女子達の屋上
そうこうしてるうちに、先生がやって来た。
「さて、今日から授業は午前に詰めて行う。浮かれ過ぎて置いていかれないように」
先生の発言には様々な反応があったが、ともかく授業は昨日よりハードだった。
そして昼になった。
今日は弁当を作ったので屋上に向かった。
アニメとかの学校は屋上が開いていることが多い。
だが、実際に屋上の開いている学校は安全管理の都合なのかそう多くない。
しかし、四ツ橋学園都市に存在する三校はいずれも昼食スペースとして屋上が開いているのだ。
「今日は弁当にすると聞いてました」
「悠莉!来てくれたのね」
僕はそういって手記を渡す。
「恵、僕と二人っきりの時くらいは口調を戻しませんか?」
「誰かに聞かれてもいけないからね。だから今の私は秋菜って呼んで」
「慎重なんですね」
「それと、これを」
そういうと、僕は悠莉にキスをした。
「急にどうしたんですか。キスならいつでもできるから、ってしてなかったんですよ?」
「文化祭で男の子とキスすることになるかもしれないから、先にやっておくことにしたのよ」
それを聞いた悠莉はこういう。
「黒崎泰宏って人が文化祭にかこつけてキスするじゃないか、と思ったんですか?」
「彼はそんな人じゃないわ。鈍さはかなりのものだけど」
すると、そこに泰宏が現れる。
「秋菜と、確か青木悠莉だったか。屋上で何をしてるんだ?」
「屋上の様子を見に来たらたまたま会って、ボーイッシュなことで学園都市では有名な僕に話かけたんですよ」
「そうなのか。だが屋上での練習はまだやってないぞ」
「分かりました」
そういって悠莉は去っていった。
すると入れ違いに莉乃が現れる。
「泰宏、遅くなってごめん。あ、秋菜も居たのね」
「今から昼食だったのね。邪魔だったら帰るわ」
「昨日も一緒だったし、折角ここに居るんだから遠慮せず一緒に食べればいいわ」
「なら、お言葉に甘えさせて貰うわ」
そういって僕達は昼食を食べ初める。
「秋菜の弁当はバランスを考えているのね。泰宏は私が目を離すと肉ばかり入れるのよ」
「女の子はやけにバランスバランスっていうよな。中学生のうちは好きな物を食ってていいだろ」
それは地味に僕が女の子っぽいといわれているようで少しへこむ。
だが、今の僕は女の子として扱われるので仕方がないかもしれない。
なので、僕は泰宏にこういった。
「そんな考えじゃ、将来困るわよ」