第30話 レイナ
祝賀パーティーは続いている。
私は一人一人挨拶をして回っている。
「おれっちとミサカさまが握手してくれた。この手はもう洗えねー」
「きゃー、ミサカさまとお話しできたわ」
「ミサカさま凛々しくてかっこいいですぅ」
私を見て呆然としている男の耳を引っ張る女。
「お前さん、ミサカさまを汚い目で見ちゃいけないよ」
笑顔と笑い声。
温かい気持ち。
私はこの心地よい時間を守りたいと心に誓う。
◆ ◆ ◆
ざわざわ、がやがや。
黄色い声援。
勇ましい武勇伝を語る声。
喧騒に紛れてやさしい羽根音が聞こえてくる。
「ミサカ……ミサカ……」
次第にその声は大きくなってくる。
「ミサカ、会いに来たの!」
「ファム!」
ファムはくるりと私の前で回りそして肩に乗った。
「みんなで来たの」
「ティア!」
「レイナ!」
ファムが二人を呼ぶ。
そして二人のエルフの少女は現れた。
「お久しぶりです、ミサカさま」
ティアは元気な声で、青い髪のレイナは顔を赤らめながら私を見つめる。
「そして、この度はミサカさま、おめでとうございます」
「こちらはウインドウッド村からの贈り物です。どうかお受け取り下さい」
「ありがとう、ティア」
私はそれを受け取りお辞儀をする。
「ミサカさま、面を上げてください」
レイナは慌てた。
私は頭を上げて微笑む。
「遠路はるばる大変だったでしょ?」
ファムは答える。
「ファムはティアの肩に乗ってきたの」
「ティアとレイナは歩いてきたの」
「よく無事で来てくれました」
私は胸をなでおろす。
ファムが得意げに答える。
「旅の途中で魔物に襲われたの」
「でも、レイナがすべて倒してくれたの」
「レイナはウインドウッド一なの」
私はレイナを見つめる。
レイナの顔がさらに赤くなる。
ティアが口を開く。
「レイナはウインドウッド一の魔法剣士です」
「あと弓も得意です。そうでしょ、レイナ」
レイナは少し俯きながら答えた。
「ティアの言う通り私は魔法剣士です」
「ですが、ウインドウッド一というのはティアの過大評価かなと」
レイナは謙遜する。
ティアはレイナをじっと見つめ、強く発言した。
「レイナの大好きなミサカさまの前で謙遜しちゃだめでしょ!」
私は思わず聞き返す。
「大好きなミサカさま?」
レイナは顔を真っ赤にしながらティアを突いた。
「もう、ティアったら!!」
「レイナは顔が真っ赤なの」
ファムが無慈悲に指摘する。
私はすこし動揺しつつ発言する。
「レイナさんが魔法剣士だということは分かりました」
「まずは果実水を飲んで落ち着きましょう」
私はテーブルにあった果実水を差しだす。
ふたりは受け取るとごくごくと飲み干した。
しばしの沈黙。
ティアが口を開く。
「今日来たのは、お祝いのためだけではありません」
「親にも許可をもらいました——」
「私達三人をミサカさまのところで雇ってほしいのです」
「そして、レイナをプリティームーンのメンバーに加えてほしい」
ティアは真剣な目で私を見つめる。
レイナも顔を赤らめながら私を見つめる。
「どうか、お願いします!」
二人は私に頭を下げる。
私はしばし目を閉じて考えた。
(親の許可も取っている——)
(なら問題はないわ)
(レイナさんはまず実力をみないと)
私は目を開き、プリティームーンのメンバーの状況を確認する。
ナターシャとヴィヴィはミサカ組のところで酒を飲んでいる。
完全な酔っ払いだわ。
ミケケはレディであることを忘れて魚料理に夢中。
カルラは肉料理を食べ続けている。
(今日はダメそうね)
私は微笑み返答した。
「わかったわ。三人を雇用します」
ティアとファムは喜ぶ。
「ミサカさまのところで働けてよかった」
「ミサカなら雇ってくれると思ったの」
私はレイナを見つめる。
「レイナさんは、明日、実力をみてもいいかしら?」
レイナは顔を上げ、目を輝かせた。
「はい、よろしくお願いします。ミサカさま」
続く
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