第32話 魔法剣士
翌日——
武蔵御殿、食堂。
11名が食卓を囲っていた。
いつの間にか、大所帯になったわね。
「昨日は酒飲んで外で寝ていたら、いつの間にかベッドで寝ていたのさ」
「おかげでよく寝れたのさ」
ナターシャが軽快に言った。
「あたしもだよ、誰がベッドまで運んでくれたんだろ?」
ヴィヴィが私を見つめる。
私は淡々と答えた。
「ナターシャを運んだの私です。ヴィヴィは——」
「うちが運んだのじゃ!」
カルラは得意げに言った。
「そうだったのかい、ありがたいのさ、ミサカ」
ナターシャは私にウインクをした。
「カルラ、ありがとう」
ヴィヴィはカルラに礼をする。
「うちは当然のことをしたまでじゃ!」
カルラは得意げに答える。
「ところで、ティアとファムそしてレイナもいるけどどうしたのさ?」
ナターシャの妖艶な瞳が三人を見つめる。
レイナは少し顔を赤らめる。
ティアは元気に答えた。
「私達は、ミサカさまのところで働きたくて昨日やってきました」
ファムは無邪気に言った。
「レイナはミサカに憧れているの」
「だから、プリティームーンのメンバーになりたいの」
「あら、そうだったのかい。ミサカは罪作りな女なのさ」
ナターシャはいたずらっぽい目で私をみる。
私は軽く手を叩く。
「はい、聞いてください」
「今日はレイナさんの実力を見たいと思います」
「ヴィヴィ、レイナの相手をしてもらえるかしら?」
ヴィヴィは即答する。
「わかったよ、ミサカさん」
「レイナさんの攻撃を受ければいいんだよね?」
「ええ、受けるだけでお願いします」
「任せて。レイナさん、よろしくね」
レイナは顔を真っ赤にしながら答える。
「ょろしく、お願いします」
◆ ◆ ◆
穏やかな朝食は続く。
食べ終わった頃、ヤマトヒメが口を開く。
「ミサカさん、今日はシンシア群、リーフシア群の群長を連れてきますのでよろしくお願いします」
「わかったわ、領主館で待っているわ」
午前七時半。
「姉さん、そろそろ時間です」
ムサシヒメがヤマトヒメに告げる。
「では、参りましょう。ムサシヒメ、ティティさん」
そう言うと、三人は足早に去っていった。
◆ ◆ ◆
領主館前。
領主館とミサカ組事務所以外の建物はなく防壁内は空き地になっている。
そして、急ごしらえした的がいくつか用意されていた。
午前十時。
「これよりレイナさんのテストを開始します」
私は宣言する。
「準備はいいですか、レイナさん」
「はいっ」
レイナは真剣な顔つきで答えた。
「では、あの的を弓で撃ってください」
「はい、ミサカさま」
レイナは弓を番え、弦を静かに引き、指を離した。
ピューーン、ズサッ。
弓は真ん中に命中していた。
カルラは叫んだ。
「真ん中に命中しておるのじゃ」
「もう一度お願いします、レイナさん」
「わかりました、ミサカさま」
そして、矢は放たれた。
ズサッ。中心に命中。
「やるじゃないのさ」
ナターシャは感心する。
ティアは元気な声でレイナに言った。
「ミサカさまに、レイナの得意な三連射を見せてあげなさいよ」
私はティアに尋ねた。
「三連射?」
「レイナは弓を三本連続で射ることができるんです!」
「レイナさん、三連射をお願いできるかしら」
「お任せください、ミサカさま」
レイナは微笑み答えた。
レイナは弓矢を三本取り出し、一本を番え放った。即、二の矢、三の矢も素早く放った。
ピューーン、ピューーン、ピューーン、ズサッ。ズサッ。ズサッ。
すべての弓矢は中心を貫いていた。
「にゃにゃにゃ!」
ミケケは驚く。
「すべて当てるとは、すごいのじゃ!」
カルラは感心する。
「弓の実力は確かなのさ」
ナターシャは的に刺さった矢を見つめる。
ティアは喜ぶ。
「レイナの弓はウインドウッド一なのよ!」
ファムはクルクル飛び回り喜びを示している。
レイナは少し照れている。
◆ ◆ ◆
私は手を叩く。
「レイナさん、弓の実力は分かりました」
「次は剣をお願いします」
「はいっ、ミサカさま!」
私はレイナに細いレイピアの木剣を手渡す。
「ヴィヴィ、レイナの攻撃を受けてあげてください」
「わかったよ、ミサカさん」
ヴィヴィは盾を構えた。
「いつでもいいよ、レイナさん」
「ヴィヴィさま、よろしくお願いします」
「では、始めてください」
私は合図をした。
レイナは詠唱した。
「黒ノ五式・エア」
「黒ノ五式・ライトニング」
木剣に雷撃が付与される。そして、レイナは駆けた。
ヴィヴィの盾と木剣が激突する。
ビリビリ、ガキンッ
「っ!」
ヴィヴィが顔をしかめる。
ビリビリ、ガキンッ、ガキンッ
攻防が繰り返される。
(剣技は基本がしっかりしているわね)
(だけど、剣筋が真面目過ぎるかしら)
(あの加速と付与魔法、魔法剣士らしいわ)
攻防から五分経過。
レイナに疲労が見え始める。
(持久力が課題のようね)
私は手を叩く。
「そこまで!」
レイナのテストが終わった。
◆ ◆ ◆
私は静かに言った。
「レイナさんの弓術、剣術をみせていただきました」
「弓術は素晴らしいものでした」
「剣術については克服すべき課題がいくつかあります」
「それらを勘案した結果」
「レイナさんを補欠合格とします——」
「毎朝、私と訓練すること、魔法についてはナターシャに師事すること」
「それでよければ、レイナさんをプリティームーンのメンバーに加えます」
「どうですか?レイナさん」
レイナの目から涙がこぼれる。
「よろしくお願いします。ミサカさま、プリティームーンの皆さま」
ティアはレイナに抱きつく。
「やったね!レイナ。憧れのミサカさまが毎日稽古してくれるのよ」
「レイナ、やったの!レイナ、おめでとうなの!」
ファムはクルクルとレイナの周りを舞う。
「レイナさんもプリティームーンの仲間だね。よろしくね」
ヴィヴィは手を伸ばす。レイナは手を握る。
「教えがいがありそうなのさ」
ナターシャはレイナを見つめる。
「新しい仲間にゃ~、よろしくにゃ、レイナ」
ミケケはレイナに駆け寄る。
「うちに後輩ができたのじゃ」
カルラは嬉しそうだ。
こうしてレイナは新しいプリティームーンのメンバーに迎えられることになった。
続く
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