ドラゴンの親子喧嘩
気を失ったヤーサの母、ムーチャシーはフランが両肩を掴んで、ゆすると意識を取り戻す。
フランを見て、少し怯えた顔をすると黄金竜に変身して飛んでいく。ふらふらと力なく飛んでいく姿に、心配したヤーサとグーが後を追う。
ムーチャシーが向かったのはマイアガラの大滝で、到着すると滝を流れるワインを飲みだした。
ドラゴンの姿で滝に顔を突っ込み、豪快に飲んでいく母の姿を見て、ヤーサとグーはあっけにとられる。
「お姉さま、酒を飲んでいるお母さまを、初めて見た気がする」
「私も始めてみました。…………止めた方がいいですね。グーも手伝って」
ヤーサとグーが止めようとするが、無視をしてひたすらに飲んでいく。2人が母の対処に困っていると、急に黄金竜は仰向けにひっくり返り動かなくなる。
「ちょっと、お母さま大丈夫ですか?」
慌てて近づくと、気持ちよさそうに母は寝ていた。
「酔った!?。お母さまが、酔って寝ているよ!。…………お姉さま、どうしよう?」
「とりあえず、天空城に運びましょう。私は上の方を持つから、グーは下の方をお願い」
天空城の砂漠地帯でフランが待っていたので、2人は黄金竜を砂漠に降ろす。手荒に降ろしたから、置く衝撃で母が目を覚ます。
目を覚ましたムーチャシーは千鳥足でフランに近づき、酒臭い息を吐きながら話しかけてくる。
「これは、これは。しん、りゅうおうしゃまでは、ないですか?。…………わらくひ、りゅおうの、…………あれ?。なんだっけ」
「大丈夫ですか?。酔い覚ましの薬か、魔法で治しましょうか?」
「わらひは、よってましぇん。だって、りゅおうだから」
「そうですか?。とりあえず、水をどうぞ」
フランが水筒をさしだすと、一気に飲み干した。
水を飲んだ事で、少し酔いがさめたムーチャシーは悲しそうな声で話す。
「わらひは、何か間違っていたのでしょうか。仕事も子育ても全力で頑張ったのに、…………どうして真竜王になれないんだろう」
「それに、子供たちがなついてくれないの。わらひは、親子仲良くしたいのに、他人みたいによそよそしい態度で話してくるのは何でだろう?」
フランの傍で話しを聞いていたヤーサが、大声を出す。
「あなたは、子育てしてないでしょう!!」
「仕事に夢中で、育児は全部メイド任せ!!」
「たまに会うと、無理難題を押し付けて嫌がらせばかりするし、優しい言葉とか褒めてもらった記憶が無い!!」
「それなのに、親子仲良くしたい?。馬鹿にするなーー!!」
激怒したヤーサが、ドラゴンに変身してブレスを吹く。
ヤーサのブレスを浴びて、ムーチャシーも黄金竜に変身して怒鳴る。
「そんなことない!。私は毎日、世話役のメイドたちから子供の成長を聞いて、適切な指示を出していたんだから。子供を大切に思う、私の気持ちがなぜわからない!」
「じゃあなんで、ブレスの練習として、10日間ブレスを吹き続けさせられたり、勉強として毎日1000冊の本を暗記させたりしたの?。すごく大変だったんだから!!」
「それは、厳しく育てるのが子供のためだと思ったから」
「あなたは、厳しすぎる!。もっと優しくしろーー!!」
「私にばかり厳しくて、グーには激甘で優しいのはなぜだーー!!。そんなに私が嫌いか!!」
「あなたには、期待していたから厳しくしていたの!!」
怒ったムーチャシーが、ヤーサに向けてブレスを吹くと、ヤーサもブレスを吹き返す。
ドラゴンの親子喧嘩が始まって、グーの天空城が壊れていく。せっかく作り上げた天空城が壊されていく様子を見て、グーが切れる。
ヤーサとムーチャシーの喧嘩にグーが加わった事で、破壊が加速されていく。
このままでは、本気で天空城が危ないと判断したフランは、クイーンにチェンジして強制的に喧嘩をやめさせた。
次回予告
「せっかく造った天空城がボロボロです」
「とりあえず、壊れた場所を確認しよう」
「そうですね。あれ?ムーチャシー様はどこに行ったのかな」
「帰ったよ」




