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空落ち様は思った通り、青い衣が似合っていらした。
青と、白。――俺に与えられた色だ。
この西宮は俺の統括し、この世界の空を司っている。青は空、白は雲。空落ち様は空から来られた、似合わないはずがない。
「お似合いです」
「そうですか」
空落ち様は穏やかに微笑まれる。
「向日葵とお揃いですね」
「ええ、嫌ですか?」
「ただ少し気恥ずかしいだけですよ」
そう言って、肩を竦めてから、空落ち様が俺を見た。
「あなたは、青を身にまとうと、とても」
「とても?」
「……、似合っていますよ、すごく」
「ありがとうございます!」
空落ち様が俺の髪を撫でて、笑ってくれた。それから青のドレスの上に、白き炎のローブを羽織り、空落ち様はソファーに腰掛けられた。
「さて、向日葵。……恐らくなのですが、私は王様に会わねばならないのではないですか?」
瞬き。
王位継承権のあるものが、空落ちを伴って王に会うということは、王位継承を願い出る、という意味だ。その時、王の空落ちが、願い出たものの空落ちに触れなければ、永久に王位継承権は失われる。逆に、願い出たものの空落ちに、王の空落ちが触れたなら、……疾く速やかに、王位は継承されなくてはいけない。
つまり、……空落ち様は俺に王位を継げと、おっしゃっているのだ。もしくは、……王の空落ちに切り捨てられ、王位継承権を永久に手放せ、と。
「かしこまりました」
どちらでもいい。あなた様がいるのなら。
「謁見の場を用意いたします」
「あ、いや、行かなくてもいいのなら」
「わがあるじ、あなた様の意思のままに」
「……、はい、よろしくお願いします」




