シリーズ第一弾と第二弾のネタバレと初出情報を含む残念な登場人物たちの残念な感じの登場人物紹介とやたら多い用語解説と申し訳程度のあらすじです。笑うしかない長さになってしまってすみませんとしか言えません!
サブタイジャスト百文字です。本文いちまんにせんもじです。ひらがなにしたって全くかわいくならない文字数です。
あまりに長くて申し訳なく。本編中にも初出時には簡単に説明は入れるようにします…。
5/24、日浦海里様作の人物相関図と、小池作ざっくり地図もどきを差し込みました。
【登場人物紹介】(別名 髪色/瞳の色 年齢)
※登場人物ですが、人外も含みます。というより半数以上人外です。
〈シリーズメインと今話メイン〉
●リー(本名リーシュ 茶/金茶 二十二歳)
女の子っぽい名前を嫌がって本名を名乗らないシリーズ通しての主人公。魔物絡みの依頼を受ける請負人という職に就く、童顔小柄の大剣持ち。中級請負人としてはそれなりに出来る方。メルシナ村の護り龍ウェルトナックからの依頼を機に、龍絡みの依頼である『百番案件』の担当となった。それもあり龍に乗り飛ばねばならぬことが増えるが一向に慣れる様子もない高所恐怖症。いつも下を向いて呪詛のごとく大丈夫だと己に言い聞かせている。
物理的な意味で身の丈に合わない大剣は肩越しに抜けず、苦肉の策で曲芸めいた抜き方をしている。前作中、外さねば地面に座れないことが発覚した。防具は服の下に着ている組織開発の薄手の防刃素材のもののみで、耐衝撃の防具をつけない理由は特にないと言い張る。
お酒は好きだが一見さんだとかなりの確率で断られて地味に傷付くので、店の様子を見て注文しないことも。フェイと一緒だと頼みやすいと気付き、初めてフェイの同行を嬉しく思った。
実家に仕送りを続けつつも、使う機会が少ないので実は自身もそれなりに蓄えている。百番担当となり来年の給料は増える予定。
人の身体に龍の魂を持つとされる『龍の愛子』で、龍に好かれ、一度出逢えば半区画(約二十五km)先でも居場所を悟られ、エルフに絆されない。
黄金龍アディーリアの『片割れ』でもあり、現在はアディーリアからリーへの絆のみ結んでいる状態。リー側にアディーリアの居場所と強い感情は伝わるが、アディーリアへは伝わらない。
文句は言うが基本面倒見はよく、龍の子どもたちへの態度はかなり甘め。一方で中身はなかなかおっさんなのに、こと恋愛に対してはおこちゃま。ラミエに惹かれつつも、己の気持ちにも傍目には明らかなラミエの気持ちにも自信を持てず何もできないヘタレな奥手。初恋の人は同郷の優しいお姉さんだった。もちろん実姉ではない。
●アーキス(銀/藍色 二十二歳)
今話のメイン。中級請負人でリーの養成所時代からの友人。人当たりがよく気遣いに長け、養成所時代はリー絡みのトラブルをいくつも解決してきた。高所恐怖症のリーが木に登れる程度まで克服できたのは、アーキスの根気強い協力とトマルの手入れが行き届いた木々のおかげ。枝を大量に折ったことも、もちろん一緒に謝った。
武器は細身の剣。力ではなく技量で戦うタイプ。リーとも上手く連携が取れる。防具はリーと同じ薄手の防刃素材の防具のみ。こちらは動きにくいからと理由を明言しており、誰もそれを疑わない。
四の五の聞かずに巻き込まれてくれる一方で、リーが言うのをためらったことへは少しご立腹の様子。優しげな顔に似合わぬ酒豪で、彼の言う一杯はグラス一杯ではなくたくさんの意味。
今のところ目立った残念さはないが、このシリーズの登場人物である以上完璧超人はあり得ない(断言)。
〈龍〉
●アディーリア(人の姿時アリア 金/金 十歳前くらいの外見)
