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マアハ、救助に向かう

 飛び立つフランを見送ると、マアハは昨夜の事を思い出す。


 族長を助けるため集落に近づくと、呪い竜5頭が火炎ブレスと尻尾の薙ぎ払い攻撃で、暴れているのが見えた。

 破壊と混乱がひどく、少し離れた上空からでは探すのが困難で、これ以上は危険なため撤退を考えていた時、地上から強力な攻撃が放たれた。

 反射的に地上を見ると、攻撃したのは九尾の女性だったので、すぐに救助に向かう。

 攻撃をかわしながら、低空を最大速度で飛び、族長の元に辿り着くと、胸から出血をして意識を失いそうだった。


 「族長ですか?、救助に来ました!」


 「…………………救助?………」


 「大丈夫ですか?、私は空を飛べますから、つかまってください。早く逃げましょう!」


 「待って、私よりも2人を連れて逃げて」


 族長の体をベルトで自分の体につないでいると、近くに倒れている火傷の女性を指さして、必死に懇願してくる。

 1人なら、助ける自信があったが、3人を助けるのは無理かもしれない。時間が無い中で、マアハの頭に浮かんだのは、グリフォン族族長、ノンの言葉であった。


 安全に中途半端な結果を求めるより、危険でも最高の結果を求めなさい。


 ノンの言葉を思い出し、3人を救助する事を決心したマアハは、少ない時間の中で脱出方法を考え出す。

 まず、族長の体を自分の体に固定する。次に、念のためノンから渡された小型バズーカ砲を取り出した。ネムレスとグリフォン族が共同で、作り出した小型バズーカ砲に煙幕弾を装填すると、慎重に呪い竜目掛けて放つ。

 煙幕で視界を奪い、急いで片手に1人ずつ掴んで空に飛び立つ。


 少しでも速く、遠くへ、飛ぶ!、飛ぶ!!。


 全速力で空を飛んだが、3人の重さで速く飛べない。後ろを振り返ると、怒った呪い竜が追いかけて来るのが見える。

 すぐに追いつかれると考え、地上に降りて隠れていたが、五感が鋭い竜が相手では見つかるのは時間の問題だった。

 

 (怪我のひどい3人を、動かす事は出来ない。それなら、自分が囮になって時間を稼ごう。妖狐族は救援要請を出したはず、きっとムーチャシー様が向かって来ている)


 マアハは、囮になる決心を固めて呪い竜の前に飛び出し、かく乱するように飛ぶ。

 何度も攻撃をかわして、飛んでいると次第に体力が無くなって来る。疲労で動きが鈍った時、ついに尻尾攻撃を受けてしまう。

 激しい痛みを感じたが、不思議と死の恐怖は感じなかった。なぜだか、フランが現れて助けてくれる。予感のようなものを感じて、マアハは意識を失う。



 フランが子供達を探して飛んでいると、背中に乗っていたネムレスが簡単に発見する。

 指示された場所に着地すると、ドラゴンの姿に怖がって隠れた場所から出て来ない。慌てて人の姿に変身して、自己紹介すると安心したのか姿を見せてくれた。

 20歳くらいの女性が10人、5歳くらいの子供が5人現れたが、みんな恐怖と疲労でぐったりしてうつむいてしまう。

 重苦しい雰囲気の中、不意に赤ちゃんの泣き声がひびく。


 「えっ!?、赤ちゃんがいるの?」


 「すみません、すみません。……安全のために、隠していました」


 「大丈夫、僕は味方だよ。心配しないで」


 女性達は、フランを信じて隠していた赤ちゃんを、草陰から連れてきた。


 「赤ちゃんだぁ、……………助かって良かったぁ。ねえ、何人いるの?」


 「7人です。あの、フラン様、集落はどうなりましたか、他に生きている者はいませんか?」


 「…………………僕が確認しているのは、族長とかえで、紅葉の3人だけ」


 「族長が生きているのですか!?、会いたいです、連れてってください!」


 多くの仲間を失い、悲しみに打ちひしがれていた女性達は、族長の無事を知り喜びの声を上げる。


 「族長も、みんなの無事を喜ぶと思うよ。今から、ドラゴンに変身するけど、驚かないでね」


 ドラゴンの背中に乗る事を怖がっていたが、しばらくすると覚悟を決めて乗り出す。あまり恐怖を感じないように、低空をゆっくりと飛んで族長の元に向かう


 


 次回予告

 「フラン様、マアハ様、ネムレス様、深く感謝申し上げます。おかげで、助かりました」

 「多摩、体の調子は?」

 「戦闘は無理ですが、動くことは出来ます。ですから、集落に行きたいのですが」

 「…………………わかった、背中に乗って」

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