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目指せ!マイアガラの大滝

 布団を叩く音と、体を揺さぶられる衝撃がする。


 「先輩、朝ですよ。起きてください!」


 「……あと、少し…………」

 「だめです!」


 何度も布団を叩いてくるので、目が覚めた。


 「わかった起きる、今起きるから」


 無理やり起こされて、寝ぼけた目をこすると、ポランが濡れタオルを差し出してくる。


 「ありがと」


 タオルで顔を拭くと、目と頭がすっきりしてくる。


 起き上がり、軽く体を動かし、着替えをしてから一階に降りた。


 食卓では、ポランが食パン一斤、丸かじりしていたが、止めるのもかわいそうなので、放っておく。


 朝食を作るのが面倒なので、昼の弁当を作りながら、リンゴを食べることにする。


 その後、ソファーでゴロゴロしていると、朝日が昇り明るくなってきたので、出発することにした。


 「ポランー、用意はできたー、忘れ物は無いようにー」


 「はーい」


 ソファーの隣にある棚から、カメラを取り出す。


 「ポラン、出会った記念に、二人で写真撮ろう」

 「えっ、あっ『カメラ』じゃないですか?」


 「このカメラ以外でも、必要な物は何でも持っていっていいよ。また、宿を作ったら、同じ物が置いてあるから」

 「先輩は、本当に……便利ですね」


 あきれたポランと二人揃って、記念写真を撮る。その後、一緒に宿から出て、宿に向かって声をかけた。


 「宿、閉店!」


 一瞬、光を放ち、跡形もなく宿が消える。


 「では、マイアガラの大滝を、目指して出発!」

 「おー!、あ……あれ?。先輩どっちに向かえば、いいのですか?」


 「!?……コホン。スキル『世界地図』目的地、マイアガラの大滝」


 出現した地図を見ると、目的地までは約150㎞位離れているのが分かる。


 D.W.Dでは、ゲームの世界で移動する事を楽しんでもらうために、転移魔法などの瞬間移動システムがなかった。


 この、D.W.Dに似た世界でも、瞬間移動は出来ないだろうから150㎞、時間をかけて移動するしかないと思われる。


 「結構遠いなぁ、森を抜ければ、馬車が使用出来るから、まず森を脱出しよう」


 「森生活の長い私が、周辺の警戒をしますから、安心してください」


 「いや、迷子になっていたポランだと不安だから、僕がやるから」


 「警戒と言えば、シーフですよね?。ネコマの出番ですよね?」


 「ネコマ以上に、警戒と戦闘を得意とする、キャラがいるけど、ポランのリクエストに応えるよ」


 (ネコマ、チェンジ!)


 体を触ってくるポランから距離をとり、目的地に向かってスタスタと歩き出す。


 「ポランー、おいてくよー」

 「待ってください、先輩ー」


 宿があった場所から少し進むと、森の雰囲気が変わった。高い木や、背丈まで伸びた草などによって、光が届かなくなり、薄気味悪い感じがする。


 (見たことの無い木、草。そして謎の鳥?の声、……ゲームでは体験できないことだな)


 歩きずらい森の中ではあったが、ネコマのスキルがあるので、舗装された道を歩く感じで移動できた。

 しかし、速く移動すると、ポランがついて来れないので、ゆっくりと移動する。


 4時間位移動すると、ポランがぐったりとして来たので、お昼ご飯にすることにした。


 「ポラン、お疲れ!。お昼ご飯にしよう」

 「はぁ……はぁ…………お昼……ごは……んですか?。良かった、休憩できる」


 肩で息をするポランが、額の汗を拭きながら座り込む。


 朝、作ったお弁当を差し出すと、嬉しそうに受け取る。


 「お弁当は、のり弁当にしてみました」


 「のり弁当?、なんですそれは?」


 初めての料理に驚いてはいたが、すぐにパクパクと食べ始めた。


 (異世界の密林で、のり弁当か……)


 (D.W.Dは基本、中世ヨーロッパ風の世界観だったけど、日本人が作成したゲームだから、食材や料理が現代日本風なんだよな。それに、カメラがあったり、富〇山や東〇タワーがあったりするカオスな世界で、話題になっていたな)


 (もっとも、この世界では、ゲームでは見たことのない魔物がいるし、地形だって違うから、D.W.Dの世界とは違うのかな?)


 (あっ!そうだ。この感じは、アップデートだ。大型アップデートがされた時と同じ感じだ)


 「先輩、何か考え事ですか?」


 異世界の事を考えていたと、話すことができないので、ごまかすように質問をする。


 「ねぇ、ポランはこの森に来る前は、何をしていたの?」


 「私は、キー王国の王都にある、学術研究所で仕事をしていました」


 「学術研究所?」


 「様々な学術研究をする人が、集まる所ですよ」


 「ポランの仕事は?」


 「私は、魔物と種族学の研究をする部署に、所属していたんですけど。…………あのじいさんども、部屋から出ようともせずに、図鑑を見ては、足はどうだの角がどうしたのと、討論しているんですよ」


 無表情で怒りのこもった声のポランを見て、地雷を踏んじゃったかなと、後悔する。


 「私は、じいさんどもに出来なかった『魔物大図鑑』の完成を目標として、旅に出たんです」


 「まずは、熟練冒険者以外の人では、危険な場所と言われる、この全滅の森にやって来たんですが…………遭難してしまいました」


 (えっ!、この森の名前『全滅の森』なの、……大丈夫かなぁ)


 「さあ、ポラン。一日でも早く森から脱出するために、少しでも移動するよ」


 森を移動すると、何かの気配に気付く。



 



 次回予告

 「先輩、次回は外伝です」

 「え?そうなの」

 「私が学術研究所で、働いていた時の話です」

 

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