女性型戦闘専用オートマタ、起動!
睡眠カプセルのような物に入っている女性を見ていると、何かの機材を持ってジーボットが声を掛けてきた。
「起動の準備をするから、少し待っとってくれ」
機材とカプセルをコードのような物で接続し、近くにある機械のパネルを操作して赤いボタンを押す。
すると、カプセルが光を放ち出し、近くにある機械が低い唸りを上げ始めた。
起動の準備が進むと、不安そうにヤーサが母に話しかける。
「お母さま、本当に起動させても良いのですか?」
「起動させない方が危険ですよ。もし、他の人間がこのオートマタで、ドラゴンに戦いを挑んできたら、非常に危険です。今の内に起動させて、味方にしておくべきですね」
ヤーサの心配をよそにして、起動準備は進みジーボットは首の付け根を開き、カプセルとコードで接続するとパネルに数字を入力した。
やがて、起動準備が終わると、ジーボットはカプセルの傍でフランを呼ぶ。
「起動させる前に今の言語と、わしの持っている情報を入力しておきましたのじゃ。後は、使用者登録をするフラン様が、入力してくだされ」
フランが指示に従って操作をすると、無機質な声がカプセルから聞こえてくる。
「使用者登録を開始します。…………………暗証番号を入力して下さい」
「今から言う、数字を入力するのじゃ」
「すごいね、暗証番号を知っているの?」
「暇つぶしに解析しておいたのじゃよ、暗証番号は長いから間違えんようにな」
指示された暗証番号を100回入力すると、先程の無機質な声が部屋にひびく。
「暗証番号を確認しました。…………………遺伝子情報を入力して下さい」
「遺伝子情報?。ねえ、どういう事」
「そうじゃのう、…………血の一滴をパネルの上に垂らしてくだされ」
「遺伝子情報の確認中、…………………確認終了。遺伝子情報を登録します。……………使用者登録を終了します。起動させますか」
パネルに表示された、起動開始の文字に触れるとカプセルがゆっくと開いて、中に入っていた溶液が床にあふれ出す。
「女性型戦闘専用オートマタ、ネムレスの起動を確認。…………………起動に問題なし。これより起動します」
カプセルの様子をじっと見守ると、溶液の中から女性が起き上がり、自分の体を確認する様に動かす。やがて、体の確認を終えた女性は、何かを探すように部屋を見回すと、フランと目が合う。
少しの間フランを見つめた女性は、カプセルからしなやかな動きで出て来る。
「フラン様。初めまして、私は戦闘専用オートマタ、ネムレスです。指示を待ちます」
ネムレスは、長身でスタイルが良く、長い瑠璃色の髪が特徴的だった。容姿は、美を追求して出来たと言える程美しい。
全裸なのにいやらしい感じではなく、女神のような神々しさがあるネムレスに見つめられて、フランは戸惑う。
「えっと、その、……………そうだ!、服、服を着てくれないかな?」
「了解しました。服を探して身に着けます」
ネムレスが服を探しに行こうとしたので、フランは慌てて着ている上着を脱いで手渡す。受け取ると、すぐに上着を身に着けて話しかけてくる。
「フラン様、問題が発生しました。活動する為のエネルギーが不足していますので、補給が必要です」
「エネルギー不足!?。…………………オートマタのエネルギーは何だろう?」
「おお、すまんのう。とりあえず、これでどうじゃ」
ジーボットが服の中から、小さいねじが大量に入った袋を取り出してネムレスに渡した。
「これで、エネルギーの補給をしてもよろしいでしょうか?」
「えっ、あ、うん。いいよ」
許可をもらったネムレスは、口を開けてねじを飲み込むように食べ始めたので、フランは呆気にとられて言葉を失う。
「すみませんが、この量では足りません。もっと欲しいのですが、可能ですか?」
「いやはや、さすがは戦闘専用オートマタなのじゃ。その量があれば、わしらなら100年は大丈夫なのじゃが、足りんとはのう。燃費が悪すぎじゃよ」
「へぇ、そうなんだ。ところで、オートマタは鉄以外で、エネルギーの補給は出来ないのかな?」
「いや、無機物、有機物、何でもエネルギーに変換できるのう」
「…………………雑食なんだね。ネムレス、後で大量の食事を用意するから、少しの間待っていて」
「了解しました。これより待機します」
「あっ!、大切な命令を忘れていた。ネムレス、命令します。僕の許可なく戦闘を始めたり、攻撃をしてはいけません。ただし、自分の体を守るために攻撃するのは許可します」
「了解しました。命令に従います」
ネムレスが返事をしてうなずくと、ヤーサたちが大きなため息をついて、ホッとした表情を浮かべた。
次回予告
「ねえ、ヤーサ。お父さんの事を教えて?」
「はい、いいですよ。お父さまは…………」
「先輩大変です!!。ネムレスさんの食事量が多すぎて、食料が無くなりました!!」




