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異世界を助けに行ったら草薙の剣と戦艦大和があったので私TUEEEします ~ミサカさまがいく~  作者: wok
プリティームーン結成

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第12話 不治の病

王国歴300年3月2日——


私たちは一度仮眠をした。


そして昼過ぎ。


ティアの家。


レイナはまだ安静中だが、意識ははっきりしている。

「ミサカさま、本当にありがとうございました」


レイナがお礼の言葉を述べた。


「いえ、当然のことをしただけです」


私は微笑む。


そして——


「ところで、ティアさんのご両親は肺の病気で別のところにいるとか」


ティアの表情が曇る。


「はい……隔離された家に……」


私は真っ直ぐにティアを見た。


「もしよければ、ご両親を診察させてもらえませんか?」


「!」


ティアが顔を上げる。


「いいんですか、ミサカさま!?」


驚きと——希望が混じった表情。


「診察すればなにか分かるかもしれません」


私は頷く。


「ありがとうございます、ミサカさま!」


ティアの目に涙が浮かんだ。


「本当に……ありがとうございます……!」


「両親を……お願いします」


「最善を尽くします」


私は医療キットを手に取る。


防疫用ヘルメット。


携帯診察キット。


そして——


「ミケケ、同行をお願いします」


「わかったにゃ」


ミケケの尻尾が揺れた。


◆ ◆ ◆


村の隅。


隔離された家が見えてくる。


小さな小屋だ。


扉の前で——


一人の老エルフが座っていた。


白髪に、皺だらけの顔。


背はやや曲がっている。


「お前たちがプリティームーンか」


低い声。


「はい」


私は一礼した。


「ミサカと申します」


老エルフが立ち上がる。


「噂は聞いておる」

「レイナを救ったそうだな」

「ワシはロイ」


杖を握りしめる。


「この村の唯一の白魔法使いじゃ」


「ここで肺病患者を看病しておる」


私は真っ直ぐに告げた。


「ロイさん、ティアさんのご両親を診察させてください」


「かまわぬが……」


ロイ爺は濁った瞳を私に向けた。


「肺病の患者に防御魔法なしで近づくのは危険じゃぞ」


杖を掲げた。


「まずはプロテクションをかけてから診るものじゃ」

「ロイさんの言う通りにゃ」


ミケケの耳が立つ。


「白魔法治療の基本にゃ」


ロイ爺が頷いた。


私はミケケを見て指示する。


「では、ミケケ、お願いします」


「わかったにゃ」


ミケケが詠唱する。


「白ノ三式・プロテクション!」


淡い光が私を包んだ。


続いてティア、ロイにも。


そしてミケケ自身にも。


「!」


ロイ爺が目を見開く。


「三式魔法じゃと……!」


驚愕の表情。


そして——


ロイ爺の表情が険しくなった。


「入る前に言っておくが……」


「この肺病で助かった者は、一人もおらん」


「……」


ティアの表情が凍りつく。


「毎日、リジェネレーションをかけておるが」


ロイ爺が俯く。


「気休めにしかすぎぬ」


「お父さん……お母さん……」


ティアが唇を噛む。


涙をこらえている。


私はティアの手をやさしく握った。


ロイ爺が顔を上げた。


「では、入るぞ」


◆ ◆ ◆


小屋の中。


暗い。


窓が少なく、風通しも悪い。


カビの匂いが鼻をつく。


二つのベッドに——


ティアの両親が横たわっていた。


「ゴホッ……ゴホッ……」


母親が咳き込む。


「ゴホッ……ゴホゴホ……」


父親も苦しそうだ。


「お父さん、お母さん……」


ティアが涙声になる。


私は携帯診察キットを取り出した。


「体液を少し採取させてください」


母親の腕から血液を、口腔内から唾液を採取。


父親からも同様に。


まず、母親から。


『分析中……』


画面を見つめる。


『該当する疾患:なし』


『未確認の菌が肺組織を破壊している可能性85%』


私は父親も同様に検査する。


結果は同じだった。


「今は、治療法が分かりませんが——」


「持ち帰り、分析すれば治療法が見つかるかもしれません」


(いえ——必ず見つけるわ)


