大食いネムレス
ネムレスたちの今後について、ヤーサたちに相談しようとフランが考えていると、突然明かりが消えて、部屋が暗闇に包まれる。
夜目のきかない人間のフランでは何も見えず、対処に困っているとブリムがカンテラに明かりを灯し、周囲を照らしてくれた。
「ふむ、どうやらネムレスを起動するに、この部屋に残されたエネルギーを全て使ってしまったようじゃな。じゃが、残されていたエネルギーだけで、無事に起動できて良かったのう」
「確かに、5千年以上前のエネルギーがよく残っていたね?」
「それはのう、わしらオートマタは暗闇でも平気じゃから、明かりや機械の作動を控えることで、節約しておったのじゃよ」
「そうなんだ、……………ねえ、みんな!。暗くてよく見えないから、必要な物を持って早く外に出よう!」
(本当は夜目のきくキャラにチェンジしたいけど、フランの姿を止めると、ネムレスがどの様に対応するか分からないからなぁ)
フランとブリム以外は夜目がきくため、暗闇を気にしないでゴソゴソと何かを集めだす。グーとブリムはフランの傍を離れなかったが、他の2人は部屋の中を興味深そうに見て回り、ジーボットに説明を求めていた。
1時間位の時が過ぎると、荷物がまとまった様なので外に向かうため、部屋を出てトンネルを歩き出す。
カンテラの灯りを頼りにトンネルを歩いていると、大きな荷物を背負ったジーボットが、心配そうに話しかけてくる。
「外の世界は、どうなっとるのじゃろう。わしらが外に出ても、本当に良いのかのう……………」
「人間の暮らしは、5千年以上前とは大きく違うけど、自然の景色は変わらないと思うよ」
フランの言葉を聞いて笑顔を見せたジーボットは、先を急ぐように歩く速度を上げた。
やがて、トンネルの出口近くに辿り着くと、大勢の気配がするが眩しい光で良く見えない。フランが目を閉じていると、何かの作業をしているメイドたちの声が聞こえてきた。
ゆっくりと目を開けると、メイドたちがドラゴンの背中に荷物を積み込んでいる。
「ねえ、ブリム。ムーチャシーに荷物を積み込むのは、まだ時間が掛かりそうだから、今の内にネムレスの食事を用意してくれないかな?」
ブリムが礼をして去っていき、先に外に出ていたみんなを探すが、ヤーサとグーは母と別れの挨拶をしていたので、そっとしておく。
ジーボットたちに声を掛けようと近づくと、ネムレスの姿に驚いてつい見とれてしまう。いつの間に着替えたのか、ネムレスは黒いレオタードを身に着けて、両手には爪の様な武器を装備している。
「おお、フラン様。久しぶりの外はええのう、光にあふれて動物たちの声が聞こえてくるのじゃ」
「えっ、あっそうだね。遠くに行かなければ、好きに歩き回ってもいいよ」
ネムレスに見とれていると、急に話しかけられてフランは慌てふためく。
「フラン様、ひどく動揺しているようですが、何かありましたか?」
「!?。ネムレス、いつの間に?、えっと、その、あ、その両手の武器は部屋にあったの?」
音も無く近づいてきたネムレスに話しかけられて、驚いたフランは考えがまとまらずに適当な事を聞く。
「はい、部屋にあった物の中で、これが最適の武器です」
「へぇ、でも確か部屋には銃の様な武器とか、光る剣みたいな武器があったよね。それは使えないの?」
「はい、ありました。ですが、あの武器はどれも壊れており、修理が必要です。それに、私は近距離戦闘を得意にしております。ですから、この武器が最適です」
「遠距離戦は苦手?」
「いいえ、近、中、遠、全て得意です。苦手な戦闘距離はありません。特に、近距離戦闘を得意にしているだけです。フラン様が望まれるなら、壊れた武器を修理して使用しますか?」
「修理出来るの?。もし、修理出来るのなら、ジーボットたちを修理してくれないかな?」
「了解しました。私は壊れた時に自分で修理出来るように、武具やオートマタの修理プログラムが入力されています。ですから、安心してお任せください」
ネムレスと話をしていると、ムーチャシーの呼ぶ声が森にひびく。急いで向かうと、旅起つ準備が完了したムーチャシーが話しかけてきた。
「フラン様、時間が惜しいのでもう帰ります。オートマタの扱いには注意してください。後、ヤーサとグーの体調が悪くなったら、すぐ知らせてくださいね」
「はい、2人の事は任せてください」
ムーチャシーが空を飛んで帰って行くのを見送ると、食事が出来た事をブリムが知らせてくれた。
ネムレスたちと一緒にフランが食事を始めると、隣に座っているヤーサに気になっていた事を聞く。
「ヤーサ、前から聞こうと思っていたけど、お父さんの事を教えてくれないかな?」
「ええ、いいですよ。お父さまの名前は、シリニシーカレ・ターラ、と言います。ドラゴンの中でも一番の博識で、特に歴史の知識は比肩する者はいないと言われていますね」
「それはすごいね!」
「ですが、すごく弱いのです。子供の頃、お父さまに怪我をさせてしまい、お母さまにひどく叱られました」
ヤーサと笑いながら食事をしていると、ネムレスの食欲の凄さに気付く。料理を食べ終わると、皿などの食器も食べだす。それでも、満足しないので困ったフランは、近くにあった鉱石を差し出すと、ネムレスは喜んで食べ始めた。
結局、ネムレスはフランたちが、呆れるほどの量を食べて満足した。
次回予告
「先輩、何しているのですか?」
「色々あって、忘れていたけど、プールを作っているよ」
「プールですか?」
「そうだよ!」




