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異世界を助けに行ったら草薙の剣と戦艦大和があったので私TUEEEします ~ミサカさまがいく~  作者: wok
プリティームーン結成

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第13話 奇跡の薬

王国歴300年3月15日——


エルフの村ウッドウインド。


私はミケケを伴い、村を訪れた。


門番が私たちに気づく。


「ミサカさまだ!」

「ようこそ、ミサカさま!」


門が開かれる。


「どうぞ、お通りください」


私たちは村に入った。


すぐにティアが駆け寄ってくる。


「ミサカさま、お久しぶりです!」


その後ろから——


レイナが顔を赤らめながら近づいてきた。


「ミサカさまのおかげで回復しました」


深々と頭を下げる。


「本当に、ありがとうございます」


「元気そうで何よりです」


私は微笑んだ。


助けた少女たちも次々とお礼を述べに来る。


「ありがとうございました!」

「命の恩人です!」


そのとき——


「ミサカ!」


小さな声が聞こえた。


ファムだ。


ふわふわと飛んできて——


私の頬に、ちゅっとキスをした。


「来てくれたの。ファム、嬉しいの!」


「!」


不意打ちだった。


頬が熱くなる。


「ファムさん、急に……」


「えへへ、なの」


ファムが嬉しそうに笑う。


ミケケが呆れた顔で言った。


「ミサカ、顔が赤いにゃ」


「そ、そんなことは……」


私は咳払いをして、気を取り直す。


ティアに向き直った。


「ティアさん、ご両親のご様子は?」


ティアの表情が曇る。


「ロイさんが看病してくれていますが……」


「少し、悪くなっているような……」


声が震えている。


私はティアの手をやさしく握り告げた。


「今日は肺病の薬を持って参りました」


「!」


ティアが顔を上げる。


「本当ですか、ミサカさま!」


「はい。ただちに治療にとりかかりましょう」


ティアの目に涙が浮かんだ。


「ありがとうございます……ミサカさま……!」


◆ ◆ ◆


隔離された家。


扉の前に、ロイ爺が座っていた。


私たちに気づき、立ち上がる。


「また来たか」


「はい。本日は治療薬を持参いたしました」


ロイ爺の目が見開かれた。


「不治の病に……治療薬じゃと?」


信じられないという顔。


「あり得ぬ。誰も治せなかったものを……」


「わしとてこの二百年、治療薬の開発に専念して来た」


「だが——作れなかった」


「では、お見せします」


私は振り返る。


「ミケケ、皆にプロテクションをお願いします」


「わかったにゃ」


ミケケが杖を構えた。


「白ノ三式・プロテクション!」


ミケケは一人ずつ防御魔法をかけていった。


micotの分析によると、白魔法プロテクションは感染症対策にも効果がある。


「では、入りましょう」


◆ ◆ ◆


家の中。


二つのベッドに、ティアの両親が横たわっていた。


「ゴホッ……ゴホッ……」


咳き込む音。


前回より——弱々しい。


「お父さん、お母さん……」


ティアが涙声になる。


私はベッドの傍らに立った。


「この薬を飲んでください」


瓶から薬を注ぐ。


薄水色の液体。


「……これが……?」


父親が弱々しい声で尋ねる。


「はい。肺病を治す薬です」


母親が私を見た。


目に——涙が浮かんでいる。


「ありがとう……ございます……」


二人に、それぞれ10mlずつ飲ませる。


飲み終えた後——


「ミケケ、リジェネレーションをお願いします」


「わかったにゃ」


ミケケが詠唱する。


「白ノ三式・リジェネレーション!」


金色の光が、父親を包んだ。


母親にも、同様の措置を行う。


「本日の治療はこれまでです」


私は立ち上がる。


「明日、また参ります」


「ゴホッ……ありがとう……ございます……」


弱々しい声。


だが——微かな希望が宿っていた。


◆ ◆ ◆


翌日——


同様の処置を施す。


薬を飲ませ、リジェネレーションをかける。


栄養補給のため、はちみつ水も飲ませた。


三日後——


「……少し、楽になった……気がする……」


母親がそう呟いた。


呼吸が、わずかに安定してきている。


一週間後——


咳が軽くなっていた。


二人とも、起き上がれるようになる。


「まさか……」


ロイ爺が目を見開く。


「本当に効いておるのか……」


私はヤマトヒメに作ってもらった甘酒を取り出した。


「これを飲んでください。体力回復に効きます」


「これは……甘い……」


父親が驚いた顔をする。


「美味しい……」


母親が微笑んだ。


◆ ◆ ◆


二週間後——


ティアの両親は——


隔離された家の扉が——ゆっくりと開いた。


太陽の光を浴びて、二人が現れる。


「お父さん! お母さん!」


ティアが両親に駆け寄る。


「ティア……心配をかけたな……」


父親が娘の頭を撫でる。


「ティア——ティア!」


母親が涙を流しティアを抱きしめる。


「ティアのお父さんとお母さん、治ったの!」


ファムがくるくると回る。


「すごいの! ミサカ、すごいの!」


ロイ爺が——


私の前に立った。


そして、深々と頭を下げる。


「わしは……この肺病で妻子も友人も失った」


声が震えている。


「二百年前じゃ……最愛の妻を、この病で失った」

「幼い娘も……親友も……次々と奪われていった」


杖を握りしめる。


「この病を——撲滅したい」

「わしはそう誓い、治療薬の開発に人生を懸けた」


「だが——」


声が途切れる。


「わしには……できなかった」


「誰一人……救えなかった」


ロイは顔を上げる。


「だが——お前さんがやってのけたのじゃ」


「……ありがとう」


その目に——涙が光っていた。


「これで、この病も『不治』ではなくなった——」


私は静かに告げた。


「ロイさん、私の国・扶桑でも似たような肺病がありました」


「!」


ロイが顔を上げる。


「百年ほど前まで、多くの志ある若者がこの病で命を落としました」


(乙女ゲーの推しキャラ、私のシンサクもソウジも——)


