天使
ある夜、神が私にこう告げた。
君の背中には羽がある。
寂しい日が続くのならその羽を使って
羽ばたいていくがいい。だが、それをすると
君は帰れなくなる。天使になるのだから。
私はそれでもいいと思う1日だけでもあなたのそばに
いれて抱き締められるだけで。彼は泣くかもしれない
だけど、私はそばにいつもいるからなく必要はないよ
それが私の生きた道なのかもしれない。
あんなことにならなければ。
私があなたと出会ったのは冬の月明かりがきれいな日
その日は、初雪で私は仕事終わり雪で道が滑りやすく
慎重に歩いているとき雪に滑り転びそうに
その時、「危ない。」と誰かが助けてくれた。
そう。それがあなたとのはじめての出会いだった。
あなたはその日からよく出くわすようななった。
そんなとある午後あなたに食事をしないかと誘われた。
きれいな星が瞬く夜にディナーを楽しんだ
別れ際に、あなたから付き合ってほしいと言われた
私ははいと言いたかったけど言えなかった。
私には時間がなかったから。あなたには言えない
病を患っていたからそして、余命宣告も。
それでもあなたは何度も何度も迫ってきた。
友達からならと伝えるとうれしそうにした。
それが、悲しい運命になろうとも。
彼と友達になり、数ヶ月が過ぎた。
いろいろなところにお出かけ楽しい時間だった。
彼はまだわたしのことを諦めていない様子で、
出かける度にいろいろなプレゼントをくれた。
私は、どうしたらいいか分からなく、ただ受けとるだけだった。
そんなある日、お出かけ中に突然頭が割れるような痛みに襲われた。
彼には心配かけまいと気丈に振る舞っていたが、ついに、視界も悪くなり倒れこんでしまった。
目が覚めた時にはベッドの上で横には彼がいた。
彼はずっと私の手を握っていた。
目が合うと、彼は「よかった。なんでもっと早くに教えてくれないんだ。病気のことも、余命宣告を受けたことを。さっき先生に聞いた。俺がそんなことで諦めると思ったか。そんなちっぽけな男に見えたのか。俺がお前を支えてやるから、一人で抱え込むな。泣きたいときは泣け。全部受け止めてやる。だから、俺と結婚してくれ。」私は、ただただ泣き頷くことしかできなかった。
それから、私達の新しい日々が始まろうとしていた。そうあんなことになるまでは・・・。
結婚して、数日が経ったある日、私は体調を崩していた。
ひどい嘔吐が続いていた。もしかしてと思い、
検査キットを使うとやはり妊娠していた。
病院にいくと医師からおめでとうございます。
妊娠3週目です。と言われた。
病気のことを産婦人科の先生に伝えると
みるみる表情がかわり、同じ病院だった為
すぐに連絡がいった。
医師同士で話し合い、出た結論はやめて
おいた方がいいとのことだった。
医師はあなたの命か、赤ちゃんの命かどちらか
しか助からない可能性がある。といった。
私は頭が真っ白になり考えられず、数日待って
もらった。
家に帰り、夫の帰りを待った。夜になり夫は帰ってきた。
今日のことを伝えるとすぐに「俺はお前がいればそれでいい。赤ちゃんはあきらめよう。」と
いった。
私は、うなずけず泣いた。1日考え朝になり、夫にこう告げた。
「今この子をあきらめたら私は後悔する。
この子は、なにも悪くない。生まれたいと
願ってる。だから、産みたい。」そう伝えた。
夫は絶対反対すると思っていたのだが
「お前がそこまでいうのなら頑張ってみろ。
運命を変えてみろ。」と反対はせず応援してくれた。
その日から私は、日記を書くことにした。
日記といっても、私がいついなくなってもいいように伝えたいことを書いた。
妊娠して予定日まであっという間に過ぎていった。
ついに、予定日がやってきた。
私の体力も限界にきていた。
そう、予定日こそが余命日だったからだ。
分娩室にいくも、自力では産めず帝王切開になった。
無事に女の子を出産するも、そのとたん私の心臓が止まった。
医師は必死に心臓マッサージを行い、一命はとりとめたものの、いつどうなるかわからない状態だった。
私はベッドに横たわり、目を覚まさない。
でも、私自身は夫のすぐ横におり、おかしな
状態だった。
でも、そんなときに白い服をきた女性が私に
「1週間だけ時間をあたえる。その間にし忘れたことをすべてこなすように。こなせたらきっといいことがある」といい消えた。
そうそれこそが、これから始まる奇跡だとは知らずに
私は、まだベッドに横たわったまま。
どうしたらいいのかわからず、夫のそばにいた。
1日が過ぎようとしていた。
そんなとき、突然目の前が光辺りが草原になった。
私は、唖然と立ち尽くしていた。
そんなとき、遠くから声が聞こえてきた。
その声がする方に行ってみると夫が泣いていた。
ごめんな。と何度もいいながら。
私は、傍に行き声をかけると夫は振り向いた。
君は誰。そう夫は言った。
私は、えっ。と声を出し自身を見ると違う女性になっていた。
名前を伝えようとするも声が出ず伝えることができない。
傍にいるのに伝えられなくてつらかった。
でも、話はできるのだから話をしようと思った。
あなたは、どうして泣いているのときいた。
夫は、一瞬ためらったが素直に話してくれた。
妻が危ないこと、俺にはなにもすることができない。と嘆いていた。
私はそんなことないですよ。傍にいることだけでいいんですよ。と伝えた。
それから、何故か夜な夜な会うようになった。
夫は少しずつ笑顔を取り戻した。
何日か経ったある日例の女性が現れた。
あなたは、夫を笑顔にした。それがあなたがやり残したこと。
成し遂げましたね。お母さん。ありがとう。
私を生んでくれて。
もう大丈夫だよ。早く目覚めてね。
私は彼女を見つめた。
その時、光輝き彼女は消えていった。
私も草原ではなく暗闇にいた。
目を開けると天井だった。
名前を呼ぶ方向を向くと夫がいた。
傍らには赤ちゃんがいた。
その手は私の手を握りしめていた。
私はありがとうと伝えた。
その日からリハビリをし歩けるまでになった。
でも、医師からはいつまた体調が悪くなるかわからない。と言われた。
でも、時間はまだあるのだと考え生きていこうと思う。
娘と夫と一緒に。
END