茶番劇の裏に
それを聞いた泰宏はこういう。
「忍から教えられた歌があったのか」
「そうよ。結局使う機会はなさそうだし」
僕がそういうのに対し、冷菓はこういう。
「もう茶番は終わりにしなさい。でないと取り返しのつかないことになるわ」
冷菓の発言に対し、泰宏はこういう。
「ちょ、ちょっと待て。取り返しのつかないことって…」
「ならいってあげるわ。黄桜秋菜なんて子は最初から存在しなかったのよ!」
それに対し、泰宏はこういう。
「秋菜が彼女の本当の名前じゃないのかもしれないけど、黄桜秋菜は幻なんかじゃない。ちゃんとそこに居る!」
それに合わせて莉乃はこういう。
「やっぱ私は秋菜に敵わないのね。でもそれが泰宏の思いなら!」
「私は……」
男なのに敵わないのは複雑だが、それだけ僕は魅力があったということだろう。
なので、僕はこういう。
「泰宏が『黄桜秋菜』に恋をしたなら、私は泰宏の思いに答えたい」
「それは『あなた』としてなの?」
「冷菓にとって私は秋菜じゃないとしても、私は秋菜でもあるの。それが分からないというなら!」
「秋菜としての思いがあなたにあるはずがないのに、どうして!」
焦る冷菓に対し、泰宏がこういう。
「俺は秋菜に恋をしている。それが失恋に終わるとしても、俺は秋菜を守りたい!」
「約束だから、とでもいうの?それは莉乃を傷つけることになるわよ!」
すると莉乃がこう返す。
「私は泰宏が秋菜を守りたいと願う限り、私はそれを見届けてみせる!」
「泰宏が変わらない限り、その行為は報われないわ」
「報われなくてもいい。私は泰宏が好きだから!」
それを聞いた泰宏はこういう。
「それって恋人として好きなんだよな?」
「さすがに泰宏も、このタイミングでなら気が付くようだね」
「俺が小学生のころ莉乃にキスされたのもそうだったのか?」
その質問には莉乃が答えた。
「それは悪戯半分よ」
打ちとける僕達を見た忍はこういう。
「どうやら思ったように行かなかったらしいな、冷菓!」
「なら、意地でも戦い抜いてみせるわ」
そして冷菓は、意を決したかのようにこういう。
「そうして麗那をこの学園から出してあげるのよ。だから、絶対に勝つわ!」




