宝箱を開けよう
ヤーサの怒りの笑顔に恐怖を感じたフランは、本の事を記憶から消す。
(本なんて無かった。うん、何も無かったんだ。…………とにかく、残りの宝箱を開けよう)
フランは集中して宝箱の開錠を頑張るが、雑念があるためか手間取ってしまう。
「旦那様、大丈夫ですか?」
「うん、なんとか、…………大丈夫。……もう少しで、開く。……………………良し、鍵が開いた!」
開錠に成功したフランは、宝箱を開ける。すると、中から大量の黒い煙があふれ出してきた。
煙にむせながら驚いていると、黒い煙は急速に人型に固まっていく。
「フハハハハハ、我こそは封じられし闇、…………」
ヤーサは黒い煙に、電光石火の右ストレートパンチを叩きこむ。
「グフォアーー!!」
殴られた黒い煙は、爆散して断末魔の様な声と共に消え去る。
「ねえ、今のは何?。殴って大丈夫なの?」
「よくわかりませんが、悪い魔力を感じたので消滅させました。それよりも、最後の宝箱を早く開けましょうよ。楽しみですね」
促されたフランが最後の宝箱を、おそるおそる開けると中には、金色の剣先スコップが入っていた。
「これは何だろう?。少し待っていて、今鑑定するから」
「その必要はありませんよ、私にお任せを」
ヤーサは床に転がった、剣先スコップをじっと見つめて考え込む。
「わかりました、これは無力スコップですね」
「無力スコップ?、普通のスコップとの違いは何?」
「えっと、性能は、『力を入れなくても、硬い岩を掘ることが可能』だそうですよ」
「そうなんだ。これは当たりかな?」
「一個でも役に立ちそうな物が、手に入ってよかったです。…………他の宝箱は期待外れでしたけど」
「ねえ、ヤーサ。遅くなったけど、そろそろ夕食にしない?。お腹がすいてきた」
「はい、旦那様。今、用意しますね」
ヤーサは部屋から出ていくとすぐに、夕食を持ったブリムと共に戻ってくる。
ブリムに給仕をしてもらい、今日一日の出来事を話し合いながら、楽しい夕食の時間を過ごす。
「ねえ、今日森を散策したけど、広くてヤーサのいる所に行けなかったんだ。どこにいたの?」
「私の天空城は、グーの物よりも5倍位広いですからね。迷子にならないために案内役を用意したのですが、役に立ちませんでしたか?」
「そんなことないよ、凄く助かったから安心して。そうだ、ヤーサが作った、動く三毛猫のぬいぐるみにあったよ」
「みーちゃんの事ですね、ちゃんと仕事をしていましたか?。あの子には、動物たちの世話を頼んでいるのですが、少しサボる癖があるんですよ」
「確かに仕事が大変と、訴えていたな」
みーちゃんがノートに文字を書いて、訴えている様子を詳しく話すと、ヤーサは口に手を当てて笑い出す。
「ヤーサの天空城は珍獣が多くいたけど、動物の保護が趣味なの?」
「う~ん、趣味と言うより責任かな?。私たちドラゴンは強いですから、弱い生き物を守る責任があるのです」
「それで、絶滅しそうな動物たちを保護しているんだね」
「はい、私が保護すれば少しでも絶滅する動物を減らせますから」
ヤーサが食事をする手を止めて、少し悲しそうに話す。フランは雰囲気を変えるために、楽しそうな話をする
「あっそうだ、けだまにも会ったんだ。ふわふわの毛並みで可愛かったな」
「けだまに会ったんですか?あの、太っていませんでしたか?」
「ふわふわだったけど、太ってはいなかったよ」
「良かった。けだまは昔、甘やかしていたら、太って動けなくなっていた時期があるんですよ」
「甘やかしたくなる気持ちは、分かるな~」
「本来は、ドラゴンにかすり傷を負わせるくらい強いのですが」
「動けなくては、警備できないだろうから、瘦せたんだね。大丈夫、けだまは痩せていたよ」
「痩せていた。…………ちゃんとご飯を食べているのかしら?。後で、お肉をたくさん食べさせないと」
「けだま、また太るよ?」
フランに指摘され、ヤーサは顔を赤くして照れ笑いを浮かべる。
その後も楽しく夕食の時間が過ぎていき、夜が更けていく。
次の日、朝食を食べる前に話があると、ラミアのミナが話しかけてくる。
「おはよ~ございます~。朝からすみません。あの~、お願いがあるのですが」
「どうしたの?、城の事でグリフォンのみんなともめたの?」
「いえいえ、城は順調です~。泳ぎたいから、池に入ってもいいですか?」
「暑くて、もう無理ですよ~、下半身が乾いてきて大変なんです、だから池に入ってもいいですか?」
「う~ん、池は畑用だから駄目だよ。新しく、泳ぐ池を作るから少し我慢して」
「本当ですか?うれしいです~!!」
次回予告
「先輩、何しているのですか?」
「プールを作ろうかと」
「プール?ただの池では?」
「!?、今から、凄いプールを作るから待っていて」




