古い言葉は、わかりません
「〇:*#”&……………………………………」
扉の奥から現れた、小柄で白髪の老人が話しかけてくるが、フランは意味が分からず戸惑う。やがて老人は、自分の言葉が通じないと気付くと、白くて長いひげを撫でながら考え込む。
「ヤーサ、意味が分かった?」
「いえ、残念ながら分かりません。お母さまは分かりましたか?」
「…………………多分、古代竜語かしら?」
「古代竜語?、ムーチャシー詳しく教えて」
「はい、大昔の竜語ですが、複雑すぎるために使用されなくなり、今は忘れられた言葉です」
「忘れられた言葉か、翻訳魔法でも無理なの?」
「フラン様、古代竜語は古すぎるために、翻訳魔法では無理です。ですが、私は多少話せるのでお任せください」
ムーチャシーは腕を組んで、記憶の中から古代竜語の知識を引っ張り出すと、たどたどしく老人に話しかけた。
「わたし、ことば、わかりますか?」
話しかけられた老人は、ぎょっとした表情を浮かべたが、すぐに何度もうなずくとゆっくり話し出す。
「わしの言葉が分かるのじゃな?。いやはや、竜語の分からないドラゴンがいるとは」
「ふるい、むり」
「古い?。閉じ込められたのは5千年以上前の事じゃから、確かに古いの~」
「わたし、はなし、したい」
「ふむ、すまんがお主の言葉は聞き苦しいので、今の言葉を教えてくれんかの?」
「!?」
「なに、難しく無いから安心せい。今から話す言葉を、お主の言葉で話してくれ。それだけで良いのじゃ、簡単じゃろ」
「青い空、晴れ時々ドラゴンが飛んでいく。上から下に何かが落ちてくる」
「青い空、晴れ時々ドラゴンが飛んでいく。上から下に何かが落ちてくる」
ムーチャシーの言葉を聞いた老人は、無表情になり動かなくなる。しばらくすると、白いひげを撫でながら、確認するように話しかけてくる。
「これでどうじゃ、わしの言葉が通じるかのぉ?」
老人の言葉を聞いて、ムーチャシーはもちろん、他のみんなも驚愕して顔色を変えた。
「凄いですね、言語をこれほど簡単に習得するとは」
「いやいや、言語変換プログラムのおかげじゃから、褒められるほどではない」
「言語変換プログラム?」
言葉の意味が分からず、ヤーサが考えだすとムーチャシーが、興味深そうに質問をする。
「私は竜王をしているドラゴン、名前はムーチャシー・ターラ、あなたは誰なの?。閉じ込められていた理由を知りたい」
「わしは、悩み相談専用オートマタ、ジーボットじゃ。理由を知らんのか?、…………まあ、当然じゃろうな。わしらの歴史は、抹消されたはずじゃから」
『オートマタ!!』
オートマタと聞いて、ムーチャシーとヤーサが動揺を隠せず、うろたえてしまう。
「ねえ、ヤーサどうしたの、そんなに驚いて。オートマタを知っているなら、教えてくれないかな?」
「えっ、あ、はい。オートマタは大昔に存在したとされる、機械式自動人形です」
「みーちゃんは、私がオートマタを研究するために作ったのですが、機械で作る事が無理なので、魔法でぬいぐるみを動かしているのですよ」
「へぇ、そうなんだ」
「旦那様!、もっと驚いてください!!。オートマタについて、詳しい情報は残っていませんが、人間が作り出したドラゴン抹殺兵器なんですよ!!」
「それだけではありません。フラン様、オートマタとの戦いで、古代竜たちが絶滅寸前まで追い込まれたと、考えられているのです」
ヤーサたちの話を聞いて、ジーボットの周辺にいた女性たちが武器を拾って身構える。
次回予告
「ヤーサ、危険だから下がって!!」
「旦那様、私も戦います!!」
「待つのじゃ!!、今のわしらに敵意は無い!!。本当じゃ、話を聞いてくれ!」
「えっ!」




