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結婚は勢い

 人の姿に変身したヤーサが、満面の笑みで駆け寄ってくる。


 「えっと、その、…………約束した人手を、集めてきました」

  

 ヤーサは、小さな声で話す。顔を真っ赤にしてうつむき、目を合わせてくれない。

 グーは姉の態度が、予想外だったらしく、驚きの声を上げる。


 「お姉さまが照れている、めずらしい」

 

 「グー、姉をからかうと、怒りますよ」


 ヤーサが怖いのか、グーはフランの後ろに隠れてしまう。


 ヤーサとグーの会話を離れて聴いていた、鳥の羽がある女性とメイド服の女性たちが、近づいてくる。女性たちはフランの近くに来ると、片膝をつく。


 「ヤーサシークシー様の夫、フラン様ですね?。私はグリフォン族の族長、ノン・キーニと申します」

 「今日から、グリフォン族はフラン様に、不変の忠誠を誓います」


 『誓います』


 ノンの言葉に続いて、グリフォン族の女性たちが凛とした態度で、忠誠を誓い頭を下げる。


 フランがあっけにとられていると、今度はメイド服の女性が話しかけてきた。


 「フラン様、私はヤーサシークシー様のメイド長、エルフのブリムと申します。今日から、フラン様のお世話をさせていただきますので、よろしくお願いいたします」


 『よろしくお願いいたします、フラン様』


 ブリムが頭を下げると、他のメイドたちも一糸乱れぬ動きで、頭を下げて挨拶をする。


 「えっと、僕はヤーサの夫じ」


 「夫じゃない」と、言おうとした時、フランの全身に鳥肌が立ち、寒気がした。おそるおそるヤーサを見ると、笑顔だがなぜか、怖い。本能的に、危険を感じる。

 以前、グーに言われた事を思い出す。


 「ヤーサお姉さまは、基本的に他者の言う事を聞かないから。それに、考えを否定されると、激怒して暴れるから、お姉さまの言う事に反対してはだめ」


 (今ここで、ヤーサの夫ではないと否定したら、…………危険なので否定しないでおこう)


 考え事をしていると、ヤーサが恥ずかしそうに話しかけてきた。


 「あの、フラン様。だ、だ、旦那様と呼んでもいいですか?」


 話し終わると、ヤーサは両手で顔を隠してしまう。


 (どうしよう。否定するのは、まずい。う~ん、そうだ。はぐらかそう)


 「あ~、うん。好きに呼んだら、いいんじゃないかな」


 フランの返事が、余程嬉しかったのか、タックルをするような勢いで、フランに抱きついてきた。


 「旦那様、旦那様!。私は今日から、つねに旦那様の隣にいます。決して離れませんから。変わらぬ愛を、ヤーサは誓います」


 (しまった、答えを間違えた。どうしよう、もう後に引けなくなった。…………そうだ、話題を変えよう)


 「ヤーサ、仕事はどうするの?。たしか、ドラゴンは仕事を大切にするんじゃなかったの」


 「大丈夫です、仕事は全て弟に任せてきました。私は仕事ではなく、愛に生きます」


 照れ笑いをするヤーサを見て、フランは諦めた。



 ノンとブリムが今日から仕事をしたいと言い出したが、移動の疲労もあるので休んでもらう事に。


 「そうだ、新しい仲間が大勢増えたから、午後は全員仕事を止めて、歓迎会をしよう」


 少しでも早く打ち解けるために、フランが提案すると、ポランが大喜びで話しかけてきた。


 「先輩、温泉がいいです。温泉で歓迎会をしましょうよ」


 「いいね、温泉。スキルで極上の温泉宿を作るから、少し待っていて」


 ポランとフランの会話を聞いたヤーサが、目を輝かせて喜ぶ。


 「温泉は好きなので、楽しみです」


 何もない広い場所に移動して、スキルを使用する。


 「極上の温泉宿創造」


 まばゆい光と地面を揺らす振動と共に、宿泊する事より、くつろぐ事に特化した、極上の温泉宿が現れた。

 


 


 

 

 

 次回予告

「先輩、打たせ湯が気持ちいいです」

「ポラン、卓球やらない?」

「卓球よりも、温泉に入ってます。宴会場で騒ぐ人たちを、止めなくていいんですか?」

「無理」

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