メルシナ村の護り龍ウェルトナックの末っ子の水龍。龍の中でも珍しい黄金龍。特に父親と兄たちには甘やかされている。リーの片割れで、リーのことは大好きで大切。リーを前にするとすぐに大好きが溢れて突撃をかます。定位置は膝の上。人の姿を取ることはできるが体重を変えることができないので、見た目よりも軽い子どもとなってしまう。
黄金龍ゆえか色々と聡い反面、子どもらしい無邪気さを持つ。
四男ユーディラルと棲処を抜け出し旅をする中で、自分の知識と力のなさ、そして人というものを少し知る。
初めて温かい食べ物を食べたが、やはり冷たい方が美味しいと思っている。パンは好き。
●ウェルトナック(人の姿時カナート 本来は水色/青だが、フェイとともにいるときは髪、瞳とも煤けた赤 四十代くらい)
メルシナ村の護り龍の水龍。番であるメルティリアと五匹の子どもたちと、村から少し離れた池に棲む。子どもには甘く、妻には頭が上がらない。
若い頃に人の世を旅していたせいか、人に近い考え方をするところもある。人の食べ物や酒を好むのはこの頃の影響。
愛子かつ娘の片割れであることを差し引いてもリーのことは信頼しており、龍のことを色々と教える。
先日色々とやらかしたので、当分会合がなければいいのにと思っている。
●メルティリア(人の姿時アイリス 水色/青 二十代にも三十代に見えない)
ウェルトナックの番の水龍。ともに護り龍の責を負う。
色々な意味で家庭内最強。恥ずかしがり屋であまり池から出てこないが、菓子は好きな様子。黄金龍かつ唯一の女の子のアディーリアを甘やかしすぎない精神力の持ち主。某エルフ同様逆らわない方がいいと思われる。
●シェルバルク(人の姿時クレイ 水色/青 二十代前半)
ウェルトナックの長男の水龍。請負人組織本部との連絡役としてユシェイグに向かうこともしばしば。
優しく穏やかで、父母を気遣うできた子ども。本部からの帰りにリーの義兄ナバルの店に立ち寄り土産を買ったのは、母のためであると同時に自分のためでもあったりする。
●オートヴィリス(人の姿時シルヴァ 水色/青だが、アディーリアといるときは金/金 二十歳くらい)
ウェルトナックの次男の水龍。一歩引いて見守る性格だが、責任感は強い。アディーリアとユーディラルの家出時には刺客として差し向けられたが逃げられ、その後誘拐事件に巻き込まれたことを気にしていた。性格はメルティリアに似ているのか、本気で怒ると一番怖い。
●カルフシャーク(人の姿時ケルト 水色/青 十五歳くらい)
ウェルトナックの三男の水龍。明るく元気なやんちゃもので、落ち着いたユーディラルの方が兄に見られがち。その節はスマヌ。兄弟の中では性格がウェルトナックに一番似ている。ユーディラル同様外に憧れはあるが、無茶をしないだけの常識はある様子。
兄弟たちとは全然違うフェイに興味を持ち、今は慕っている。かつての父とフェイのように、いつか一緒に旅ができたらと少し思っている。
●ユーディラル(人の姿時ライル 水色/青 十二〜三歳くらい アディーリアといたときは、金/金 十歳くらい)
ウェルトナックの四男の水龍。落ち着いた性格で知識もある、聡い子ども。
外への憧れからアディーリアと池を抜け出す。巻き込まれた騒動の中でそのつもりなく人を傷付けてしまったこと、そしてその人から向けられた悪意に晒されたことで、己の無力さと人への恐怖を覚える。リーを始め、騒動中知り合ったソリッドとヤト、そして友人となったレックスの存在のおかげで、人そのものを恐れるまでには至っていない。己自身と人について、今はゆっくりと見つめ直している最中。最近は池底の壁際から上を見上げていることが多い。
●フェイ(龍の名エルトジェフ 真紅/真紅 二十代真ん中くらい)
ドマーノ山に棲んでいた火龍。今はリーとともに行動している。幼い頃にウェルトナックと人の世を旅していたせいか、龍には足らず、人には余る。本人にも自覚はあり、色々と取り零してきたことを取り戻すべくリーとの旅を続けている。第一弾の別名が『残念エルフと残念龍』となるくらい、双子と双璧を成す筆頭残念キャラ。基本マイペースな変わりもの。しかしそれゆえ迷いは少なく、心のままの言葉はそのつもりなくリーを導くこともある。
