砂漠の緑化
夏の月 15日
夏の朝日が昇り、部屋が暑くなりだしたので、フランは目を覚ます。寝ぼけていると、ブリムが濡れたタオルと着替えを持って部屋に入ってくる。
「おはようございます、フラン様。昨晩も大変でしたね、疲労が激しいなら、特製ドリンクをお持ちいたしますか?」
「必要ないよ。他のみんなはいつも通りなの?」
「はい、朝仕事をしております。フラン様、体を拭きますから動かないで下さい」
ブリムが濡れたタオルで、フランの全身を拭いてくれる。
汗だらけの全身を拭き終わると、下着から服まで着替えさせ、身だしなみを整えてくれた。
「フラン様、ヤーサ様が食事を用意して、お待ちになっています」
「ブリムはヤーサ様と呼ぶのは、嫌だと言っていたけど、馴染んだね」
「家族なのだから、ヤーサシークシー様と呼ばれるのは嫌だと、強く言われましたので」
身だしなみを整えたフランは、ヤーサのいる食堂に向かう。
食堂ではそわそわしたエプロン姿のヤーサが、フランの到着を待っていた。
「おはようございます、旦那様。朝食が出来ていますよ」
フランを見つけると、ヤーサが優しい微笑みを浮かべて、テーブルの席に案内する。
今日の朝食は、パンと果実水、ヤーサ自慢の野菜スープ、ロールキャベツで、食欲をそそる匂いがした。
「旦那様、以前に話をしましたが、私の天空城にグーの天空城を、ドッキングさせたいと思うのですが、よろしいですか?」
「グーは嫌がっていないの?」
「嫌がるどころか、喜んでいます」
「グーの事だから、天空城を造らなくて済むと考えたな」
「大丈夫です、天空城を完成させるように、説教をしておきましたから」
ヤーサとの会話に夢中でいると、食事がすぐに終わってしまう。
食事を終えて宿から出ると、色とりどりの花と木々に囲まれた、美しい庭園が広がっている。
ヤーサはグーの天空城に来てから、砂漠の緑化に力を入れ、庭園造りなどを頑張った。その結果、今では砂漠はほぼ無くなり、緑の木々に囲まれた自然豊かな場所に生まれ変わる。
砂漠の緑化にグーが「砂漠で寝っ転がるのが、好きだから残してくれ」と、懇願したので少し残すことに。
多分まだ寝ているグーを起こすため、砂漠(グーの寝室)にフランは向かう。
砂漠に着くと、地面を揺らす程のいびきと鼻ちょうちんをする、黒いドラゴンが仰向けで砂漠の上に寝ていた。
「グゴォ~!!、スピィ~。…………グゴォ~!!、スピィ~」
とりあえず、起こすためにグーの尻尾を引っ張ったが、起きない。頭や体を叩いたが、起きない。
フランが、どうやって起こすか考えていると、ドラゴン姿のヤーサが飛んでくる。
ヤーサは寝ているグーを見つけると、尻尾を勢いよく踏んだ。
「グー、起きなさい。早く起きないと」
「起きた。今、起きた!!」
人の姿に変身したグーが痛みで涙目になり、姉を恨めしそうに見つめるが、慌てた様子のヤーサは、気にする余裕がなかった。
「旦那様、大変です。母がこちらに向かってます」
『えっ!?』
次回予告
「先輩、ヤーサ様のお母さまを知っていますか?」
「知らない」
「お母様は黄金竜と言われる、竜王です」
「あれ、先輩は真竜王では?」




