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第1話「転生した世界はサイコロを振るハーレムクソゲーRPG!?」

はじめましてColvoです。

何番煎じかわからない異世界転生×ハーレム小説を書いてみたくて初めて書きました。マイペース投稿ですがよろしくお願いします。


令和になってから数年たち、最初は新しい時代の到来に人々は期待していたが、世界情勢は不安定なままである。戦争、ウイルス流行、汚職による政治の不安。

今日を生きるのに必死だった。


僕もまた必死だった。ウイルス流行になる前に雇用契約を切られ、転職が上手くいかず夜勤のコンビニバイトで食いつないでいた。月々の税金の支払いと生活費に給料の殆どを持っていかれ、お客さんから理不尽な要求をされたり上司から小言を言われたりしたが3年くらい何とか続けていた。合間にしていた転職活動は実を結ばず、気付けば30代に入る前まで来ていた。


何者にもなれず、くすぶる毎日。低所得者で希望のない日々を過ごしていた僕には楽しみなことがあった。

それは休みになったら【ブレイクランド】をプレイすることである。


このゲームは15年前くらいに発売された据え置きゲーム機のソフトで、ジャンルはハーレム系RPGのゲームである。12年ほど前に新品で買ってからずっとプレイしており、最新のゲームを買ってもほぼこのゲームをプレイしていた。

ただこのゲームがクソゲーと呼ばれるのが少し悲しい所だ。


このゲームを開発した会社は【ナンバーワン】という10年前に倒産した会社だ。大手ゲーム会社の下請けだったが独立し、PCゲームにシューティングの隠れた名作〈ハルバード・アタック〉を発売した実績があり、優秀なゲームプログラマーもいたのでこのゲームも期待されていた。


【ブレイクランド】が発売されている当時はラノベ作品のアニメが流行っており。それに乗っかりゲーム開発会社・ナンバーワンがラノベ作家者らと協力して製作したハーレムRPGであり、今でいうMMOのゲームのように、キャラクターのデザインが出来て主人公及び、仲間にする嫁、もといハーレムメンバーをプロのイラストレーターによって作られた各所パーツを使い自作できることが売りだった。


だが、ストーリーがあまりにもひどかった。最終的にラスボスを倒す王道ストーリーだがそれに至るまで兎に角単調でただお使いをしてアイテムを集めるという内容である。ストーリーの盛り上がりはあるところにはあるが、ほぼ無いに等しい。


また、このゲームのクリア条件に「アイテムを500種類集める」があり、そのために好きでもないキャラをハーレムにいれなくてはならない、せっかく育てたキャラと別れないといけない場合があり、プレイヤーからの不満を買った。


また戦闘がサイコロを使った運ゲースタイルであったため、通常戦闘のテンポが悪く、レベル上げも時間がかかるというモノだった。


これは製作スタッフのチーフが大手ゲーム会社の役員候補であり、ゲームを題材にした漫画作品のダイスを使ったゲームやTRPGが好きだったためこのようなバトルシステムになったと言われている。


またストーリーは途中で「ラノベパート」なる場面があり、フルボイスだったゲームはそこだけボイスがなく、背景画面に文字が羅列され、BGMを聞きながらただ終わるまで読むだけである。しかもこのパートは絶対にスキップ出来ない。


「ラノベを題材としているならラノベっぽい所が無ければ矛盾している」


と製作者サイドは言っているが、プレイヤーからすればただの時間稼ぎでしかない。しかもシナリオを書いたのは製作スタッフの若手なので素人感が否めなかった。


また、このゲームの発売価格は当時のゲームソフトの値段の平均が5000から6000円くらいの値段に対して9800円と強気の値段をだした。

このゲームは特典でゲームのメインキャラである勝負の神・ダイスマンのフィギュアと特典アニメDVDが付いてきており、その分だけ値段が上がっていた。だがアニメの出来はイラストによる紙芝居のお粗末な仕上がりだった。

 このゲームを動画サイト【ドウチューブウ】で実況したクソゲーをメインに実況する投稿者・クソゲバスターゆうかりん氏は

「キャラメイク要素は評価できるがそれ以外が落第点。クソにゴミを付けてラノベオタクを対象に搾取しようとした詐欺ゲームとしか言いようがない」

 とコメントしていた。


こうして【ブレイクランド】は人々からクソゲーの烙印を押されてしまった。


散々の評価を受けているが、僕からすれば昔からずっと遊んでいるゲームであり、なにより好きなキャラとハーレムを組んで冒険できるというシステムはこのゲームでしか楽しめない部分であり、スマホでガチャを回してキャラを会得するよりは楽なので冒険は時間を掛ければなんとかなるので、クソゲーとして有名だがコアなファンもいるゲームである。


