温泉でさわごう 3
温泉宿での歓迎会は、フランの知らない所で、いろんな事が起きていた。
フランの料理を作るために、ヤーサは調理場に移動するが、途中でポラン、ギル、ツン、グー、リン、ハヤ、カーバンクルの女性、ミナ、デシ―たちが集められている広間に向かう。
広間に着くと、ヤーサが落ち着いた声で話す。
「みなさんに、私から提案があります。旦那様の、嫁になりませんか?」
「強制するつもりはありません、嫌なら断ってください」
突然の事に、多くの人が困惑する中、リンが手を挙げてヤーサに話しかける。
「あの、すみません。もし、断ったらどうなるのですか?」
ヤーサの質問に、ヤーサは微笑みながら答えた。
「みなさんは、旦那様が大切にしている者たちですから、傷つけたりはしません。ですが、嫁にならないのなら、二度と旦那様の前に現れないでください」
「私は、嫁が旦那様の近くにいる事は納得できますが、嫁以外の女性が旦那様の近くにいる事は許せません」
「絶対に許せません。もし、その様な事があったら、自分でも何をするか、わかりません」
ヤーサの苛烈な殺気を浴びてグー以外全員、膝から崩れ落ち、呼吸が出来ず苦しむ。
「あっ、ごめんなさい。嫌なことを考えたら、つい。グリフォン族とメイドたちは、旦那様の嫁になりたいというので、私が認めました。みなさんは、どうしますか?」
「ヤーサお姉さま、わたしを嫁として、認めてくださるのですか?」
「本来は、ドラゴンの女性が、旦那様に近づく事は許せない。ましてや、嫁と認める事など出来ません。ですが、グーは大切な妹なので特別に認めます」
ヤーサの言葉を聞いてグーは少し驚くが、姉の気持ちが嬉しくて、照れ笑いを浮かべる。
ポラン、ギル、ツン、ミナ、デシーは直ぐ嫁になる事を決心したが、リン、ハヤなどのカーバンクルたちは、しばらく話し合いをした。
リンが遠慮気味に、ヤーサに質問をする。
「ヤーサシークシー様は、嫁を大切にしてくださいますか?」
「もちろんですよ。旦那様の嫁たちは、私の家族ですから。家族に危害を加える者は、…………消滅だ」
ヤーサの強い言葉を聞いて安心したのか、カーバンクルの女性たち全員嫁になる事を決心した。
「全員、旦那様の嫁として認めます。家族が増えて、嬉しい」
ヤーサは満足したのか微笑みながら、広間から調理場に向かう。
フランがヤーサの手を取り温泉に向かうと、個室に残ったブリムは、隠れていた隠密メイドに指示を出す。
「今すぐ、温泉にいる人を追い出しなさい。フラン様たちが、温泉に入ったら誰も入れてはいけません」
「それと、温泉からあがったヤーサシークシー様は、静かな所に行きたい、と言うだろうから、出来るだけ宿を騒がしくするように」
「目的は、フラン様とヤーサシークシー様が、温泉宿ではない別の宿で、過ごすようにすることです」
ブリムの指示を受けて、隠密メイド2人が音もなく去っていく。
(ヤーサシークシー様が、初夜を失敗しなければいいな)
温泉に入っていた者を追い出し終わるころに、フランたちがやって来る。隠密メイドは、他の者が入ってこないように見張りをするため、温泉に忍び込む。
(えっ、フラン様。ヤーサシークシー様の髪を洗っている!!)
ヤーサは髪を大切にしており、髪に触れるのは逆鱗に触れると同じ意味だったので、隠密メイドは声を出しそうになる。
(あれ?。ヤーサシークシー様、嬉しそう。どういうこと?、髪に軽く触れただけで、激怒するはず。しかも、男性に洗ってもらっている。…………夢?)
宿を騒がしくするよう指示を受けた隠密メイドは、宿全体を使って、枕投げをするように仕向けた。
数分後、狙い通り酔った人たちが、枕投げで騒ぎ出す。
次に、宴会場に向かい、酔った人たちを見つけて宴会芸を披露すると、いろんな人たちが宴会芸をやりだして、騒ぎ出す。
ブリムの狙い通り、フランとヤーサが温泉からあがるころには、宿全体が騒然として、温泉宿ではない別の宿で2人は過ごした。
想定外だったのは、ヤーサが1人で初夜を迎えるのは不安だと、ブリムに相談してきたこと。
「ヤーサシークシー様、何を不安に思うのですか?。いつも自信に、満ち溢れているではないですか?」
「だって、だって。…………もし、もしも失敗して、嫌われたらどうしよう。生きていく自信がない。だから、一緒に初夜を迎えて欲しいの」
結局、大勢の人を巻き込んだが、無事に初夜を終えた。
次回予告
「先輩、凄く暑いです」
「夏の月だからだよ」
「ヤーサのおかげで、砂漠地帯が少なくなったから、暑さは大丈夫でしょう」
「確かに、ヤーサ様の活躍はすごいです」




