文化祭の始まり
そして時は流れ、文化祭の本番の朝になった。
文化祭は二日間に渡って行なわれ、一日目は出店である。
僕は今日のために、保険室で着替えができるよう周囲にかけあっていた。
なので準備をした上で、安心して女子制服で登校できる。
そう思いながら部屋で手記を書いていると、僕の部屋のチャイムが鳴る。
「ちょっと待ってて。今行くから」
僕はそういうと手記を書いている本を閉じ、扉へと向かう。
するとそこには、いつものように泰宏と莉乃の二人が居た。
「二人とも、今日から二日間は気合いを入れるわよ!」
「ええ。秋菜には負けないわ!」
そういう僕達を見て、泰宏はこういう。
「二人ともはりきっているな。その意気があれば文化祭は成功するだろう」
そして僕達は四岸学園に向かう。
すると校門にこの戦国の生徒会長である鳴尾芦花が居た。
「おはようございます!」
「会長がどうしてこんなところに!?」
泰宏の疑問に、芦花はこう答える。
「朝の来客を確認してるのよ。生徒の安全を守るのも会長の役目だから」
「なるほど、熱心なんだな」
そういう泰宏に対し、僕はこういう。
「そのくらい熱心じゃないと会長にはなれないわ」
そうして僕達は教室へと向かい、僕はそこで別れて着替えのために保険室へと向かう。
着替え終わった僕が教室へと戻ると、着替えをしたクラスメイトが居た。
彼らや彼女らに不審感は無いとはいえ、何だか気まずい。
そう思っていると泰宏が声をかけて来た。
「随分似合っているな、秋菜。可愛さに磨きがかかっている」
「ありがとう。莉乃はどう思うの?」
「私のライバルだけあって似合っているわね」
莉乃の言葉が単なるお世辞でないことは表情を見れば分かる。
だからこそ男である僕は複雑な心境を抱いた。
なので、僕は僕自身に今の僕が黄瀬秋菜てあることをいい聞かせる。
「ともかく。出店といっても実際に出るわけじゃないから、といって油断しちゃ駄目よ」
「分かっているさ。莉乃も居るしみんなも居る。だから気を抜くわけにはいかない」
そういう泰宏に対し、莉乃はこういう。
「そういうところは泰宏らしいわね」
僕は泰宏のことを詳しく知っているわけじゃない。
だが、幼ななじみの彼女がそういうならそうなのだろう。
僕もああいうところが泰宏の魅力だということに、異存はないからだ。
ともかく、そろそろ出店が始まるので僕達は最後の準備にかかるのであった。




