第一話 異世界
「んぅ……眩しい……」
目を覚ますと、俺はあたり一面緑色の草原の中いた。空は満天の青空に染められていて、空気は澄んでいて気持ちが良く、吹き抜ける風が俺の髪と草原を揺らしている。
どうやら、俺は異世界へと転生できたようだ。
「不本意で異世界転生をしてしまったが、あのクズ女神が管理しているにしちゃあ良いところだな。風が気持ちいいや。……ん?」
俺が異世界の大自然を堪能していると、街道のような物を見つけた。石畳が敷かれているわけではなく、しっかりと地肌が見える簡素な道だった。
その時、俺はあることに気づいた。
「そうだ、この道を進んでいけば、どこかの街にたどり着けるかもしれない。」
そう考えた俺は、早速道に沿って歩き始めた。
◆ ◆ ◆
「待って、ちょっと待って!?なんで俺を追って来るんだよ!?」
現在、俺は明らかに普通のヤツよりデカいカラスのような生物に追われている。
何故追われているのかって?
知らん!!普通に街道を歩いていたら急に襲ってきたんだよ!!なんでだよ!?
「ガァガァ!!」
「ちょ、痛たたたたた!?痛いから突くなァ!!」
俺はわけも分からず、カラスのような生物に突かれながら逃げる。だが、その最中に俺に更に不幸が起こる。
「痛い痛い痛い!!ってうわっ!?」
俺はカラスのような生物から逃げるのに夢中で、周囲をよく見ていなかった結果、小さな池の中に落っこちてしまった。
(おいおい……カラスみたいなバケモンに追われたあげくに池ポチャかよ……なんでこうなるの………?)
その時だった。
《ハンタークロウに襲われ、池の中に落下しました。ULPを3獲得しました。》
(うぇ!?びっくりした、なんだこのアナウンス?)
俺は突然のアナウンスに驚いた。何故いきなりアナウンスが流れたのだろう。
だが、俺は一つ気になったものがある。
(それになんだ?ULPって?)
ULP。単純に訳せば、不幸ポイント。おそらく、さっき俺に起こった不幸が関係しているのだろう。
だが、何故こんなものが手に入ったのか、今の俺には全く分からなかった。
(お?よく見たらいつの間にかなのカラス……いや、ハンタークロウがいなくなってるな。よし、今のうちだ……!)
俺を襲っていたハンタークロウがいなくなっていることを確認した俺は、急いで池から出て、見失った街道を探し始めた。
あ、一応あのアナウンスは『天の声』と呼ぶことにする。
◆ ◆ ◆
「いや〜助かった。そんなに遠くなくて良かったよ。」
俺は池から出た後、池から歩いて十数分あたりのところで街道を見つけ、再び道に沿って歩いている。
また、あんな不幸が起こるかと考えると少し怖いが、俺は道を歩き続けた。
そうして街道を歩き続けていると、地平線の奥にうっすら街のような物が見えてきた。
「お、やっと街が見えてきたな。ちょっと走って行くか。」
俺は街へと向けて、駆け足で道を進んでいった。
(それにしたって何だっんだろうな、ULPって……。貯まり続けたら更に酷い不幸に遭う目になるって効果だったら嫌だな……。)
俺はULPという謎のポイントに不安を抱きながらも目の前に見える街へ進み、街の入口のだと思われる門の前にたどり着いた。
「ほへぇ、そこそこデカい街だな……。」
俺は巨大な外壁に守られた街……いや、城塞都市?の大きさに少し呆然としていた。
「まあ、外見だけ見てもアレだし、中の方も見てみるか。」
こうして俺は、門をくぐり、異世界に転生してから初めての街の中へと入ったのであった。
ちなみに、門を守る衛兵さんによると、この街の名前は「城塞都市セレスティア」という名前らしい。
どうやら通行税が必要ないほど儲かっているらしく、余計な出費を抑えられるのは微かに嬉しかった。
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