子どもの扱いに長けるのは龍であるから。決して本人の中身が子ども同然だからではない、らしい。
●ネイエフィール
リーの故郷、バドック村の護り龍の地龍。リーのことを生まれた時から見守ってきた、祖母的立ち位置。リーが愛子であることも話さずにいた。
いつも穏やかで落ち着いた物腰だが、リーのことで訪れたフィエルカームを言いくるめる一面も。
●マルク(龍の名フィエルカーム 銀灰/銀 五十歳くらい)
請負人組織副長の風龍。本当はウェルトナックよりかなり若く、ネイエフィールには手も足も口も出なかった様子。
組織長レジストよりも仕事をしており、組織長室は既にマルクの執務室となっている。もちろんレジストに異論はない。
冷静でいつも淡々としつつ、使えるものは龍である己ですら有効利用する合理主義者。副長という立場ながら運搬役を買って出るのもこのため。
保安協同団幹部のハリスガジェック、組織事務員のネル兄妹とは旧知の腐れ縁。特にハリスガジェックとは仲が良すぎてお互い遠慮がないが、これまた仲良くお互いに認めない。ネルのことは妹のように思ってはいるが、装う歳に差がありすぎるので表には出さない。
●トマル(龍の名チェドラームト 濃茶/黄土 五十歳くらい)
請負人組織職員で普段は庭師として働いている地龍。百番案件担当のほか、連絡係として活躍(?)中。ウェルトナック、フェイ、ネイエフィールの旧知。リー、アーキスとは養成所時代に知り合った。
ネイエフィールとは彼女が護り龍になる前からの知り合いで歳も近い。バドック村を動けないネイエフィールに、会合の報告のほかにも時々会いに行っている。
●ジャイル(龍の名ハリスガジェック 銀/銀 五十歳くらい 新米保安員セルジュ 飴色/灰 十六歳の姿を取るときもある)
保安協同団内唯一の龍で、団幹部。ネルの兄でフィエルカームと腐れ縁の風龍。見た目の年齢がマルクより年下になるのが嫌でこの年齢となった。そしてこれはフィエルカームも同じく。
いかつめの見た目に反しかわいいものが好きなようで、団で使役するリルダヴという鳥型の魔物を溺愛する。リルダヴが龍であるハリスガジェックに怯えて従っていることにまったく気付いておらず、慣れされるために月交代で団の南本部と北本部を行き来して世話を焼いている。リルダヴにとっては恐怖の一月。
幹部の姿では動きづらいとき用に、新米のセルジュとしての姿も持つ。ジャイルからはとても想像できない子どもっぽい言動は、彼のかわいいもの好きが表れているのかもしれない。何を言われるかはわかっているのでフィエルカームにはセルジュの姿を見せたことがない。
●ネル(紫銀/金 本来は銀/銀 二十歳くらい)
請負人組織職員の風龍。ハリスガジェックの妹で、フィエルカームと旧知。兄のことをおにいと呼ぶ。
ミゼットのことが好きすぎて容姿を寄せている。ミゼットの幼馴染のヴィズにはよく突っかかっているが、よく聞くと本当はミゼット談義に花が咲いているだけである。
〈エルフ〉
●ラミエ(本名ラミエ・ワクラー・アス・ロットシェル 金/青 エルフ年齢三十二歳 人換算二十歳)
請負人組織職員兼紫三番食堂従業員のエルフ。今は同行員資格取得中につき、夕刻からのみ食堂で勤務中。リーの養成所時代の教師、セインの次女。
人を絆すエルフであることから人からの好意を信じきれなかったが、誰に対しても変わらぬリーの姿に自身の在り方を見直す。リーと知り合い話すようになってからは恋心に拍車がかかり、思わず双子を牽制してしまうほどに。そのくせ本人を前には行動に出られず、そんな自分に呆れてもいる。
