恋のライバル
そして四ツ橋学園の人々は三つの学園と提携して四ツ橋学園都市を作り、
そこへ峰岸麗那を閉じ込めることにしたのだ。
いってしまえば、僕達が居るのは監視された箱庭ということになる。
だけど、峰桜学園のみんなはそれを承知の上でこの学園都市に居る。
悠莉もそのつもりだろう。
あ。悠莉っていうのは僕と相思相愛の恋人で、フルネームは青木悠莉。
そして、彼女は僕と同じの峰桜学院の生徒なんだ。
ともかく四岸学園の人で事実を知っている人は少ないけど、それでも莉乃は知っているだろう。
「ごめんね、秋菜。変なこといっちゃって」
「別にいいわ。これから私達は仲間なんだし」
「それじゃあ、授業を始めるわよ!」
先生がそういい、授業が始まった。
そして授業が進み、昼休みになった。
「昼食は今からなの?」
「ええ。莉乃も一緒に食べる?」
「そうね。恋のライバルのことは知りたいから」
早くもライバル認定を受けるあたり、莉乃は泰宏が好きなのだろう。
女心はあまり分からないけど、そのくらいは予想が付く。
会話しながらそういう思慮に耽っていたら、僕は食堂に着いていた。
「ふうん、私達の隣の部屋なんだ」
「でも入れないわよ」
「どうして?」
「日記を見られたくないからよ」
女の子はよく日記を書くと親友で峰桜学園の生徒会長でもある桃旗忍はいっていた。
だから手記は表紙と裏表紙の両方に日記帳のそれを貼り、バーコードに黄色いテープを貼って目印にしている。
「ふうん。まあ、人の日記を見るような真似はしないわ」
「で、莉乃は何を頼むの?」
「私は日替り定食よ」
「なら私もそれにしようかな」
「仲がいいようで何よりだ」
泰宏がそういうと同時に、僕達は定食を食べ始めた。
「このカキフライ、おいしいわね」
「へえ、莉乃はカキフライにレモンだけかけて食べるのね」
「そういう秋菜は二個にタルタル、一個にレモンなのね」
「秋菜も女の子だから、タルタルだけじゃ重いんだろう」
「泰宏はソースの上にタルタル……よく胃がもたれないわね」
僕は男だが、平均的な同年代の女の子くらいに少食なのは事実だ。
また、忍や僕の知り合いはカキフライにソースとタルタルの両方をかけることがない。
なので胃がもたれそうだといったのは本音だ。
「男はあれくらい食べる生き物よ、秋菜」
「少食な男も居るって四ツ橋で聞いたんだけど」
因みに、僕は少食なことで四ツ橋学園で話題になっているのも本当だ。
ただ当の本人がそれをいうのはどうかと、自分でいいながら思ったのだった。