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第2話〈コンクール〉

「*」のついた吹奏楽の専門用語には、後書きに解説があります

「ねえ、杉崎(すぎさき)のところは*課題曲もう決まった?うちの学校は3番になったんだけど」

「うちは1番の*マーチになったよ」

「あのマーチ、私はけっこう好き!吹いてて楽しいよね。でも、うちの学校だと簡単すぎるって意見が多くて、結局3番になった。」

「あー、乃恵琉(のえる)のとこは県代表、狙ってるもんね」

「一応、目標は全国大会だからね。うちの学校は今まで行ったことないけど。でも、だからってわざわざ難しそうな課題曲を選ぶっていうのも違うと思わない?簡単な曲でも演奏のレベルが高ければ良いじゃんね」

「そこは、やっぱりコンクールだから」


 4月以来、乃恵琉は毎週水曜日のノー部活デーに杉崎家の防音室を訪れていた。壁の本棚に向かって右が杉崎、左が乃恵琉。椅子の場所もすっかり定位置だ。

 部屋に着いたら各自でウォームアップと基礎練習をして、その後は二人でハーモニーの練習。それから時間があれば、それぞれの部活でやっている曲も吹く。練習の流れも自然に定まっていた。


 そんな日々、週ごとに暑さは増して夏が近づく。吹奏楽部員にとってコンクールの季節。

 暑気の高まりと共に、練習内容もコンクールの曲に染まっていく。

 吹奏楽コンクールの課題曲は、毎年4~5曲の新しく作曲された楽曲が指定され、その中から各校が選択する。課題曲の中には、シンプルで演奏しやすいマーチの他、難解で高い演奏技術を必要とする*現代音楽が含まれることが多い。どの課題曲を選択するかは、コンクールの成否を決めるうえでも重要な問題となる。


「課題曲、私は3番も好きかな」

「え!?そうなの?私は苦手だな。なんか良くわかんないし。何か、メロディって感じのメロディも無いじゃん?ああいう曲って、現代音楽?っていうの。何が面白いのか、ちょっと理解しがたい」

「確かにね。でも、何回も聴いていると段々面白くなるよ」

「そうなのかな~。私には現代音楽はまだ早いのかもしんない。でも、トロンボーンパートは難しくて、練習のやりがいはあるかな」

 乃恵琉は楽譜の入った分厚いファイルを開き、吹奏楽コンクール課題曲3番の楽譜を見ながら唸る。楽譜にはすでに余白がほとんどないほど、鉛筆と蛍光ペンで注意事項が書き込みされていた。メトロノームのスイッチを入れ、テンポを設定する。


「杉崎、ちょっと3番の『B』から一緒に吹いてもらっていい?確かサックスも同じ動き吹いてるよね」

「いいよ」

 杉崎も楽譜ファイルを開き、楽器を構える。メトロノームの電子音に合わせて、二人のユニゾンが防音室に響く。


「てゆうか杉崎、普通に吹けてるなー。コンクールではこの曲やらないのに。練習してる?」

「一応、課題曲は一通り練習してるよ。それに、ここはサックス的にはそんなに難しくないし」

「ええ⁈トロンボーンにはムズイよ!音も高いし」

「テナーサックスには、この辺は普通の音域だから」

「くうっっ。なんか悔しいな」

「でも、合奏で目立つのはトロンボーンだよね。テナーなんて、一緒に吹いてること指揮者に気づかれないこともあるし」

「あ、わかる。悪いけどテナーって地味だよね。こことか音源聴いてもトロンボーンの音しか聞こえないし」

「そうなんだよ」


 杉崎は先日の部活での合奏を思い出す。「『B』からトロンボーン、とユーフォニアム」と指揮者が言って、その部分を取り出していた時、「テナーサックスも同じメロディ吹いてます」と、おずおず手を挙げたのだった。

 こういうことは、これまでも何度かある。指揮者が曲の中の一部分を取り出すときに、テナーサックスの存在を忘れてしまうのだ。吹奏楽では、どうしても音量で金管楽器に埋もれてしまうのが悔しい。

 杉崎は、吹奏楽の中で目立ちたい、とは別に思っていない。むしろ人から注目されるのは苦手な方だ。部活でもそれほど積極的に発言しないし、ソロが吹きたいとも思わない。それでも、音楽的にはきちんと評価してほしいとは思っている。


