黄金竜が飛来する
覇気に満ちた黄金色のドラゴンが、グーの天空城上空を何度も旋回したのち、砂漠地帯に着陸する。
砂漠地帯にいる、人の姿をしたヤーサとグーを見つけて、黄金竜は重低音のうなり声をあげた。
母の不機嫌な声を聞いて、グーはヤーサの後ろに隠れてしまう。
「お母さま、お久ぶりですね。いつもと変わらず、元気そうですね」
「グー、久しぶりの母ですよ。何を隠れているのです、よく顔を見せなさい」
話しかけたヤーサを無視して、隠れているグーに母が話しかけると、ひきつった笑顔のグーが、おそるおそる現れる。
「ひ、久しぶりです、お母さま。き、き、今日は、どの様な用事でしょうか?」
「ヤーサに用事があって来ました。…………それにしても、この場所は見違えましたね。砂漠を目標に飛んできたので、グーの天空城と気づかず二度見しましたよ。本気で天空城を造るようになって、母は嬉しいです」
「お母さま、…………ありがとうございます」
「グー、ヤーサの力を借りましたね?。自分の力だけで、天空城を造ることが大切と何度も話したはずですが」
「すみません、事情があるのです」
「母は怒っていません。ずっと何一つない砂漠の天空城を、姉の力を借りたとはいえ、ここまで作り上げるとは、驚きです。…………ですが、ヤーサ。あなたはマージに仕事を押し付けて、何をしているのですか」
黄金竜の姿から、人の姿に変身した母が、ヤーサに詰め寄りにらむ。
母、ムーチャシーは、黄金色の髪と眼光の鋭い目が特徴の女性だった。黄金色の髪は、後ろの方できつくまとめられていて、強風でも崩れない感じがする。
「お母さま、私は結」
「ドラゴンは世界の安定のために、大切な仕事をしているのです。それなのに、あなたは仕事を放棄して何をしているのです!!」
「ですから、私は結」
「マージは、限界まで仕事をしているのですよ?。そんなマージに、あなたの仕事を押し付けるとは、何事ですか!!」
「あなたは、いずれ私の後を継いで竜王になるのですよ!。覚悟が足りません、そんな事では他の竜王に負けてしまいます」
怒った母は、ヤーサの話を聞かず、激しく言葉で叱る。
「結婚しました!!」
話を聞かない母に、ヤーサは大声で叫ぶと、激高していた母の動きが止まった。
「!?…………私の聞き違いでなければ、結婚と言いましたか?。誰の事です」
「私です」
「!?、…………?。…………くふ、くふぅふ、それはない、絶対ない。あなたが冗談を言うとは珍しい」
ヤーサの話を聞いて、母は怒るのをやめ、口を手で押さえて笑いをこらえる。
「自分より強い運命の相手を待つと言って、1000年以上結婚を嫌がり、紹介したお見合い相手を殴り飛ばすあなたが結婚?」
「母の機嫌取りをするつもりですか?。あなたの結婚は諦めていますから、無理をしなくていいですよ」
これ以上話をしても無駄と、感じたヤーサはグーに話しかける。
「旦那様を連れてきて、早く」
「お母さま、今更ですがなぜ、竜王たちは仲が悪いのですか?」
「当たり前のことをなぜ訊くのですか。…………竜王たちが争うのは、真竜王になりたいという一心ですよ」
「真竜王、…………お母さまは真竜王に会った事がありますか?。私はありますよ」
「何を言っているのです、真竜王は伝説の存在で、竜王をまとめ上げる王ですよ」
フランは近くにいたらしく、すぐにヤーサの元に来る。
「お母さま、私とグーの旦那様です」
「何を言っているのです?。ただの人間ではないですか」
「旦那様をよく見てください」
「見なくても分かりますよ。…………あれ?、…………!?。いや、そんなばかな!」
目をゴシゴシと服の袖で拭いてから、フランを見つめる。
じーーーーー。じーーーーー。じーーーー。ゴシゴシ、じーーーー。ゴシゴシ、じーーーー。
「あの、もしかして真竜王、様。ですか?」
「そうだよ」
空を見上げたまま、母は固まり動かない。よくみると、気を失っているようだった。
次回予告
「先輩、次回は外伝です」
「どんな話?」
「巨大大砲の話や、私の姉たちの話です」