クリア後は集めたアイテムで自分の拠点を作ったり、会話イベントをしたりして楽しむことが出来る。


ツバキ『今日も冒険に行くぞ!』

メリー『楽しみましょうね!』

サファイア『俺に任せろよ!』

アズサ『お任せください』

イシュエル『わらわの暇つぶしに付き合うのじゃ』


画面越しにパーティメンバーから固定セリフが流れる。もし時代が違えば、デバックのダウンロード等で神ゲーに化けていたかもしれないと思うととても残念だ。


ゲームを終えると僕は就寝する。明日が休みなので1日中寝ていようと考えながら僕は眠りについた。


―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― 



「いらっしゃいませー…」

 今僕は夜勤を超えて朝を迎えている。本当は休みだったが、シフトの急遽変更によるヘルプで呼び出された。本来の担当だった木村さんが無断欠勤し代理として入って僕が入ったのだ。ゲームをやるつもりだったのでしっかり睡眠をとってないのが災いし、頭がふらつく中なんとか仕事をしていた。朝の辛い時間に加え、


「木島さん! 挨拶はしっかりしないと! 基本だろお!?」

「すみません…」

「俺が前いた会社なら鉄拳制裁だよお~? コンビニ店員だからって仕事は手え抜いちゃだめだよ~」


朝と日勤のシフトに入っている谷川さん。彼は嫌味を零しながら仕事をしている。


「すいませ~ん、肉まん2つ」

「いらっしゃいませー! 木島さ~ん! 肉まんとってちょうだーい!」

「わかりました~…」


半年前から入ってきた谷川さんは皆から苦手意識を持たれている。以前は営業系の会社で主任だったらしく、不況の煽りを受けてリストラし今コンビニにいる。

最初は普通の人だと思ったが、コンビニ店員を下に見ており年下に対して強気の態度を見せた嫌味を吐いたり、自分はほとんど仕事をせずに他人に任せている。人の失敗はとやかく文句を言って、自分の失敗は笑って許すという、かなり歪な性格をしていた。

彼が来てから夜勤が1人、日勤が2人やめており、人手不足の状態になっている。

店長から注意を受ければ大人しいが、すぐに元に戻り僕達の仕事にとやかく文句を言う厄介な人だった。

 だが文句を言っても仕方なので押し黙って肉まんを出していると、


「金出せコラアア!!」


包丁を持った30代位の強盗が狂気の瞳で客を脅しながらレジに向かってくる。


「金を出せ! じゃねえとブチ殺すぞ!」

「ひいい! 」


万が一の場合警備を呼ぶよう言われているが、いざとなると反応できず体が動かない。


「畜生! どいつもこいつも俺をバカにしやがってっ!!」


ズバッ!!


「あ…ああ…」


ドサッ!

木島の腹部が男が振り回した包丁に切られ、血を吹き出す。


「ひゃああああ!!」

「20年も真面目に勤めて来た俺をリストラしやがって! 社会がみんな悪いんだ!! ぶっ壊してやっるううううう!」


男はその後、客が通報した警察によって取り押さえられた。

彼は業績不振による売り上げ悪化により会社をリストラされた元営業マンだった。家族にも見捨てられ、ドラッグにのめりこみ、意識の混濁の中の犯行だったらしい。


そして、僕こと木島は死亡した。

あまりもにもあっけない最期だった。特に変わったことのない日常を過ごせればよかった人生だった。意識が闇の中に沈む中、彼はふと思っていた。


(最後に…もう一度ブレイクランドをプレイしたかった…。皆に会いたかった)


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― 


―遥か昔、勇者ブレイブと魔王ベリアルの戦いは終わりを告げようとした。魔物たちに虐げられた人間達を助けるべく仲間と共に戦った勇者はボロボロだった。


「ふん。随分と頑張るな。だがここまでだ」

「はあ…はあ!」


魔王の力は圧倒的であり、勇者の仲間たちはみな全滅。勇者ももはや剣を振るうのが精一杯だった。


「わが攻撃で消えるがいい!」


ベリアルが最後の攻撃を仕掛けようとしたとき…


「まだだ…まだ終わらない! オレがあきらめない限り、人間達の歴史は終わらない! 魔王よ、最後のオレの技を受けろ!!」

「どんな攻撃も、わがパーフェクトフェニックスファイアーの前に焼き尽くしてくれるわ!」


魔王の一撃が勇者を襲う。だが。勇者は魔王の攻撃を切り裂き、渾身の一閃を振るう。


「この技はオレの命と引き換えに使える最終奥義! この命が無くなろうと貴様事あの世に行ってくれるわ!!」

「貴様! 相打ちにする気か!!」

「食らえ! 北星葬送十字剣!!」


勇者は己の命を剣に注ぎ、魔王を切り裂く。


「グアアアアアアアアア! この私が人間ごときに! だが…ただでは死なん! この世界も道連れだアアア! 」


魔王は死にゆく前に魔力を世界各国にばらまいた魔力によって作動する爆弾、『ニトロダイス』に注ぎ、各場所で爆発が起こり、魔族も人間も犠牲となった。


魔王と勇者の戦いの果て、世界は木端微塵に吹き飛んだ。


だが、生き残った人間と魔族はかつての生活を取り戻すため活動を始めた。

人間は安定した生活のために、魔族は魔王の復活の為に。


勇者に倒された魔王はよみがえろうとしていた。

新たな時代の勇者よ。この世界に理不尽にも飛ばされた勇者・ヨシハルよ。生き残れ!