「音量ではトロンボーンの方が大きいから、そっちが目立つのは当然だけど、サックスも吹いてるって忘れないでほしいよ。サックスの音色も合わさってるから、音に厚みが出ることもあると思う」

「そうだよねー。私、杉崎と一緒に練習するようになって、それ初めて気づいたな。前までは、自分の楽譜を吹くことばっかり考えてて、サックスが何やってるかとか、聴いてなかったもん」

「そっちは聴いてないかもだけど、こっちはトロンボーンの音めっちゃ聴こえてるから。トロンボーンって合奏だとたいていサックスの後ろに座ってて、後ろからガンガン吹いてくるし」

「あ、そうか。うちの学校で合奏するときも、私の前サックスだ」

「トロンボーンに大音量で吹かれると、自分の音もよく聴こえなくなっちゃう。埋もれちゃうっていうか」

「それはなんかごめん。トロンボーンって、合奏だといつも一番後ろに座ってるから、その感覚はなかったな」

「うん。だからこうしてトロンボーンと一緒に並んで吹くの、私もかなり新鮮だよ」


 以前の乃恵琉は、合奏の際に「トロンボーンうるさい」と指揮者に注意されることが多かった。演奏しているとつい熱くなって吹きすぎてしまうのだ。

 しかし、杉崎との練習を始めてから、周りの楽器の聴き方が変わった。他の楽器がどんな音型を吹いているか、自分のパートとどんな関係なのか、少しだけ意識して聴けるようなったと思う。

 そのおかげか、最近は吹き方や音量のバランスを指揮者から褒められることがある。パート練習の時に、先輩からも上手くなったと言われたりもした。


 杉崎にとってトロンボーンなどの金管楽器は、これまでは正直言って苦手な部類だった。バリバリとした音で後ろから威圧的に吹いてくる、うるさい楽器だと感じていた。

 けれども、乃恵琉の音は柔らかくて厚みがあって、自分の音と合わせると一層と響きが増す。それに気づくと、吹奏楽の合奏の時でも他の楽器への印象は変わっていった。


 梅雨が過ぎ本格的な夏の到来。県内各校の吹奏楽部は、ノー部活デーを挟みつつもコンクールへ向けて活動の密度を上げていく。乃恵琉の所属する県立福山台高校吹奏楽部も、初の全国大会出場を目指して士気が高まっていた。部員みんなのやる気に引っ張られるように、乃恵琉も自然と練習に熱が入っていく。


「この間、*ホール練だったんだけどさ、いつもの学校の音楽室と違って木管の音が全然聴こえなくて。めっちゃあせった」

 例年なら休みなく部活が続くころだが、今年はノー部活デーが厳然とありつづける。毎週、杉崎家に通うことは乃恵琉にはもはや欠かせない。そんな乃恵琉を、杉崎もありふれた日常の一部として受け入れている。

「ホール練、あるんだ。うちの学校はそういうのないからいいね」

「あー、高崎岡はやんないんだ。うちはコンクール前は毎年やってるみたい。特に今年は気合入ってるし」

「うちは全国まで目指してるほどじゃないから」

「そっかー。まあ高崎岡は勉強第一って感じだもんね。いや、こっちはガチで全国目指してるから。それでさ、ホールって聴こえ方違うし、バランスとかわかんなくなっちゃって。久しぶりにトロンボーンうるさいって怒られた」

「慣れないとそうなるよね」

「クラリネットとかさ、何吹いてるか、もうよく聴こえないんだよね。遠いし。来週、もう1回ホール練あるから、何とかしたいんだけど」

「私は、スコア見ながら音源聴いて、他の楽器の動きも覚えたりしてるけど」

「スコアは一応見てるけど、曲が複雑だし、自分も吹いてるとよく分かんなくなるんだよね」

「じゃあ、試しに私クラのパート吹くから、一緒に吹いてみる?」

「え?クラのパート吹けんの?テナーで?」

「吹けるよ。1オクターブ低くなるけど、楽譜の読み方は一緒だし」

「…?どゆこと?」

「テナーサックスとクラリネットはどっちも*B管の楽器で、Bの音を『ド』にして楽譜が書いてあるんだよ。だからクラの楽譜はテナーでそのまま読める」

「んん~、そう?なんだ。ちょっとよく分かんないけど、クラのパートも吹けるってことね。凄っ!」

「私、わかりにくい曲の時は、他のパートも吹いてみたりしてる。ピアノもやってるから、フルートとかトロンボーンの『*in C』の譜面も読めるし」

「まじか…!」


 そして杉崎は、課題曲3番のクラリネットのパートを吹いて、乃恵琉と合わせる。テナーサックスで吹くクラリネットパートは、不思議な感じがしたが、何度か合わせているうちに、トロンボーンとの関係性が見えてくる。そうして、杉崎はさらにフルート、トランペットのパートも吹いて乃恵琉と合わせた。