ティアが顔を上げた。


「本当ですか!?」


「ええ。必ず」


私は力強く頷いた。


ロイ爺が呟く。


「……治療法じゃと」

「この肺病は昔から不治の病じゃ……」

「奇跡でも起こらぬ限り、治療など不可能じゃ——」


沈黙が落ちる。


「ミサカを信じるにゃ」


ミケケが言った。


「ミサカはきっと奇跡を起こすにゃ」


尻尾が揺れている。


夕方。


私たちは再会の約束をして、飛行ドローンで武蔵御殿に帰還した。


◆ ◆ ◆


武蔵御殿。


医療区画。


私は分析システムに体液サンプルをセットした。


「micot、分析をお願い」


micotは武蔵に搭載された自立型艦内AI。

Musashi Integrated Control and Operational Technology。


『了解しました。サンプル受領。分析を開始します』


画面に映像が表示される。


細菌の3D画像だ。


『結核菌に類似。ただし異なる形状』


『厚い細胞壁が白血球による駆除を阻害』


『現状、既知の治療法:なし』


「……」


私は画面を見つめる。


(未知の病原菌……)

(でも——)

(必ず治してみせるわ)


拳を握る。


「micot、創薬の可能性は?」


『可能性:あり』

『ただし——』

『魔法体系の知識』

『ポーション体系の知識』

『追加素材2000以上は必要です』


「!」


かなりの量だわ。


でも——


やるしかない。


「わかりました。すぐに揃えます」


◆ ◆ ◆


翌日——


王都へ向かい、事件の顛末を報告。


さらに、ボンノー宰相にお願いして王国図書館にある魔法書や薬学書をすべて貸してもらった。


その足で魔法店、薬草店、鉱石店、食料品店を回る。

2000を超える素材を仕入れて武蔵御殿に戻った。


金貨100枚の大散財だったが——これでティアの両親を救える。


購入した検体を全てmicotに提供する。


『素材2041個、受領』


『分析を開始します』


『創薬可能か論理演算処理中……』


そして——


『推定処理時間:7日』


「一週間……」


私は呟く。


(長い……)


ナターシャが肩を叩いてくる。


「micotはあんたの相棒だろ?」

「信じて待つのさ、ミサカ」


「……そうですね」


私は頷いた。


◆ ◆ ◆


一週間後——


武蔵医療区画。


ピピピッ。


アラームが鳴る。


私は飛び起きた。


「!」


画面を確認する。


『論理演算処理:完了』


『創薬レシピ:出力可能』


「やった……!」


拳を握る。


(一週間……長かった……)


すぐにレシピをノートパソコンに転送する。


リストを確認する。


(武蔵にある設備で大丈夫そうね)


私は立ち上がった。


「これから、創薬を開始します」


◆ ◆ ◆


私は武蔵の3区画を創薬用の研究室にした。


まるで錬金術師の部屋のようだ。


私はmicotの指示に従って作業を開始した。


薬草を裁断。鉱石を粉砕。


魔法触媒と混ぜ合わせる。


扶桑の精製装置で不純物を取り除く。


一つ一つ、丁寧に。


ナターシャが見学に来た。


創薬に没頭して目に隈が出来ている。


「すごいのさ、ミサカ」


「まるで深淵の森にいる魔女みたいさね」


「魔女ではありません。ナターシャ。これは化学です」


(ついに魔女呼ばわり——)

(私は普通の女の子なのに)


私は淡々と答える。


「でも、少しは休むのさ」


「……わかりました。休みます」


「心配してくれてありがとう、ナターシャ」


◆ ◆ ◆


三日後——


遂に——


完成した。


薄水色の液体。


透明な瓶に入っている。


美しい。


micotに検品してもらう。


『肺病薬:品質良好』


micotが表示する。


『投薬方法:1日1回、10ml服用』


『併用推奨:白魔法リジェネレーション(三式以上)』


私は瓶を手に取った。


「これで……助けられる」


私たちはウッドウインドへ向かった。



続く

誰かに読まれているのか、さっぱり分からないので

もしよろしければ「あ」とだけでいいのでコメントがあると嬉しいです。

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