全ての終わりから始まりの地となる、この遥かな【ブレイクランド】で…!


―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― 


「あれ、ここは?」

 目が覚めるとそこはどこかの収容施設の様な場所だった。2段ベットのタコ部屋。ほのかに明るいランプ。


「おお、目が覚めおったか若いの?」

「あ、あなたは…!?」

 彼はひと目見てその老人が誰かを理解した。

「ヨハン!? 奴隷強制労働収容所現場主任のヨハン!?」

「? なぜワシの事を知っておる?」

「あ、いや、他の方からあなたの話を聞いてまして…」

「そうか」


老人ヨハン、そしてこの場所。間違えない、ここは【ブレイクランド】の主人公が魔物たちに襲撃されて労働奴隷として働かされる場所だ…!


「まあええわい。目が覚めたならさっさと仕事にいくぞい」

「仕事ですか」

「そうじゃ。早くしないとせっかちな魔物共に殺されるぞ。奴らはワシらを簡単に殺せるほど強い。生きる為に働くんじゃ」


ヨハンはそう言ってツルハシを2本持ってきて1本を主人公に渡して現場へと案内した。



意識が闇の中に沈んだ後、女性の声で聴いたことがある文章が頭に流れた…! 間違いなく僕は、ヨシハルこと木島義春は【ブレイクランド】の世界に来てしまったというのか…!?


(だとしたら序盤は生き残るために頑張らないといけない…! 主人公は魔王と勇者の戦いの後、両者の相打ちで荒廃してしまった世界を生き延びるのが序章だ…! この強制労働施設も運が悪ければ最悪ゲームオーバーになる…!)


8年かけてクリアしただけあってヨシハルはこのゲームの恐ろしい点を理解していた。



―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― 


労働場所につくとそこは砂埃が舞い、掘削音と瓦礫が運び出される作業現場だった。


「人間! 貴様には魔界鉱石のアビスリウムを掘ってもらう! 兎に角堀りまくれ! サボったら飯抜きだからな!!」


魔族がそう言って鞭をしならせ現場を監視する。


そこは老若男女問わず魔族に脅され労働する人間達がいた。僕も奴に従い地面を掘り始める。慣れないツルハシを地面に突き刺し、土砂と共に出てくるアビスリウムを集める。


「ゴホゴホ!」


隣で作業していた中年の男がせき込む。


「サボってんじゃねえ! 」


魔物は容赦なく鞭を男に向ける。

「ひい…すみませんすみません!」

「ゴミが! テメーの代わりなんていくらでもいるんだ! とっととくたばりやがれ!!」


バシッ! バシッ! ビシッ!


鞭の叩く音が作業現場に響き渡り、労働者達に恐怖を植え付ける。次は自分がやられるかもしれない。そうならないためにツルハシを振り続ける。


「ううっ…」

 庇ったら自分もやられるかもしれない。だがヨシハルは無意識に体が動いた。


「あ…うあああー!」


鞭を振るう魔物に向かって体当たりした。


『ダイスロール! 魔物を倒して男を救え!』


突然脳内に音声が入り、クルクル回るサイコロが現れる。


『ダイスの目が1~3なら失敗! 4~6なら成功!』


コロン!コロコロ…


『4! ダイスロール成功!』



「うああああああああー!! 」

 場面い戻り、ヨシハルの体当たりは魔物に成功した。


(まずは成功…! このゲームは悪いで目を出せば体力が削られる…!)


ブレイクランドはこのようなアクションで時折ダイスを振って展開を決められることになっている。ちなみに先の体当たりイベントは失敗すると魔物にカウンターを喰らってゲームオーバーになる。


「反逆者だあああ!」

「取り押さえろおおお!」


魔物たちがよってたかってヨシハルを殴打し、彼は気を失った。



―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― 


ポタリ…ポタリ…


水滴が滴り落ちる音で目を覚ました。


(独房か…イベントはちゃんと進んでいるみたいだ…)


進んでいることに安堵を覚えていた。そして牢屋で新たなイベントが始まる。


「お前も捕まったのか…」

「…!」


牢屋で最初にこのゲームで作ったキャラが出てきた。

ツバキさん。腰まで伸びた黒い髪と赤と緑のオッドアイ。巫女の血を引く長身巨乳美女の女性である。


ハーレム用に作ったキャラはストーリーが進むごとに1人ずつ出て来て。正確によりセリフが変わるがツバキは『奴隷になった人々を開放するために魔物たちに1人戦いを仕掛けたが罠にはまり捕らわれた女性冒険者』という設定でここで登場する。


「ええ、色々あって…」

「勇者が死んでから地上は荒廃し、魔物たちが暴れるようになってきた。なんとかここの人たちを開放してやりたいが…」

「僕も協力します!」


そうしないとストーリーが進まないのでツバキに協力するよう話しかける。


「ああ、よろしく頼むよ」


ツバキの微笑に心奪われた。他のキャラに会ったらどうなってしまうのかわからない。

唐突な転生に戸惑いもあったが、とりあえず今はこのゲームの世界を楽しみ生き残ることにした。


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