何度でも書くが、恋愛はマイナスに振り切る予定だった作者を物ともせずにすっかりメインヒロインの位置を陣取りつつある困ったちゃん。余話の一話目もすっかり定位置。
●エリア(本名エリア・シェーザ・アス・ミオライト 赤/赤 エルフ年齢二十歳 人換算十六歳)
第一弾の騒動でリーと知り合った双子のエルフ。こちらが妹。現在は請負人組織本部の職員と同行員の資格を取るために本部にて訓練中。魔力も素質も中の下くらいだったが、訓練の成果か現在は少し伸びてきている。ティナとの間で魔力のやり取りができる。
フェイと肩を並べる残念振りを誇り、いつもリーにツッコまれている元祖残念エルフ。食べながら喋るのは定番。実はツッコミ待ちだとラミエに白状した。
●ティナ(本名ティナ・シェーザ・アス・ミオライト 金/金 エルフ年齢二十歳 人換算十六歳)
第一弾の騒動でリーと知り合った双子のエルフ。こちらが姉。現在は請負人組織本部の職員と同行員の資格を取るために本部にて訓練中。魔力量、素質ともに優秀だが、攻撃魔法しか使えない。なぜか加減ができず高威力の初級魔法を二発しか撃てないが、訓練の成果か昏倒はしなくなった。エリアとの間で魔力のやり取りができる。
実はリーにツッコまれるエリアを見るのが楽しみな、無口な残念エルフ。たまに出番があってもほとんど台詞がない。
●ミゼット(紫銀/金 エルフ年齢を記そうとすると某かの妨害に合う 二十代後半くらい)
請負人組織職員で、その実裏ボス。『ねぇさん』と呼ばれ恐れられている。請負人の初代組織長の妻。子どもはおらず、夫の残した請負人組織を守り続けている。リーが百三十一期生なので少なくとも……。
実力も経験も、そして精神力も申し分なしで、請負人所属のエルフの中ではヴィズ、クフトと並んで最強を誇る。おっとり間延びした話し方は、こちらの意図を気付かせにくくするために身についたもの。真剣な時には普通に話す。
●ヴィズ(蜜柑色/黄緑 エルフ年齢はミゼットよりひとつ上 二十代後半くらい)
請負人組織職員で、ミゼットと同郷の幼馴染。若い頃ミゼットとともに故郷を出て、請負人組織の立ち上げにも協力した。ミゼットの夫と友人関係。ヴォーディスでは第一陣のうしろで石の箱を持っていた。
基本物腰は穏やかで丁寧だが、時折笑顔のまま毒を吐くことも。よくネルにミゼット絡みの自慢話をしては突っかかられている。
●クフト(深緑/金 エルフ年齢は二百歳を超えている 三十代真ん中くらい)
請負人組織職員。かなり初期から所属する。ヴォーディスではリーを林中に引き込み視覚阻害魔法をかけた。
緩やかに老いていく身にそろそろ引退しようかとも思っているが、ミゼットとヴィズを御せるのはクフトだけなのでレジストとマルクに引き止められている。おそらく一番の常識人ゆえに気苦労も多いのかもしれない。
●セイン(セイン・ワクラー・アド・ロットシェル 金/青 エルフ年齢百五十歳くらい 二十代後半くらい)
請負人組織職員で、養成所の魔法担当教師。奥さんは本部食堂勤務、長女カレナ、次女ラミエは紫三番の食堂勤務。穏やかであまり怒ったところを見たことはないが、にっこり笑って毒を吐く腹黒な一面も。似た性格のヴィズとは気が合う様子。
●カレナ(カレナ・ワクラー・アス・ロットシェル 金/青 エルフ年齢四十歳くらい 二十代前半くらい)
セインの長女でラミエの姉。請負人組織職員で元々紫二番食堂勤務であったが、ラミエが同行員の資格を取るために通常勤務ができなくなったので、紫三番食堂へ異動となった。ラミエよりは世間慣れした様子で、言い寄る男どもを上手くあしらう。
もちろんラミエの気持ちには気付いており、煮えきらないリーをからかう様子もあるが、おそらく半分は楽しんでやっているだけ。
〈ハーフエルフ〉
●リリック(白金/蜂蜜 二十代くらい)
