりだわ」
村の人が集まってくる。
「初めまして、みなさん。私達は冒険者パーティーのプリティームーンです」
「そして、私はパーティーのリーダーでミサカと申します」
私は手を振った。
「おぉぉぉ」
どよめきが走る。
村の人々は、興味津々な目で私たちを見つめている。
メンバー一同、挨拶をした。
「ねぇ?海の向こうってどんなところなの?」
「どうやって来たの?」
「どんな国があるの?」
村人の質問の嵐が私達を襲った。
私は一つずつ丁寧に答えた。
そのたびに歓声があがる。
そして、私達は一時間ほど質問攻めにあった。
◆ ◆ ◆
「よく来たな」
「姉ちゃんたち!」
テツとマルが私の方に歩いてきた。
「マル、また会ったのじゃ」
カルラが手を振る。
「今日は昨日のお礼がしたい」
「わしの馴染みの店があるんじゃ。そこで貝料理はどうじゃ?」
「わしの奢りじゃ」
テツが私に尋ねてくる。
「貝料理いいですねぇ」
私は微笑む。
「ほんとうに?じいちゃん、やったー!」
マルは喜ぶ。
「貝料理?」
私以外の仲間が首を傾げる。
「貝なんて食べたことないにゃ」
ミケケは冷静に言う。
「リヴィエラでは貝を食べる習慣がないですねぇ」
レイナは神妙な顔で答える。
「メルばあちゃんの貝料理、めちゃくちゃうまいんだよ、レイナさん」
マルは目をキラキラさせている。
「貝料理は扶桑ではよく食べるわよ」
私はみんなに言った。
「ミサカが言うのなら間違いないのさ」
「うちは貝料理をはやく食べたいのじゃ」
「テツさんおすすめのお店行こうよ」
ヴィヴィが私を見つめる。
(貝料理、私も食べたい)
「では、テツさんのお言葉に甘えたいと思います」
私はテツにお辞儀をした。
「そうかそうか、ではわしについてきてくれ」
テツは満足気な顔で私達を先導する。
一同はテツの案内で貝料理のお店に行くことになった。
◆ ◆ ◆
しばらく歩くと茅葺き屋根の店舗が見える。
「あれじゃ」
テツが指さす。
貝殻亭。
障子風の扉には"本日貸し切り"と書いてあった。
「メルいるか?」
テツが声をかけた。
奥からふっくらしたおばあさんがやってくる。
「テツさん、準備はできているよ」
メルはにこやかに笑う。
メルは私達に一礼すると席に案内してくれた。
しばらくすると、メルは料理を運んできた。
「ホータテのにんにくバター蒸しです」
「カーキのバター炒めです」
「アーワビのステーキです」
「ハーマグリのワイン蒸しです」
「シージミのお吸い物です」
「おかわりはいっぱいありますので遠慮なく——」
「今日は貸し切りなので遠慮なく食べてくれ」
テツは胸を張った。
◆ ◆ ◆
「いただきます」
一同は食べ始めた。
カルラはカーキを丸飲みした。
「うまい、うまいのじゃ」
「カーキは濃厚な味わいがするのさ」
ナターシャが頷く。
私はアワビのステーキをナイフで切り、フォークで口に運ぶ。
「このコリコリ感、たまらないわ」
私は思わず声を上げる。
「ホータテはぷりぷりだよ」
ヴィヴィが満足気に言った。
「ハーマグリとワインのハーモニーが素敵です」
レイナが感心する。
「貝が旨いとは思わなかったにゃ!」
ミケケの尻尾が揺れる。
メルもテツも私達を見て満足そうだ。
「おかわりなのじゃ」
「あたしも」
「あたいもおかわりさ」
こんなおいしい貝料理が味わえるなんて思わなかったわ。
「美味しいです。ありがとうございます、テツさん」
私はテツに感謝を伝えた。
◆ ◆ ◆
半時経過。
私達はシージミのお吸い物を啜っていた。
「?」
外が騒がしい——
続く
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