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カレーとライバル

 僕も泰宏の気持ちはよく分かる。

 僕が四岸学園に居るのは、麗那のことを見はっていればみんなを守ることができると思ったからだ。

 でもそれを表に出したら僕が男だと悟られてしまう。

 例え峰桜の生徒だとバレてもフォローすることはできるが、男だとバレたらフォローしようがない。

 泰宏だけにならあえて性別を明かす手もあるが、今は莉乃も居る。

 とか書いていると誤解されそうだが、僕は泰宏に恋なんてしていない。

 泰宏は僕に恋しているかもしれないが、それは『転校生の女の子』である『黄桜秋菜』に対しての恋だ。

「どうしたの、秋菜?さっきから顔が赤いわよ」

「考えことしてただけよ」

「本当に?」

「それは天地神明に誓うわ」

 考え過ぎると顔が赤くなるというのは経験が何度かあった。

 それに、同性同士で恋が成立するとは思えない。

 泰宏が僕に恋したとしても、それはさっきいったように例外だろう。

「ならいいわ」

「それより、カレーをお願いするわ」

 僕はそういってカレー作りを促した。

 そして何分かの時間が過ぎた。

「カレーできたぞ」

 僕はそれを聞いて急いでメモ帳を閉じた。

「秋菜、お前は何を書いていたんだ?」

「日記を書くために今日の出来事を書いていたのよ。それじゃあ、いただきます」

 そういって僕はカレーを食べ始めた。

「まめなんだな。女の子は繊細だというが」

「最近は男女関係なく繊細な人は多いわ」

 そういったのは莉乃だった。

「それもそうか。だが、秋菜は莉乃くらいに女の子らしいよな」

「莉乃は料理上手だしね」

 そういったのは僕が泰宏に合わせたのもあるけど、カレーの味が美味なのは事実だ。

 それは僕が保証する。

 ただ、女の子らしいといわれたのは複雑だ。

「秋菜、カレーなら誰でも作れるわよ」

「いいえ、例えルーや具材が高級でも煮詰め方次第で駄目になるわ」

「そうかな?」

「それに具材も綺麗に切れているし」

 莉乃にいったのはお世辞ではないが、煮詰め方についてのくだりは忍の請け負いだ。

 だからそこを突かれたら危ない。

「誉められて悪い気はしないけど、あなたと私はライバルなのよ」

「肝に命じておくわ」

「何のライバルかは知らないが、部屋が隣ということは同居してるようなもんだろ」

「分かったわよ、泰宏。仲良くするわ」

 それを聞いた僕はカレーも食べ終わったので、二段がベットが特徴的な二人部屋から立ち去ることにした。

「さて。カレーも食べたから帰らせて貰うわ」

「連れないな、ゆっくりしてけばいいのに」

「明日も学校だし、日記も書かなきゃいけないから」

「そうか」

「だから、また明日ね」

 そういって僕はおじぎして、泰宏達の部屋から出たのだった。

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