表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
<R15>15歳未満の方は移動してください。
この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

短編小説シリーズ

どうしてそこに?

作者: ex.MONSU

ホラー企画に向けて書こうと思っていたら、ホラーでは無いような気もするので、ホラーという体の謎小説となっております。

 とある駅構内には、自殺者が後を絶たない事を嘆いた職員が、数年前に近くの住職さんに頼んで建てた社がある。

 大きさはおよそ二メートル程なので、大概の人は見下ろされる大きさ。

 賽銭箱も置いてあり、かなりしっかりとした作りな上、隣にはおみくじも売っていたりする。

 但し、駅構内にあるため、参拝するには駅に入る必要があり、タダで入場券を発行してくれない駅の為、切符を買う必要がある。

 参拝用の切符があり、持ったまま出られず、持ったまま電車に乗る事はできない。

 電車に乗るのなら、回数券でも電子マネーやカードでも構わない。

 

 今日は参拝者がいるようで、社には手を合わせる中年男性が1人。

「神様。どうか金遣いの荒い嫁の……幸枝の荒さをどうか治して貰えないでしょうか」

 と、口に出して社に手を合わせている。

 二礼二拍手一礼の作法を行う必要が無いと書かれた看板があるため、完全に神頼みしまくるオヤジの構図だ。

 周りの人は、よくある光景なのか見向きもしないが、たまたま駅に居た子供だけは見ている。

 というより、中年男性の目の前で社を遮るように立っていた。

「おじさん。何やってるの?」

「ん?神様にお願い事をしているんだよ。大人になると色々あるからね」

「へー。何のお願い事?子供には言えない事?」

「そうだね。でも別に行って困ることでも無いから、教えてあげるよ」

 そう言って中年男性は、子供に願い事を教えるのであった。

「へー。そのお願い叶うと良いね。あ、おじさん。参拝用の切符、ちゃんと入れていかないとね」

 唯一の作法。参拝のためだけの参拝用切符は、賽銭箱に入れて帰るのが決まりとなっている。

「そうだった。そうだった。叶いますようにっと」




 次の日。

 この日も参拝者がいるが、どうやら昨日の中年男性のようだ。

「神様。嫁の金遣いの荒さは直していただけたようですが、今度は金を使わなさすぎて困っています」

「あ、また来たの?おじさん」

「……君はいつもこの社の前にいるのかい?」

「僕だってそんな暇じゃ無いよ。参拝者が来る時だけさ」

 また子供が中年男性の前に立ち塞がる。

「妻の幸枝の金遣いの荒さは治ったんだが、買っていたブランド物は全部売るし、安物の服着るし、食事は質素だし……普通じゃあ無いんだよ」

 子供の目線に合わせるために、中年男性はしゃがんでそう言った。

「え?おじさんがそうして欲しいって願ったんでしょ?ちゃんと切符も入れて帰ったでしょ?願い事と違ってたの?」

 子供は段々、下を向いて行く。周りには、小さい子供を泣かしている変質者にしか見えない。

「や、やめてくれよ。変な雰囲気出さないでくれないかな。ちゃんと願い事は叶ったから!ただ、やり過ぎで限度があるだろって思っただけでさ」

 中年男性は、明らかに動揺しているし、心音も激しく、今にも倒れそうだが何とか立ち上がり、服を正した。


と、その時、心拍を整えていなかったせいか、立ちくらみが起きて、そのまま後ろにつまづきつまづき下がって行った。

 駅のホームには、

『まもなく………乗り場に電車が参ります。黄色い線の内側にお下がりください』と放送が流れていたとかなんとか。


「あははハハハハ。契約違反をするから死ぬんだよな。さて、後何万人死にに来るんだろうなぁ?馬鹿なやつはまだまだいるからな」


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