私はしばし目を閉じ、扶桑の英雄達に祈りをささげた。


そして、一呼吸。


「不治の病でした」


「私が治せたのは——扶桑での知見があったからです」


私は胸に手を当てた。


「私もロイさんと同じです」


「この病を——治したかった」


ロイが目を見開く。


「お前さんの国でも……そうだったのか」


そして——


もう一度、深々と頭を下げた。


「ミサカさま……本当に、ありがとう」


◆ ◆ ◆


村人たちが集まってくる。


「あれを見ろ、村長夫妻だぞ!?」

「治ったのか……!?」

「本当に治っているぞ!」

「信じられん。肺病はまず助からないはず——」


どよめきが広がる。


そして——


「ミサカさまだ」


「これは——」


「ミサカさまの御業!」


「流石はミサカさま!」


歓声が上がった。


◆ ◆ ◆


ティアの家。


両親が深々と頭を下げた。


父親が話始める。


「ミサカさま、ミケケさま、あなた方は私たち家族の命の恩人です」


「本当に……何とお礼を言えばよいか……」


ミケケの耳がぴょこんと立つ。


「吾輩は当然のことをしただけにゃ」

「お礼を言うならミサカに言うにゃ」


尻尾が照れくさそうに揺れた。


「その恩に——少しでも報いたい」


「何か、お役に立てることはないでしょうか」


私は首を横に振った。


「お気持ちだけで十分です」


「いえ」


父親が顔を上げる。


「何か——受け取っていただきたいのです」


そのとき——


母親が何かを思いついたように言った。


「あのほうきは、どうかしら?」


「ほうき?」


父親が振り返る。


「ええ。私たちが持っていても……正直、使いこなせないわ」


母親が私を見る。


「でも、ミサカさまなら——きっと役に立ててくださる」


父親が頷いた。


「そうだな……それがいい」


私に向き直る。


「我が家に伝わる魔道具です」


「ティア、あのほうきを持ってきてくれ」


「はい、お父さん」


ティアが奥の部屋へ向かった。


しばらくして——


装飾が施された一本のほうきを手に、戻ってくる。


「ミサカさま、これを受け取ってください」


ティアが差し出した。


「これは……?」


「我が家に伝わる魔道具です」


ティアが微笑む。


「きっと、お役に立てると思います」


私はほうきを受け取った。


「ありがとうございます、ティアさん」


「こちらこそ……」


ティアの目に、涙が浮かぶ。


「本当に、ありがとうございました……!」


ファムが私の肩に乗った。


「ミサカ、今度は私たちが遊びにいくの」


私はファムに微笑む。


「楽しみにしています、ファムさん」


◆ ◆ ◆


夕方。


私は村人たちに手を振った。


村人たちが口々に叫ぶ。


「ミサカさま、ありがとうございました!」

「いつでもお越しください!」

「村の英雄です!」


歓声が響く。


歓声に見送られながら——

私とミケケは、武蔵御殿への帰路についた。


◆ ◆ ◆


武蔵御殿——


大浴場。


私は湯船に浸かり、天井を見上げていた。


「ふぅ……」


二週間、往復の日々だった。


でも——助けられた。


(よかった……本当によかった……)


「ミサカさん、おかえりー!」


ヴィヴィとティティが湯船に飛び込んでくる。


ザバーン!


「ちょっと、ヴィヴィ!ティティ!」


「ごめんごめん」


ナターシャが近づいてきた。


「で、どうだったのさ?」


「治りました。二人とも」


「!」


ナターシャが目を見開く。


「本当に治したのかい……」

「不治の病を……」


そして——ニヤリと笑う。


「ミサカ、本当に魔女みたいさね」


「魔女ではありません」


私は苦笑する。


「お姉さま、すごいのじゃ!」


カルラが目を輝かせる。


「うちのお姉さまは竜神様なのじゃ!」


「ミサカ大明神にゃ」


ミケケの尻尾が揺れた。


私は湯船に沈む。


そのとき——


扉が開く音がした。


「ミサカさん、お帰りなさい」


ムサシヒメの声だ。


「お疲れ様でした、ミサカさん」


ヤマトヒメも一緒だ。


二人の戦女神が、湯船に入ってくる。


「ただいま、ヤマトヒメ、ムサシヒメ」


私は微笑んだ。


「王城でのお仕事、お疲れ様でした」


「いえ、兄様のお手伝いができて光栄です」


ヤマトヒメが湯に浸かる。


「僕も勉強になったよ」


ムサシヒメが嬉しそうに言う。


そのとき——


ヤマトヒメが思い出したように言った。


「そうでした」


「来る4月1日、クレア陛下が女子会を開催されるそうです」


「!」


「プリティームーンの皆さんに、招待状が来ています」


私は頷いた。


「わかりました。伺いますと陛下にお伝えください」


——が、内心は別だ。


(女子会……!)


(恋バナとか、絶対振られるわ……!)


(私、最大の危機……!)


顔が熱くなる。


湯船の熱さのせいではない。


「ミサカさん、大丈夫ですか? 顔が赤いですよ」


ムサシヒメが心配そうに覗き込む。


「だ、大丈夫です……」


私は平静を装った。


どうなる、ミサカ。


ミサカ最大の危機「女子会」が迫る!



続く


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