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てすと

作者: S.

外はすっかり暗くなった.

本当は今日は,朝から図書館に行き,颯爽と課題をすませ,今頃は帰宅の途だったはずなのに.なんで,今から家を出るのだろう.洗濯を済ますことは出来たから及第点としておこうか.

街を歩くと,きらきらと可視光線が揺蕩っている.クリスマスだ.しかし,やっと外に出た私には,少し波長が強すぎる.人々は皆,私には分からない言葉で可視光線について会話を交わす.さすがは,本場とでもいうべきか,シャツには「Happy Birthday Christ」の文字がプリントされている.そういえば,クリスマスとはキリストの誕生日であった.当たり前のことに今更ながら感慨深さを感じながら,7時間の遅刻で図書館に着いた.

学生証を求めて,バックパックという荒野に意識を送る学生を横に,入り口をとおる.いつもは混雑している図書館も,この時間,この時期では,いささか活気がない.それはそれでよいことなのだろう.課題のためにキーボードの上で指先を踊らせるよりも,キリストのために想いを馳せるべきだ.特にこの国では.

先ほどの学生が,荒野から無事に帰還したらしい.私の3つ隣の席に腰を下ろした.ふと,私の作業が全く進んでいなかったと我に返る.このままでは,今日は洗濯だけになってしまう.洗濯機が回っていたのは2時間だけだ.残りの22時間はどこに消えてしまったのだろう.残りの今日を使い果たす前に,一語でも課題を進めなければ.私はパソコンを開いた.

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