男子と女子
そうして部屋に戻った僕は、返って来た手記に続きを書いた上でメイクを落として眠りに着いた。
そして朝になり、また新たな一日が始まった。
髪やメイクを整えて、女子制服に着替えて朝食を取る。
偽りの女子生徒だからこそ、朝の準備は欠かせない。
もし手を抜こう物なら、黄桜秋菜になる魔法が解けてしまう。
自分でも詩的な書き方だと思ったが、『黄桜秋菜』は単に演じるだけだといけない気がする。
それこそ魔法にかけられたような行動をしないと、たちどころにボロが出てしまうだろう。
そう思っていると、可も不可もなく男の子の部屋とも女の子部屋ともつかない僕の部屋のチャイムが鳴った。
生徒が住む寮ということでドアホンは付いてないので、ピンホールを覗き見る。
するとそこには泰宏と莉乃が居たので、僕は鍵を開けた。
そして扉が開くと同時に、泰宏がこういう。
「莉乃がどうしたら君と仲良くできるか考えたんだ」
「一緒に登校したら仲良くなれるんじゃないか、ってのが泰宏の結論よ」
「そうだったのね。それなら、二人と一緒に行くわ」
僕は莉乃にこう返しつつ、泰宏は鈍感なんだと改めて実感した。
そして僕達は四岸学園に着いた。
「さて。学校に着いたな」
「そういえば文化祭も近いわね。今日ぐらいから準備が始まるんじゃないかしら」
「転校生のあなたが、どうしてそれを?」
「文化祭の日にちの下調べくらいはしているわよ」
それは嘘偽りない事実だ。
四岸学園に通う以上は行事のスケジュールは把握しておく必要があると思ったので、それは大体分かっていた。
「意外と準備深いのね」
「莉乃もまめな方だろ」
泰宏もただ鈍感なだけじゃないようだが、人の好意に鈍いのはやはり欠点だ。
そう思っていると、僕達は教室に着いた。
すると比奈がこういって来た。
「泰宏、昨日のあれはどういうつもりなの!?」
「そうはいっても、女の子は大体少食だからな。君という例外が居ることは忘れてないさ」
泰宏はこうはぐらかした。
比奈は大食いな分ほぼ毎日どこかのプールで長距離泳いでエネルギーを消耗する。
なので見た目は普通の少女と変わらないため、大食いということをうっかりしてると忘れてしまいかねない。
「それもそうね」
彼女もそれは分かっていたのか、怒っていた割にあっさり引きさがったのだった。
「そんなんだからヒナパンっていわれるのよ」
「もう、莉乃ったら!」
こう済ますということは、莉乃と比奈の仲はいいのだろう。