請負人組織職員で、受付棟常勤のハーフエルフ。耳は長くない。ラミエの友人であることから、双子とも友人に。
人にもエルフにも馴染まぬハーフエルフであることには少し思うところがある様子。
●コルン(赤銅/碧 二十代くらい)
請負人組織職員で、受付棟常勤のハーフエルフ。耳は長くない。ラミエの友人であることから、双子とも友人に。
リリック同様ハーフエルフであるということに諦めのようなものも。
〈人〉
●ジーク(茶/金茶 二十九歳)
リーの実兄で、バドック村に住む。早くに両親を亡くしたリーにとっては父親代わりでもあった。金細工師であり、既に独立して自宅の隣に工房を持つが、作品は主に橙三番の宿場町で師の工房と共同で売っている。
養成所の入所金を用立ててもらった分だと言い張りリーから送られ続ける金はそのまま手を付けられることなく貯められている。
リーが家を出るまではリー第一、それ以降は仕事第一で、顔も性格もそれなりにいい割には浮いた話がひとつもないが、本人は全く気にしていない。多分リーに先を越されても気にしない。
●シエラ(茶/金茶 二十七歳)
リーの実姉で、結婚してからもバドックに住む。リーの母代わりの叱り担当。つい反抗するリーはもちろん、のんびりとリーを甘やかすジークにも少々厳し目。夫ナバルには怒る理由が何もない。
リーが成人した際、もう保護者代わりではなく姉に戻ってたまには甘やかしてもいいかと思ったものの、その時のリーの態度が癇に障ったので秒で考え直した。リーの高所恐怖症の原因。
●ナバル(濃茶/黒 二十八歳)
リーたち三人と同郷の幼馴染。子どもの頃からシエラ一筋の義兄。橙三番の菓子店勤務。
すぐ喧嘩になるリーとシエラの間をとりなしたり、落ち込むシエラを慰めたり、怒るシエラを宥めたりしてきた。滅多に怒らないが、駄目なことは駄目だときちんと言う。
●レジスト(金/赤褐色 四十三歳)
第十代請負人組織長。実年齢より若く見られがち。実力は上級の中でもトップクラスだが、事務には向いておらずデスクワークは副長のマルクに丸投げしており、組織長室もすっかりマルクの執務室となっている。
よく抜け出してはグレイル、デインと一緒に依頼を受けている。独身。
●グレイル(焦げ茶/砂色 四十三歳)
レジストと同期かつ友人で、レジストと共闘できる数少ない人員。リーと変わらぬほどの大剣を持つが、体格が全く違うのでもちろん受ける印象も全く違う。妻子持ち。
●デイン(暗緑/山吹色 四十五歳)
レジストと同期かつ友人で、レジストと共闘できる数少ない人員。三人の中では一番小柄ではあるが、それでもリーより大きい。独身だが、いくつか別邸(?)がある様子。
●セーヴル(濃灰/灰 三十五歳)
リーの同期の中級請負人。請負人になるか結婚して安定した職につくか悩んでいた頃にリーと出会い、結婚して請負人になるという結論に至る。養成所を出たあとに、妻にリーを紹介している。息子がひとりいる。
●ソリッド(黒/黒 二十歳)
騙された果てに反組合集団の一員に。アリアとライルを拐ったものの、ふたりに絆され素直になり、裏切りを決める。本当は請負人になりたかった。現在は保安協同団の南本部にて軟禁中。いつかアリアたちの両親に謝りに行こうと思っている。
アリアとライルのことは龍だということも龍の名も知っている。龍の片割れであるらしく、ほかの龍にも好意的に見られやすい。
基本口は悪くぶっきらぼう。天涯孤独の自分とは違い、姉のいるヤトの足枷となっていることを気にしていた。
●ヤト(暗青/濃紺 二十歳)
姉サーシャの借金の形に反組合集団の一員に。アリアとライルを拐ったものの、ふたりに絆され素直になり、裏切りを決める。本当は料理人になりたかった。現在は保安協同団の南本部にて軟禁中。いつかアリアたちの両親に謝りに行こうと思っている。
