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魔王の番いは転生聖女  作者: mi-na
第一章
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二十六歳の春 【魔王様視点】

「今度は十二だと……………?お前達は私を幼女趣味にでもするつもりか?」



釣書の束を執務机に投げ捨てると椅子の背にもたれ、額に掛かる黒髪を邪魔そうに払う。


十五の時に即位してから十年余り…………政は幼い頃より父の手伝いで携わっていたため、即位後もなんら問題なかったが二十を超えたあたりから臣下達からそろそろ世継ぎを…………正妃を側妃を…………と、煩い小言が途端に増えた。


立場上、自分が好む相手と縁を結ぶことは不可能だと諦めているが、とある理由から私は候補者たちと実際に顔を合わせなくてはならない。

その為に毎回面倒な『見合い』が年に数回は執り行われている。

最初こそ期待もしたが、今ではただただ面倒でしかない……………。



「おや、そんなつもりはございませんよ?

しかし、陛下が即位された十五歳の頃から、陛下に釣り合う令嬢を大陸中から探し、上は三十歳、下は十三歳まで…………今のところ残念ながら全てハズレでございます。

流石に世継ぎ様を考えればこれ以上のご妙齢の御婦人は難しいので、下に………となるのが当然かと?」


「大丈夫ですって、十二歳でも五年後には十七歳ではないですか?

全然問題ないです!」



王である自分にズケズケと物を言うのは乳兄弟であり幼馴染みの宰相と、同じく幼馴染みである騎士団長だ。

宰相はライトブラウンの柔らかそうな髪に丸い眼鏡と常に浮かべている優しげな笑みのせいで知的で温和なイメージを持たれがちだが、邪魔な者に対する冷酷さで言えば私より上だろう。

一方、騎士団長は赤い髪を短く刈り上げ訓練と身体を鍛えることが趣味のような男で机に向かう書類仕事はすべて副団長に丸投げしている。しかし部下への面倒見がよく騎士団の中では随分と慕われているようだ。



「ふん………もうよい、どうせ今回だって見つからんだろうからな」






ホールへ並ぶ、精一杯着飾っているがまだ幼さが残る少女達………五十名ほどだろうか? 私はため息を吐きながら面倒臭そうに見渡す。

最前列に並ぶ少女が自信満々にこちらを見上げている。今回の最有力候補である隣国の第一王女だったか………確かに十二にしては大人びており美しい顔をしているが、所詮子供だな。


さっさと終わらせるか………と、ホールを己の魔力で満たしていく。並ぶ少女達中心に濃度を上げていけば少女達の顔色が悪くなっていき、後ろに並ぶ者から順番に床に突っ伏していく。

はぁ…………毎度のことながら気持ちの良い光景ではないな……………。


最前列の者はさすがに耐えられる者が多いか………しかし、時間の問題だろう。


欠伸を噛み締めながら更に魔力を上げたところで、後ろに控えていた宰相から耳打ちされた。



「陛下……………最後尾に面白い娘がおられますよ」



その言葉に視線を列の後ろに移す。

………灰色の髪の………醜くはないが地味な顔立ちの娘で、周囲よりも一回り小さな少女………跪いてはいるが、顔色は悪くなくキョトンとして周りを見ている。


しばらく観察していると、こちらの視線に気付いたようで、ワタワタと焦りだす。ふむ……………仔兎のような娘だな……………。


そして隣国の王女が目を回したところで、その灰色の娘はギョッとして慌てて倒れた振りをしようとしている。


娘の行動からすると、この『見合い』は遠慮したいといった雰囲気か……………だが、こちらとしてもやっと見つけた『正妃候補者』だ。

まぁ『正妃』というより愛玩動物と言った方がしっくりきそうだが、私の魔力に対し全く平気そうな様子だとかなり魔力量が多いのだろう。


垂れ流していた魔力を納める。


宰相が侍女へと目配せすると、灰色の娘は抗う間もなく侍女達に連れて行かれた。


残された少女たちは目を覚まし何があったのかとお互い顔を見合わしていたが、宰相が夜会まで控えの間に戻るようにと指示を出したことで、ざわざわとしながらもホールから退出していった。

その中、隣国の王女だけは、下を向き悔しそうに唇を噛み締めていた。

対策をしてあの程度の魔力で目を回していては話にならないな。





夜会まで時間があるため私室へと戻る。『見合い』は終わったとはいえ、面倒だが集めた令嬢たちを労う夜会の一つでも催さなくてはならない。



「見つかって良かったですねぇ?」


「お前…………面白がっているだけであろう?」


「いえいえ、とても可愛らしい姫様でございます」



ニコニコと笑みを浮かべる宰相は絶対に面白がっているだけだろう。

あの年であれだけの魔力に耐えられるのは凄いことだが……………あの仔兎を『妻』として見るのは少々難しいな。


しかし……………あの琥珀色の瞳は美しかった…………。



読んでいただきありがとうございます。

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