 いろいろなパートの、それぞれが独立しているように思えたフレーズの断片も、改めて取り出して組み立てていくと、互いに複雑に絡み合う『音楽』という構築物の一部だと分かってくる。それは、ランダムな形のピースが組み合わされるジグソーパズルのようだ。一つ一つのピースだけを見ていても意味が分からないが、正しく組み合わせて、全体眺めていくと新しい景色が見えてくる。

 初めて聴いた時は意味不明に思えた課題曲を、少しずつ読み解く。分からなかった音の羅列が、だんだんと意味を帯びていって、やがては物語のように語りかけてくる。知らなかった音楽の世界の扉を開く。

 乃恵琉は、新たな音楽の楽しさを知った喜びを感じる。同時に、その世界をすでに知っていて、導いてくれた杉崎に尊敬の念を覚えていた。


 7月、某県民会館大ホール、吹奏楽コンクール県大会。

 *高等学校A部門の全演奏が終わった。出場した各校の生徒たちは、学校ごとにホールの客席に集まって座り、ざわざわと結果発表を待っていた。

 県代表になれるのは4校。選ばれれば8月の支部大会に出場でき、そこをさらに勝ち抜けば全国大会だ。県内で全国大会に出場した実績があるのは、豊山商業高校と新ヶ峰学園高校の2校で、「2強」と呼ばれている。実力の抜けているこの2校の県代表は確定的で、残りの2枠を他の高校で争うことになる。

 杉崎の通う高崎岡高校は、コンクールにそれほど積極的ではなく、これまでに県代表に選ばれたことはない。良くて*銀賞という程度の成績だ。対して乃恵琉の通う福山台高校は、数年前に新しい顧問が赴任してから台頭し始め、過去2年連続で県代表に選ばれていた。ただその先の支部大会を勝ち抜いて全国大会までは進めていない。乃恵琉たち福山台の目標は支部大会で「2強」を倒して全国出場にあった。県大会は、そのための言わば前哨戦。全国までを見据えた練習をこの数か月重ねてきた。


 ステージ上が明るくなり、審査員が登壇する。コンクール全体の総評を話した後、各校の審査結果が順番に読み上げられる。

「高崎岡高校、銀賞」

 予想通りの結果を、客席に座る杉崎は静かに受け止める。周りの部員たちも特に騒ぐ様子はない。まばらな拍手がホールに響く。


「福山台高校、*ゴールド金賞」

 軽い歓声が上がる中、乃恵琉は客席で黙ってこぶしを握る。金賞は当然。ここではまだ喜ばない。他の部員たちも静かにステージを見つめる。


「それでは県代表として支部大会に推薦する4校を発表します」

 いよいよ県代表の発表。

「豊山商業高校、新ヶ峰学園高校…」

 2校が読み上げられる。ここまでも想定通りのことだ。ここから、残り2校。客席に座る福山台の部員たちは心の中で確信する。次に読まれるのは「福山台」、絶対に自分たちだ。誰もそのことを疑ってはいない。力のこもった目で部員全員がステージ見つめる。


「…豊山国際大学付属高校、流谷高校、以上4校を県代表として支部大会に推薦いたします」


 会場にどよめきと歓声が沸き起こる。客席の前方で特に大きな声を上げているのは豊山国際大付属の部員たちだ。流谷高校は昨年も県代表だったが、豊山国際大付属はこれまで県代表になったことはない。初めて代表選出に飛び上がるように喜びあっている。


 乃恵琉たち福山台の部員たちは、身動きもできずにそれを見ていた。何が起きているのか、理解したくもなかった。誰も、一言も発しない。現実とも思えない。数秒して、静かな嗚咽が広がっていく。

