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「あ、あと、向日葵、綺麗だね、よく似合ってる」

「あなた様の美しさに敵うものなどない!!!先生を抱くより俺の方があたたかいでしょう!!!」

「あたたかさの問題ではないこともありますよ、若き王」

「うるさい!!!!なんっ……なんで、俺の何がそんなに不満なのですかっわがあるじっ、いやだっ俺を見て、俺だけを見てください!」

「無茶を言う子だなあ……」

「空落ち様、この通りです。我らはあなたのものだ」

「……うん、だから怖いんだけどなあ……」

「何が怖いのです、わがあるじ、俺のあなた様っ、俺がいるのに、何が怖いのです!俺が守るのに、どうして俺を抱いてくださらないのかっ!俺はあなた様がどれだけ冷えていたって、必ずあたためてみせるのに……俺はあなた様の向日葵なのにっ」

「……うん、向日葵、君は今、私にそういうことを言うよりも、国民に言わなきゃいけないことが」

「あなた様っ俺の、俺の神様、どうしてっ俺はあなた様のためになんだってしてみせる、だからどうか、俺を、俺を見てください!」

「……えっと」

「空落ち様、今は私ではなく若き王を見てください」

「ううん、と……どうしたものか……向日葵、腕広げて」

「はいっ」

 その人の形をした空落ちは、白いローブをひるがえし、その若き王の腕の中に駆け込んだ。若き王は泣きそうな顔から一転して、眉間のシワをなくし、ただ、嬉しそうに微笑む。そうして、自身の空落ちを抱きしめた。

 世界を背負い、王冠を被り、そうして、そんなものの重さを感じさせない顔で、ただ、自分の空落ちを抱きしめたのだ。


 その姿は、約3世紀にわたる王の時代の終わり、そして、新たな時代の幕開けの象徴となった。




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