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藍家 三

この度は『松春軍師伝』をお読み下さり誠にありがとうございます。

今回は早く更新することが出来ました!!

とても嬉しいです!!

いいねやコメント、ブックマークよろしくお願いします。

湯気であろう、熱く白い蒸気が湯殿一杯に拡がっており桃琳(トウリン)が勢いよく湯殿の戸を引くとその湯気が勢いよく松春(ショウシュン)ら三人の方へ駆け抜けるように流れた。


 湯殿の扉を開けて少し経つと湯気が薄まりそこに現れたのはとても大きな木製の湯舟であった。とても丈夫な材木を使用されており、恐らくだが防腐目的で柿渋が使われいてる。柿渋の暗めの茶色の液体を塗ったことが分かる木材は機能性だけではなく品の良さも滲み出ており、とても良い湯殿だあることが今まで湯殿を見たことがない松春ですら思うほど立派な湯殿である。



 「ささ、春様。湯船が冷めぬうちに入りましょう。」


 涼麗(リョウレイ)は松春の着ている衣服脱がしながら松春に湯船に浸かることを促した。松春は急に自身の服を脱がし始める涼麗の行動に目を真ん丸にして口が無意識のうちに半開きになるほど驚いた。


 「涼麗さん!! 」


 驚きのあまりに涼麗の名を呼ぶので松春は精一杯だった。


 「ですから春様、私どもの事は呼び捨てで呼んでください。」


 涼麗は幾らか前の訂正を再度、松春に伝えた。微笑みは崩すことなく柔らかな声で松春に伝えた内容は脅迫されているわけでもないのに従わないといけないと松春は思ってしまった。それほど涼麗の声には力があることが窺える。


 (しかし、戦での檄とは違う……。


  何て言ったらよいか……。まるで母親が子を諭す場面に似ているな。)


 松春はふとそのようなことを考えながら得も言えないような表情を浮かべた。


 「りょ、涼麗……。」


 「はい、何でしょうか春様。」


 松春は普段血色があまり良くない頬と耳をあかく赤らめながら涼麗の名を呼び捨てで呼んだ。それを見て聞いた涼麗は嬉しそうに目を細めニッコリと微笑みながら優しい声で松春に用件を聞いた。


 「服なら自分で脱ぐから……。」


 人に対して呼び捨てで呼んだことのない松春は涼麗を呼び捨てで呼んだことと敬語を使わず相手と話すことで恥ずかしさが頂点に達し、今すぐに隠れたいほどであった。


 「私たちは貴女様の侍女でございます。ですから、主である春様の衣服の世話は私たちの仕事です。」


 自分で服を脱ごうとした松春を涼麗は華麗に止めて再度、松春に諭した。桃琳は涼麗の言葉に同調し得意気に頷きながら立っているだけで良いのだと言った。それを聞いた松春は恥ずかしさのあまり顔全体が赤くなった。意識をやっとの思いで保っている状態で、これ以上恥ずかしがらないように松春は目を細めできるだけ今の状態を視界に入れないように窓の方を見て気を紛らわすことにした。それでも照れによる紅を差したように赤い頬と耳はそのままであった。


 「さあ、春様。まずは湯船に浸かってください。その際に御髪は湯船の外に出してください。」


 涼麗の指示に松春は素直に従った。


 (御髪というには汚いし短いけど……。)


 そう思いながら松春は神を湯船の外に出し、肩まで湯船にしっかりと浸かった。じんわりと体の芯まで温まること間違いなくそれでいて熱いというより温かいとと思える丁度良い温度に調整されているお湯であった。


 「はぁー……。」


 松春は気持ちよすぎて思わず声が漏れるほどであった。そのことにハッと気づいた松春は涼麗と桃琳がフフッと小さくそれでいた鈴のようにコロコロとした笑い声を出しながら笑っていた。


 湯船に浸かっていることも相まって更に顔を赤くした松春であったが、二人の言動や行動、表情に慣れてしまったのか、そこまで精神的に攻撃されているという感覚が松春にはなかった。『慣れ』というものは恐ろしいものである。


 「涼麗、この湯は何か入れてるの?


  花のような甘い匂いと柑橘系のさわやかな香りと、何かピリッとした匂いがするんだけど……。」


 二人の笑い声が消えた直後、松春は疑問に思ったことを涼麗に聞いた。


 「はい、この湯には蜂蜜と檸檬、それと少しだけ生姜を入れています。」


 「蜂蜜は保湿効果が、檸檬には肌荒れ予防と美白効果、血行促進効果と冷え性予防が、生姜は血行促進効果の他に湯冷め予防の効果があります。」


 松春の問いにすぐさま涼麗が綺麗な笑みを浮かべながら答え、桃琳はその効果を満面の笑みで答えた。


 その直後、涼麗は松春の髪の毛を象牙の櫛を使って丁寧に梳いた。最初はギシギシとした髪がだんだんとスルリと櫛が髪の毛を通るようになった。髪の毛を梳き終わり、涼麗は松春の髪にぬるま湯を少量ずつかけ始めた。水を含んだ松春の髪の毛は通常時よりパサつきが幾分かマシになった。その髪に細かく刻んだワカメを涼麗は丁寧に揉み込んだ。洗髪のついでにと涼麗は頭皮の按摩(マッサージ)をし始めた。


 その間に桃琳は松春の身体を灰色帯びた布で優しく擦り、垢を落とした。垢すりをし終えた後は松春の肩や胸、首を中心に按摩をし、ゆっくり丁寧に揉み解した。


 二人に丁寧に丁度良い力加減の按摩を施されている松春は気持ちよすぎるあまりウトウトと睡魔に襲われた。最初は起きていようと必死に睡魔と闘っていたが、按摩の気持ち良さと適温のお湯ノ相乗効果で各局松春は睡魔に負けて小さく規則正しい寝息を立てながら静かに眠りについた。

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