十一歳の春
突然ですが、ピンチです。
天井の高い大きなホールの中、大陸中から集められたのは身分が公爵家以上の今年十二歳になる令嬢達…………それぞれ贅を尽くした煌びやかな衣装で跪いている。
私は弱小国の第五王女………国同士での立場も弱いため、輝く宝石や金糸の飾りのない、ぶっちゃけ地味なドレスを着て列の後ろの端に目立たぬよう跪いていた。
位置的に、他の令嬢達の様子がよく見えるが誰もが震え青ざめている。
控室で高飛車な態度を取っていた大国の王女も今は一番前の列で跪き、汗を滲ませ今にも倒れそうだ。
理由は正面の玉座に長い脚を組み気怠そうに座る人物のせいだろう。
彼から発せられる魔力の圧に魔力の弱い者は耐えることは出来ない。
その為、列の後ろの者から順番に床に伏していく…………何故なら魔力量は生まれながらの才能でもあるが、より身分が高いものほど魔力が強いとされている。身分の高い順に並んだ令嬢達は単純に後ろに行くほど魔力が弱いということになる。
後ろ半分が気を失い床に突っ伏した頃、そろそろ私も倒れておこうかなぁ…………と脳天気に考えながら、せっかくだから最後にもう一回イケメンを見納めておこうと顔を上げたとき、玉座に座る元凶……………もとい、魔帝国の国王とバチンと目が合ってしまった。
え………………何でこっち見てたの?いつから??何で何で?
や、やばい…………目を逸らさなきゃ……………
ギッギギギっと全力で目を逸したとき、私は最悪の事態に気がついた。
私以外の令嬢が全て気を失い床に倒れていた。
ちょ……………いつの間に?
ちょっと、あれだけドヤ顔で自信満々だった癖に何倒れてんのよっ
一番前で目を回し倒れている大国の王女に心の中で舌打ちをしながら、必死に頭を回転させる。
何とか今からでも誤魔化し………………て………………ひっ
し、視線が……………めっちゃ見られてるよねっ!!
明らかにガン見されてるのを感じるけど、今の私に前を向く勇気はない。
あぁ………お父様〜お母様〜お姉様ぁ〜〜
泣きそうになったところで、魔力の圧と視線がフッと掻き消える。
助かったと思ったのも束の間で、目の前にいつの間にか二人の侍女が立っていた。
きちっと括られた髪と、もしかしたら私のドレスよりも上質なお仕着せ、まさに『出来る女』な侍女達が私に一礼をする。
「お部屋にご案内致します」
「え?あの………」
「こちらへどうぞ」
「ちょ……………」
私はホールからあっという間に連れ出されると、客室のような部屋に通された。
客間といっても流石は帝国の城の客間…………私のお父様(国王)の部屋より豪華ですね。
「私は侍女頭のカレナと申します。
私共が夜会の準備をお手伝いさせていただきます。
マリアンナ様のお荷物は既にこちらに運ばせて頂いております」
ズラリと並ぶ五人のこの城の出来る侍女達、その後ろで国から連れてきていたキラキラとした瞳でこちらを見つめお互い手を握り合う私の専属侍女二人…………。
私に出来ることは、引きつりそうな顔を抑え込み、ニッコリと微笑んで頷くだけだった…………………。
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