アリアとライルのことは龍だということも龍の名も知っている。龍の片割れであるらしく、ほかの龍にも好意的に見られやすい。
心身喪失状態で戻ってきた姉を守るために自らを売った。楽天家だが思慮深い面も。自暴自棄になりそうなソリッドのことを心配していた。
●サーシャ(青/濃紺 二十三歳)
ヤトの姉。恋人だと思っていたテレスに騙され多額の借金を背負い戻ってきた。身代わりになったヤトには感謝と申し訳なさを抱いている。過去の出来事から男性恐怖症になったが、少しずつ前を向き始めている。現在は橙街道の三番と四番の間の中継所の宿屋で住み込みで働きながらヤトを待っている。
●モートン(朽葉/深緑 四十一歳)
保安協同団団員。セルジュの上司。セルジュがジャイルであることも龍であることも知っている。知っていて叱りつけている演技派。
●レックス(金茶/淡い緑 九歳)
拐われ、アリアとライルと一緒に集められた子どものひとり。ふたりが龍だと気付きながらも態度を変えなかった。
大きくなったらまた会いに行くとライルに約束をし、その証としてユーディラルの名を教えられた。
●シエスタ(栗色/深緑 二十六歳)
ソリッド、ヤトのボスで反組合の集団の一員。末端だった模様で拐った子どもたちの行く先も知らなかった。イグニスとは恋人同士だとの認識だったが、一方向だった様子。
龍に戻ったユーディラルに怪我を負わされるが怯まず、逆に人の怖さをユーディラルに刻み込んだ。足の怪我は傷は小さいものの当たりどころが悪く、後遺症が残るとの診断。その事実はユーディラルはもちろん、リーにも伏せられている。
●イグニス(金/琥珀 二十八歳)
反組合の集団の一員。保安の追手がかかっていると気付き、エイランとともに姿をくらませた。ラジャート村から子どもたちを連れていった先を知っている。
●エイラン(紺/黒 三十二歳)
反組合の集団の一員。ラジャート村ではイグニスの小間使いをしていたが、本来は対等な立場の様子。イグニスとともに姿をくらませた。ラジャート村から子どもたちを連れていった先を知っている。
〈その他〉
●ギル(龍の名ギルスレイド 少し暗めの金/金 二十八歳)
リーの同期の中級請負人。落ち着いた物腰の人物で、大抵のことは微笑んで流してくれる。
ウェルトナック、フェイと旧知のかつて龍であったもの。あと少し身体に残るくすんだ金の鱗は、時とともに剥がれ落ちる。本人曰く贖罪の途中。
《日浦海里様作人物相関図》
【用語解説】
●龍
魔物の頂点。それゆえ魔物が寄りつかない。護り龍として人里の傍で棲む龍や、人の姿で人に紛れて住むものもいる。人へも、人以外へも姿を変えることができ、容姿を変えることと重さを偽ることはそれぞれ別に魔力を使う。司るものへと紛れることができるが、これには魔力は使わない。
水龍、地龍、火龍、風龍の四種がおり、稀に種を問わず金の鱗を持つ黄金龍が生まれる。水龍と風龍は手足が短く体の細長いヘビ型、地龍と火龍はどっしりとした体に太めの手足と尻尾のトカゲ型が基本形態。魔力で空を飛ぶので飛びながらの攻撃はできない。風龍を除き、基本飛ぶのは不得手。
すべてを見透かす眼を持つといわれ、人の悪意を見抜くことができる。龍の意思なく剥がすことのできない鱗、龍の名、ともに信頼したものにしか渡さない。
万物から生きるための糧をもらえるため、基本経口での栄養摂取は不要。個から種へと声を伝えることができる。時折会合と称して集まっている。
龍は長い一生の間に数人の『片割れ』となる人を得る。互いに絆を結ぶことで、相手の感情と所在地がわかるようになる。人にはわからないが、龍には出逢えば片割れとわかる。龍の愛子は、例外なく黄金龍の片割れとなる。片割れとなる人はほかの龍にも好意的に感じられやすい。
●護り龍
龍のうち、人の傍で生きることを選んだもの。龍であって龍でない龍。