 *ダメ金。

 県大会で落ちるなんて。考えてもいなかった。どうして?万全の準備をしてきたはずだ。例年以上の練習だってしていたはず。あんなに練習したのに、どうして?乃恵琉たちの頭はその疑問で埋め尽くされる。

 いや、今年は例年とは違いがある。

 ノー部活デー。

 県下の公立校は全て、水曜は部活なし。公立校は。

 初めて代表になった豊山国際大付属は私立。ノー部活デーは関係ない。


 福山台の部員たちは、誰も口には出さなかったが、同じことを考えていた。ノー部活デーさえなければ、選ばれたのは自分たちだったのに。例年通り、休みなく練習できていれば。

 ホールを出た後、会場前の広場に部員たちは整列する。顧問の教師が審査員の講評を読み上げ、コンクールの反省点をいろいろ言っていたが、悔しさで埋め尽くされた心には、その言葉が入り込む余地はなかった。大人の都合で、自分たち夢が踏みつけられたのだと、負けた理由をそう思い込んだ。


 コンクール後、福山台高校吹奏楽部は当分の間、部活休みとなった。乃恵琉も楽器ケースを開くことはなく、杉崎家にも行かなかった。持ち帰った新品の楽器は、静かに乃恵琉の部屋の片隅に鎮座しているのみだ。気力を失った乃恵琉の視界に入る楽器ケースは、眠るように横たわっている。

 コンクールの結果はダメだったが、この相棒を吹いて楽しかった感覚は、いつでも鮮明に思い出せた。またケースを開き、息を吹き込まれることを相棒は待っているのだろうかと思った。

 そんな風に思いながらも、結局楽器を吹くことなく、また何日か過ごす。

 漫然とした日々が過ぎる中、ふとカレンダーを見て気づく。

 今日は水曜日だ。

 乃恵琉は杉崎にメッセージを送る。

 〈今日、行っていい?〉


「なんか、すごい久しぶり」

「そうだね」

「杉崎の家に来るの、3週間ぶりかな。いやーやっぱここは落ち着くなー」

「どう?楽器吹いてた?」

「いや、全然。もうコンクール終わってからやる気でなくて」

「福山台は惜しかったね」

 言われた乃恵琉は、思い出しただけで唇をかみしめる。

「ああー、ノー部活デーがなければ勝てたのかなー。まさか豊山国際大付属に負けるなんてなー。あっちは休みなく部活してんのかなー」

「国際大付属は今年から新しい顧問になって変わったらしいよ」

「そうかー。うちも今の先生がきてから変わったしな。でも悔しー」

 乃恵琉は、椅子の上でのけ反りながら言って悔しがる。悔しさを口に出せるくらいには、気持ちの整理はできたんだなと、杉崎は思う。

 中学最後のコンクールの時も、県大会でダメ金だった。あの時、一番悔しがっていたのは乃恵琉で、しばらくコンクールの話はできなかった。普段は、楽器を吹ければ楽しいという感じで、勝ち負けにはこだわらないように見えるが、実のところかなりの負けず嫌いなのだ。


「コンクールの時うちは出演順が最初の方だったから、その後の学校、全部聴いたんだよね。福山台も国際大付属も。感想言ってもいい?」

 いつもの基礎練習を終えた後、杉崎は平静に口を開いた。

「聴いてたんだ、杉崎。うん、聞かせて」

「うん。悪いけど、国際大付属の方が福山台より完成度は高かったと思う」

「ぐっ…。うん…。続けて」

「国際大付属は、この県大会に向けて完全に合わせてきたって感じ。細部のアンサンブルも徹底的に詰めてあるなって思った。福山台は勢いもあるし、迫力もあったけど、まだ細かいところを合わせ切れてないって思っちゃった。もしかして、支部大会から全国まで行くのを狙ってたから、県大会には照準が合ってなかったのかなって」

「…うん…。その通り…だと思う」

 乃恵琉は、ようやくコンクール後に顧問の先生が言っていた反省を思い出した。

 そうだ。あまりに全国にいくことばかり考えていて、県大会を舐めていたのだ。多少アンサンブルが雑でも勢いのあるサウンドなら県大会なんて余裕だろうと。ちまちまとした細かい部分を合わせるよりも、今は全国に向けてのびのび吹く時期なんだ、と思い込んでいた。

