外伝、INTがないギル画伯
ギルとツンが祭りのイベントに参加する前、二人は町の店を楽しく巡っていた。
鉱石を取り扱っている店に立ち寄った時、ツンが夢中で語りだしたので、ギルは逃げるように近くの画商らしき店に逃げ込む。
広い店の中には、無数の絵が飾られていたが、その中でも金色の高級な額に入れられて、大切に飾られている絵が目立つ。
「いらしゃいませ、どの様な絵画をを探しですか?」
若い女性店員が声をかけてくるが、ギルは返事をすることなく、金色の額に入れられた絵画を、食い入るように見つめる。
「お客様、良い目をしていますね。そちらは当店最高の絵画、ダメス先生がダークエルフの友人を描いた作品です」
「ダメス先生…………」
「ダメス先生は、ム―帝国の帝都で行われる芸術祭で、絵画部門5連覇した天才画家です」
「へぇ~、でもこの絵、偽物だよ。ひどい!、下手すぎる」
「!?、いやあの、私は雇われ店員なんですけど、何を根拠にそのようなことを言うのですか?」
ギルに指摘されて、慌てふためく店員に、真剣な顔で語りだす。
「まず、胸の描き方がひどい。大きいだけで、やわらかさと張りが表現されていない」
「次に、髪の描き方が雑。これでは、髪ではなく線と言った方がいい。艶やかさと流れる美しさがあってこそ髪といえる」
「最後に、モデルの美しさと艶が、少しも感じられない。妖艶ともいえる美女を、表現しきれていないな」
「はぁ、そうですか?」
説明を聞いても、理解が出来ない店員を見て、ギルは興味を無くし、足早に店を去る。
愛用のつるはしが欠け、放心しているツンを見て、体の不調を気にせずにギルが動き出す。
怪力モンク、ムキムキンは多くの仲間と、優勝を祝うために酒場に集まって騒ぐ。
優勝を祝う声がひびく酒場に、ヨロヨロとギルが現れムキムキンに話しかけた。
「優勝おめでとう、ボクの名前は、ダメス・ギル。画家なんだけど、ボクの絵と君の虹色鉱石を、取り換えてくれないかな?」
ギルは、カバンから小さな絵を取り出し、相手に見せる。
「!?、…………俺、いえ、私はム―帝国の出身です。貴方様はあの、ダメス画伯ですか?」
「そうだよ、信じられない?」
「いえ、私は貴方様を王宮で、見かけた事がありますから。もちろん喜んで交換させて頂きます」
虹色鉱石を受け取ると、フラフラとギルは去って行った。
ギルを心配そうに見送ったムキムキンに、仲間が不思議そうに質問をする。
「ムキムキンさん、あの人だれです?。王宮と言う事は、まさか王族の方ですか?」
「あの方は、美貌と画家としての才能を評価され、皇帝陛下の側室になる予定だった方だ」
「側室!?。何でそんな方がここにいるんですか?」
「…………側室になる事が嫌で、自分で知性(INT)が0になる呪いをかけて失踪したんだよ」
「皇帝陛下は、探そうとしたが、自分に呪いをかけてまで、嫌われようとしているエルフを、無理やり連れ戻すのは残酷と考えられた。それで、側室になる話はなくなったんだ」
体調が悪化してふらふらと歩きながら、ツンの元にギルは下手な歌いながら向かう。
「ツンちゃんの~たーめーなーら、え~んや、こーら」
次回予告
「先輩、目的地まで頑張りましょう」
「トラブルを乗り越えよー!」
『おーー!!』




