親子のすれ違い
親子喧嘩が終わると、ムーチャシーは酔いが醒めたようだった。
酔って暴れたことが恥ずかしく、直ぐに帰ろうとするが、壊れた天空城を見て気まずく感じ、一晩修理をして帰ることに。
夜、親子喧嘩をした事が心配で、フランはヤーサを探すが見つからない。いつもは傍にいるのに、今日は名前を呼んで探しても、見つからないため不安になる。
必死に探すと、暴れて壊した木に腰かけて、夜空を見ていた。いつもと違う雰囲気に、声を掛けるのをためらっていると、ヤーサの方から声を掛けてきた。
「旦那様、もしかして私を探しましたか?」
「そうだよ、ヤーサが心配だったから。親子喧嘩をしたけど大丈夫?」
フランが心配してくれた事が嬉しいのか、ヤーサはいつもの笑顔になると話を続けた。
「私は、大丈夫ですよ。少しだけ、1人になりたかったんです。…………それにしても、綺麗な星空。…………」
「旦那様と結婚するまでは、仕事が忙しくゆっくりと、夜空を見たことが無かったな~」
「ねえ、あんなに激しい喧嘩をするくらい、お母さんが嫌いなの?。………子供の頃に、何があったの」
怒るかもしれないが、喧嘩する原因を知りたかったので、フランは思い切って聞いてみる。
ヤーサは笑顔をやめて、真剣な顔で話し出した。
「竜王としては、尊敬しています。お母さまの統治する国や種族は、非常に繁栄していますし、争いも少ないですから」
「ただ、母親としては……………………」
「そうなんだ、仕事は出来る人なんだね」
「…………子供の頃、お母さまの好きな焼き菓子を作ってあげたら、『料理をする暇があるなら、仕事を覚えろ!!』と言って、焼き菓子を捨てたんですよ」
「それ以来、一度もお母さまに料理を作ったことは、無いですね」
「ヤーサ…………」
「それに、初めて大型の魔物を倒して来たら、『この程度の魔物しか倒せないとは、情けない!!。今すぐに100匹の魔物を倒してこい!、出来るまで帰ってくるな』と言って、叱られたな~」
「……………………褒められたかったなぁ」
物悲しいヤーサを見て、フランは優しく手を握る。
「ヤーサ、帰ろう。昔の事を考えてもしょうがないよ、明日の事を考えよう」
「そうだ!、ヤーサの野菜スープが食べたいな?。あれは、とてもおいしいから好きなんだ」
「……………はい、旦那様。明日の朝食に作りますね」
(ありがとう、旦那様)
フランとヤーサが仲良く手をつないで、宿に帰っていく。
翌朝、ムーチャシーが帰る前に、話があると言ってフランを呼び出す。
「昨日は大変失礼いたしました。今後は、竜王としてフラン様の考えに従いますので、困ったらいつでも頼りにしてください」
「それと、娘のヤーサとグーをどうか、どうかよろしくお願いします」
ムーチャシーが綺麗な礼をして、頭を下げる
「聞きたいことがあります。昔、ヤーサが焼き菓子を作った時に、なぜ捨てたのですか?」
「!?、ヤーサから聞いたのですか?」
「あの時は、すごく嬉しかったんです。でも、料理より仕事を覚えた方が、ヤーサのためになると思って捨てたんです」
「ヤーサの前では捨てたけど、後で拾って食べました。美味しかった事を今でも覚えています」
「それと、初めて大型の魔物を倒してきた時、なんで叱ったんですか?。ヤーサは褒めて欲しかったんですよ!」
「!?、それも聞いたんですか?」
「ドラゴンは絶対的な強さが求められます。ですから、どんな敵も倒せる強いドラゴンになるために、厳しくしたんです」
「本当は、私も褒めてあげたかったけど、ヤーサのために我慢して叱ったんですよ」
「娘の成長が嬉しくて、あの時の魔物の骨で作ったペンダントを、今も持っているんですから」
ムーチャシーが服の中から大切そうに、小さなペンダントを取り出してフランに見せる。
「……………………親子の会話を大切にした方がいいですよ?。あなたの思いは、伝わっていないですから」
「……………善処します」
フランとの会話が終わったころ、見送りにヤーサとグーが来た。
「ヤーサ、グー、旦那様を大切にしなさい。仕事を無理にしなさいとは、もう言いません。自分の思うように生きなさい」
「!?、お母さま?」
「フラン様、他の竜王がどの様な行動をするか、わかりませんので気を付けてください」
挨拶が終わると、黄金竜に変身して飛んでいく。
次回予告
「先輩、畑の作物が収穫できそうです」
「良かった、みんなで食べよう!」
「ただ、その~、数が多くないんですけど」
「!?」




