初物スイカ
夏の月 31日
母、ムーチャシーが帰ってから2週間程過ぎると、壊された箇所もだいぶ修復されてきた。
母親がグーの天空城に来たので、1年以内に城を造る必要がなくなり、今後について相談するためフランは会議を開く。
会議室として造ったログハウスは壊されてしまい、現在修復中で屋根がない。
屋根がないのは残念だが、せっかく造ったので今日の会議は、このログハウスでする事にした。
会議室にフランとヤーサが向かうと、既にみんなが集まっている。
ポラン、ギル、ツン、グー、カーバンクル代表のリン、大工職人のミナ、グリフォン族の族長ノン、メイド長ブリムが会議に参加するために集まった。
フランが円卓の席に着くと、リンが切り分けられたスイカを持ってくる。
「フラン様、この天空城の畑で取れたスイカです。ついに、作物が収穫出来たんです」
「そうなんだ!、良かった~。大変だったでしょう?」
「ええ、本当に。……………砂漠に畑ですから、大変でした。何度も枯れそうになるし、肥料の配分とかも難しかったです」
「収穫出来そうかなと思ったら、破壊される所でした。………………あの、ドラゴンの皆さん、破壊するのは簡単ですけど、作るのは苦労するんですよ。喧嘩をするなら、他の所でしてください!」
「リン、ヤーサたちも反省しているから、怒らないで。それよりも、美味しそうな初物スイカを早く食べよう?」
各自に用意されたスイカを食べ始めると、賞賛の声が上がる。特にグーは味が気にいったのか、夢中で食べ続けた。
「あまみが強くておいしい!!。……………………お代わりが欲しい!」
「すみません、グー様。今回は収穫量が多くないのでありません、次の収穫まで待ってください」
「そうなの?、残念だなぁ~」
「グー、僕のスイカでよかったら、食べていいよ」
「食べていいの?、ありがとう!!」
フランがスイカを差し出すと、グーは味わうようにゆっくりと食べだす。
グーはスイカに夢中になっているが、他のみんなは食べ終わったので会議を始めることにした。
会議が始まると、スイカを食べるのをやめたグーが遠慮気味に話し出す。
「あの、えっと、その、……………………みなさん!、今後も天空城完成のために、力を貸してください。お願いします!!」
席から起ちあがったグーは、頭を下げて必死にお願いをしてきた。
「わたし、実家では引きこもり気味だったし、ここで暮らしてからは寝てばかりの生活でしたから、あんまり友達がいないんです」
「そんな生活でしたから楽しい事も無くて、眠って夢を見るのが唯一の楽しみでした」
「でも、今は違います!、友達がたくさんできました。毎日が楽しくて幸せなんです」
「みんなと協力して天空城を造るのが、楽しくてしょうがないんです。お願いします、天空城完成に協力してください」
頭を下げ続けるグーに、フランが優しく話しかける。
「グーにお願いされなくても、協力するから心配しないで。天空城建設は僕も楽しくてしょうがないから、止めろと言われてもやるよ」
「それに、奥さんの手伝いをするのは当たり前だと思う」
「グー様、来年も再来年も美味しいスイカを作りますから、期待してください」
「グリフォン族は離れたりしません、安心してください」
「グー、忘れていませんか?この天空城で生活している者は、私が認めた嫁たちですよ。つまり、家族です。家族が協力するのは当然の事」
顔を上げたグーに、ポランが勢いよく抱きつく。
「大丈夫!、グーさんは私の親友なんだから、最後までやるよ!!」
ポランに抱きつかれて嬉しそうなグーだが、急に口を押えて外に飛び出す。
外から、グーが嘔吐している声が聞こえてきたので、心配になって様子を見てくると、ヤーサが外にいく。
しばらくしても帰って来ないので、フランが外に行くと、ヤーサも嘔吐していた。
「ちょっと、二人とも大丈夫?急にどうしたの、病気なら治療しないと」
「すみません、旦那様。嘔吐しているグーを見たら、私も気持ち悪くなって」
「グー、大丈夫?。スイカの食べ過ぎじゃないの?」
「わかんないけど、大丈夫だと思う」
フランは、2人がドラゴンだからすぐに良くなると思っていたが、3日が過ぎても体調は良くならなかった。
それどころか、体調不良を訴える者が増えてくる。
次回予告
「先輩、私も体調不良です」
「大丈夫?、やっぱりスイカがいけないのかな?」
「今、医療スキルで治療するから」
「あれ?、これは………………!?」