 完全に自分たちの慢心が原因だ。


「それに、ノー部活デーはそんなに影響ないと思う」

「ええ⁈そうかな~?さずがに休みなく部活してる方が有利でしょ」

「でも、乃恵琉はノー部活デーにうちで練習するようになって、前より上手くなってるじゃん」

「確かに、私は上達したなって思うけど…」

 杉崎に上手くなってると言われて、つい嬉しくなってしまう乃恵琉。照れている乃恵琉を気にせず続ける杉崎。

「県代表になった豊山商業と流谷だって公立だし、ノー部活デーってだけで不利になるとは限らないんじゃないかな。毎日ハードに部活するだけじゃなくて休みも必要だし、その休みをどう過ごすかってことじゃない?」

「ううーん。それはそうだなー。私も豊山商業の演奏は聴いたけど、ノー部活デーで去年よりもレベルが落ちたかって言われたら、そんなことなかったな。むしろ今年の方が良かったくらい」

「でしょ」

「ああー!そういう正論を言われると改めて悔しくなるなー!くっそー!」

「じゃ、練習しよっか」

「おうよ!しばらく吹いてなかったから、取り戻さないと!」

 乃恵琉は楽器を構えて息を大きく吸い、改めてロングトーンを始める。

 杉崎も首のストラップに楽器をかけて、譜面台に練習曲の楽譜を開く。


 コンクールが終わっても、夏はまだまだ終わらない。

 楽器に吹き込まれた息は熱を帯びたまま、その響きが今日も防音室を満たしていく。

【吹奏楽 用語解説】

〈課題曲〉

全日本吹奏楽コンクールの課題曲です。コンクールでは選択した課題曲と自由曲を演奏します。


〈マーチ〉

日本語で言えば行進曲。吹奏楽コンクールでは、分かりやすく楽しい曲調のマーチが課題曲に含まれることが多いです。


〈現代音楽〉

クラシック音楽の中で、ここ100年くらいの間に作られた新しいスタイルの音楽のジャンルを指します。

多くの場合、一般の人には理解しづらい曲調です。

いわゆる「クラシック」でイメージするような、美しいメロディやハーモニーは使わずに、斬新さを求めて作曲された曲が多いので、初めて聴くと意味不明に感じてしまうこともあります。


〈ホール練〉

コンクールで実際に演奏するホール、またはそれに近い規模のホールを借りて練習すること。

通常、吹奏楽部が練習している学校の音楽室などは、コンクール本番のホールとは響き方が全く違うので、本番を想定してホールで練習することがあります。ただし、ホールを借りるには費用がかかるので、乃恵琉の所属する吹奏楽部は、ある程度部員数が多く、コンクールに積極的なのだと考えられます。


〈B管の楽器〉

B管はベー管と読みます。B、シのフラットの音を基準として作られている楽器です。

どのキーも押さえずに、そのまま吹くとBの音が出ます。


〈in C〉

「インツェー」と読みます。楽譜の書き方の種類です。

五線の中の「ド」にあたる位置を「C」の音として演奏する楽譜を「in C」と言います。

ピアノ、フルートなど、一般的な楽譜は基本的にこの「in C」です。

テナーサックス、クラリネットなどは、五線の中の「ド」にあたる位置を「B」の音として楽譜が書かれています。これを「in B」インベーと言います。

つまり、例えば同じ「C」の音でも、フルートとクラリネットでは五線上の違う位置に音符が書かれています。とても分かりにくいのですが、そういう習慣で現在まで来ているので、吹奏楽のスコアを読むには、頑張っていろんな楽器の楽譜の読み方を覚える必要があります。


〈高等学校A部門〉

吹奏楽コンクールで出場人数が55人以上の部門。この他、人数の少ない部門もありますが、全国大会まで実施しているのはA部門のみです。


〈銀賞〉

吹奏楽コンクールの評価は、金賞、銀賞、銅賞です。すべての参加校にいずれかの賞が与えられますので、一番下の銅賞は実質的には参加賞です。

金賞の中から、さらに上位大会への代表校が選ばれます。


〈ゴールド金賞〉

金賞と銀賞は、聞き間違えやすいので、はっきりと分かるように「ゴールド」と付けてゴールド金賞とアナウンスされます。


〈ダメ金〉

金賞を受賞したものの、代表に選ばれなかった場合をダメ金と呼びます。

代表を本気で狙っていた学校の場合は、非常に悔しい結果です。

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