龍の力は己のための力だが、護り龍となった時点で攻撃する力を守る力にシフトする。種として君臨するので魔物に襲われはしないが、何かあっても攻撃はできない。土地と繋がりを持つので離れると生きられないが、番がいればふたりで責を担うため片方は出られる。土地を汚されたりなど、糧の貰えぬ地になると護り龍も死ぬ。会合は番がいるならどちらかが出て、いない護り龍にはのちに連絡が来る。護りの範囲内でほかの龍に攻撃の魔力を使われると、威力は弱く、後の護りにも影響が残る。
●龍の愛子
人の身に龍の魂を持つと言われる存在。
決して龍に害を与えることはなく、むしろ幸運をもたらすといわれる。
例外なく黄金龍の片割れとなる。また、黄金龍にとっても生涯得られる数人の片割れの中で愛子はひとりだけである。
具体的には、龍に好かれ、出逢った龍との繋がりを得るため近付くと居場所を悟られる。
龍の魂を持つためか、エルフに絆されない。
●エルフ
長い耳が特徴的な、ほぼ例外なく整った容姿をしている魔法に長けた種族で、多くはその集落でひっそり暮らす。寿命は三百年ほど。
魔力量もその器も人と比べ物にならぬものを持つが、魔力を溜めおくことができないため常に垂れ流しの状態。魔力が切れたままだと、すぐに影響はなくとも、最悪の場合は死に至ることも。そのため集落は魔力の溜まる場所に作られている。集落を出るときは魔力を溜める性質を持つ石を持ち歩かねば経口での魔力補給に頼ることになるが、ほとんどのものは集落を出ないため知らぬままである。
その存在が人を絆す種で、耐性の低い者は無条件に恋情に近い想いを抱くことも。尤も容姿がいいのでそのせいもあると思われる。
基本引き籠って暮らしてきたため、常識に疎く頭が固い、ちょっと残念な種。エルフと人との混血であるハーフエルフに対しても、あまり好意的でない様子。
現在は人の世に出るエルフも少しずつ増えてきているが、集落に残るのは昔通りの価値観を持つものたちなので、生まれた子もまた同じようになる傾向がある。
●ハーフエルフ
エルフと人との混血児。継がれるエルフとしての特性とその程度はまちまちだが、人にはなく、エルフには足りない。それゆえエルフの集落にも人の中にも馴染みにくい。クォーター以下、混ざる血の量に関わらず、少しでもエルフの特性を持つものはすべて『ハーフエルフ』と称する。
●請負人
依頼を受けて解決をする組織及び組織員。通常は組織員のことを指す。青の二番三番、紫の二番三番に区切られたユシェイグ地域を本部とし、主に魔物に関する依頼を引き受ける。
街道の交差部にある各宿場町に支部があり、近隣の依頼を受けることができる。依頼主と受けた請負人はともに割板を持ち、依頼の完了の際には割板を交換、各々が支部へと報告書とともに提出する仕組みとなっている。
請負人には三段階の級があり、それぞれで受けられる依頼や手数料が異なる。手数料は上級四割、中級三割、下級一割。複数人で依頼を受けた場合に級が異なる時は、一番高い手数料が取られる。
その場での金銭のやり取りはなく、依頼料は年に二回、二の月と六の月、各五十日ずつの猶予期間のうちに本部で手続きをすれば、前年度の給与を受け取れる。もちろん手数料や借入金は差っ引かれたあとである。すぐに必要のない分は預けておくこともできる。
その分の保障はしっかりしており、各支部で金を借りたり、武器防具の融通など、手元に金がなくともどうにかなるだけの体制は整えられている。
各支部の職員は引退した元請負人コートがほとんど。
組織本部の職員には龍とエルフ、そしてハーフエルフがそれなりの数いる模様。龍は通信運搬にも便利に使われている。武器防具の開発製造も組織内で行われており、敷地内に鍛冶屋街と研究施設がある。リーとアーキスが使う薄手の防刃素材の防具も組織内で開発されたもので、開発者曰く聞くに堪えない製造法をしているらしい。
