オートマタの使用者登録変更
全て破壊されたと思っていた戦闘専用オートマタが、この場所に残されていると知ったヤーサは口を開けてブレスを吹く態勢に入る。それを見たフランは止めるために、急いで正面から抱きつく。
「旦那様!?、なぜ止めるのですか?。この場所は危険過ぎます!!」
「待って、ヤーサ落ち着いてくれ!。気になる事があるから、もう少し話を聞こう」
「そうですよヤーサ、この場所を破壊しても問題は解決しません。貴重な情報を得るまで、破壊するのは止めておきなさい」
フランと母の説得で、ヤーサが平静を取り戻したのを確認すると、ジーボットの方に振り向いてフランが質問をする。
「なぜ、話した?。戦闘専用オートマタがここにあると知られたら、破壊されると考えるのが普通だろう。教えてくれた狙いは何ですか?」
「ふむ、………まあ、隠したとしてもいずれ分かる事だしのう。それに、教えた結果として破壊される事になっても、わしらは良いと思っているのじゃよ」
「えっ!、ジーボット達は破壊される事が望みなの?」
「……………オートマタでも、これだけ長く稼働していると疲れるのじゃ。わしらは、人間に与えられた仕事をするのが最大の喜びなのじゃが、ここでは仕事が無くてのう。いつかこの場所に訪れる者の為に、部屋の掃除をする日々はもう飽きたのじゃよ」
物悲しい声で話すと、腕の動きを確認するように、何度か曲げ伸ばしをする。
「それにのう、わしらはもう限界じゃ。まともな整備を受けておらぬので、体の動きが悪いのじゃよ。多くの仲間が壊れた今となっては、破壊された方が良いのかもしれん」
「…………………ねえ、ジーボット達は本当に戦闘能力はないの?」
「ない。武器が無ければ、普通の人間以下じゃと思う」
少しの間、口に手を当てて考え込んだフランが、ジーボット達に話しかけた。
「ジーボット達は、人間に与えられた仕事がしたいのでしょう?。それなら、僕の仕事を手伝ってよ!」
「?、おぬしはドラゴンじゃろう。人の姿をしていても、わしらはドラゴンと人間の区別を出来るのじゃよ。気持ちは嬉しいが、ドラゴンではなく人間に与えられた仕事がしたいのじゃ。…………すまんのう」
「ああ、ごめん。戻るのを忘れていよ、今すぐ人間に戻るね」
ドラゴンのクイーンから、人間のフランにチェンジすると、予想外の出来事にジーボット達は目を丸くする。
「なぁ!?、何と言う事じゃ、人間じゃったか。…………………おぬし、いったい何者なんじゃ?」
「詳しい説明は後でするね。とにかく、この人間の姿が本当の僕なんだよ。だから、仕事を引き受けてくれないかな?」
「待ってください旦那様!、危険です。マシン国の情報が外の世界に漏れるのは、絶対に避けるべきかと」
「天空城から出なければ、大丈夫だと思うよ?」
「そうかもしれませんが、万が一の事を考えると止めておいた方が良いのでは?」
「そうだけど、………………僕はね、ジーボット達に存在する意味を与えたい。5千年以上、無意味に稼働しているジーボット達が可哀想だよ。責任は僕が持つから、彼らを天空城で働かせてもいいかな?」
「…………わかりました、旦那様の考えに従いますね」
「それじゃあ、ジーボット達に仕事を頼みたいけどいいかな?」
人間のフランから仕事を頼まれる喜びで、ジーボット達は嬉しそうに目を輝かせる。
女性のオートマタ達が抱き合って喜んでいると、ジーボットがフランの手を握り、涙声で話しかけてくる。
「また、人間の為に仕事ができるとは夢の様じゃ。おぬし、いや、フラン様にお願いがあるのじゃが、良いじゃろうか?」
「なに、話してみて?」
「わしらの、使用者登録を更新してくれんかのう?。使用者登録をフラン様に書き換えれば、わしらはフラン様の命令に従って動けるのじゃ」
ジーボット達はフランの前に来ると、首の付け根を触ってくれと言いだす。言われた通りに触ると、肌の一部が開いて数字を入力するパネルが現れる。
「フラン様、わしの言う数字を入力してくだされ」
指示された数字を30回入力すると、今度は目を見てくれと言うので、ジーボットの赤い目を見つめると、無機質な声が聞こえてきた。
「使用者登録の更新を実行します。…………………更新終了。使用者登録の変更を確認中。…………………確認終了。これより、悩み相談専用オートマタ、ジーボット2型は新しい使用者に使用権が移行します」
使用者登録を変更したジーボットは、フランの前で礼をすると静かな声で話しだす。
「フラン様、今日からよろしくお願いいたしますのじゃ。まずは、彼女たちの使用者登録を更新してくだされ」
ジーボットの時と同じように使用者登録を更新すると、4人のオートマタ達が綺麗に整列して、フランに頭を下げる。
「わしらは、今からフラン様の命令で動くのじゃ。使用者の命令には必ず従うから、安心して仕事を任せて欲しいのじゃよ」
「こちらこそ、よろしく!」
「フラン様に提案があるのじゃが。ここにある、戦闘専用オートマタを起動させてくれんかのう?」
「えっ!それは危険だから、止めておこう」
「大丈夫なのじゃ、戦闘専用オートマタは安全のために、使用者登録が1回しか出来ないのじゃよ。ここにある、戦闘専用オートマタは未使用だからフラン様が登録すれば、他の人間が登録を更新する事が出来ぬのじゃ」
「僕が使用者登録すれば、他の人間に取られないで済むと言う事?」
「そうじゃ、戦闘専用オートマタは破壊されるまで、1人の使用者の命令だけで動くのじゃよ。わしらの様に、使用者登録の書き換えは出来ぬのじゃ」
「旦那様、ジーボット言う事を信じるのですか?」
「うん、ジーボットは噓を言っていないと思うよ。ねえ、確認のために聞くけど、使用者登録すると命令を聞いてくれるの?」
「オートマタにとって、使用権のある人間の命令は絶対なのじゃ。じゃから、安心してくれんかのう」
ジーボットに案内されて、睡眠カプセルのような物に近づくと、中には薄い緑色の溶液に浮かぶ、全裸の女性がいた。
次回予告
「旦那様、気を付けてくださいね」
「分かってる、あっ、カプセルが開くよ!!」
『!!』