●保安協同団
対人の治安維持のための非営利団体。職業としての保安、勤務する保安員、ともに『セリド』と呼ばれる。
組合、技師連盟、そして請負人組織の三団体から資金と一部人員の援助を受けることで、どこか一方、かつ自団自体の影響を受けない公平な団として存在する。
治安を守るという点で、請負人と共同での出動も多い。
各区画内の大きな街の他、宿場町、中継所にも支部がある。本部は青六番の宿場町近くのテーラーに南本部、黄の二番の宿場町近くのアルザスに北本部の二ヶ所。
本部と各支部への連絡には、魔物であるリルダヴを使う。真っ白の体に長い尾羽と頭に二本の飾り羽根があり目と嘴と足は青がかった黒。一見小さな鳥にしか見えないが、飛翔速度、感知能力、地形把握能力に優れている。
保安員はリルダヴを呼ぶための笛を持っており、放たれているリルダヴはすべてどちらかの本部へ戻るよう訓練されたもの。本部には受け持つ半数の支部と、もう一方の本部へ向かうリルダヴがいる。
●組合
商、農、漁、林、建設の五部門からなり、個々ではなく集団として技術と方針と利益を保有し、各部門ごとに生産と流通も含めた一連の事業を担う。商業組合は各部門の流通の補佐のほか、主に芸術分野や技師連盟との連携を担っている。
自然相手の産業であるので、制度を整え秩序を保ち、安定した供給と不慮の事態を補い合うことを目的とし、そのために過ぎた利益を徴収する。個として大きな利を得ることはないが、代わりに困窮することもない。
それに異を唱える者たちが集まった『反組合』と呼ばれる集団も存在し、組合を通さず生産流通を行っている。無計画な森林伐採や子どもの誘拐など、行動には犯罪絡みのことも多い。
●技師連盟
技師連盟は個人で技術を保有する職種の集まりである。鍛冶、細工、調薬、芸術など、手に職と呼ばれるようなものが多い。個人としてではなく職種として在籍するが、組合とは違い職種内では個人の技量が収入を大きく左右する。販売も基本は個人で行い、それが困難な場合はその職の連盟と商業組合が代行することもある。
●お金
高い順から、丸金貨、角金貨、丸銀貨、角銀貨、丸銅貨、角銅貨。それぞれ十枚で次の硬貨一枚分。
丸銅貨二枚ほどで大人が一食食べられる。
●暦
一の月から七の月まであり、各月五十日まで。七の月と一の月の間に合の月として七日間。
計三百五十七日で一年となる。
一の月一日が寒の日とも呼ばれる、一年で一番寒い日。
●街道
街道は格子状に七本ずつ。
東西を結ぶ街道は、北から一番〜七番まで。
南北を結ぶ街道は、東から白黄橙赤紫青黒の七本。
一区画は徒歩二日、馬なら一日。中央に中継所がある。両側に木が植えられた光景はどの街道も同じような造り。
交差部には宿場町、たとえば白の一番と、交差する街道名で呼ばれる。請負人支部の屋根には交わる街道の色で数字が書かれている。
各町村へは街道から横道があり、分岐点には道標が立てられている。
《ざっくり位置関係》
【かなりざっくりなあらすじ】
〈双子のエルフとはぐれ火龍〉
成り行きでウェルトナックの依頼を受けることになったリー。シングラリアと名付けられた未知のものに関わる騒動に巻き込まれて行く中で、龍について、そして己自身について知ることとなる。
〈小さな黄金龍の冒険〉
片割れのリーに会いたい黄金龍アディーリア。兄のユーディラルとともに池を抜け出したところ、誘拐事件に巻き込まれる。旅を通し、龍であること、人について、そして人と龍との関わり方を考えるようになる。
第一弾のテーマは『葛藤』
第二弾のテーマは『挫折』
第三弾のテーマは『解放』です。
本っ当に長くなりました。
最後まで読んでいただいてありがとうございます!
●小池ともか
やらかし率高めの一番残念な作者。時折前書きと後書きで出没。