過酷な現実
立ちはだかる現実の壁。
いかにして乗り越えるのでしょうか?
― ある日のこと ―
「う~む」
わしは悩んでいた……。文机に肘をのせ行儀悪く考え事中である。
「千熊丸様、なにを悩んでおいでです?」
長頼がめざとく声をかけてきた。
「いやあ、なにか儲かることは無いかと……」
「はあ~、また金儲けの話ですか…(兄のせいで)…
千熊丸様は、三好の若君ですよ。卑しいことを考えないでください!」
「なにを言う、お金は大事だぞ!」
「はいはい、今日は鶴屋吉信 ”京観世”ですよ」 ※この時代には無いかも?
「わ~い、うれしいなボク大好きなんだっ♪」
(若様は、おやつを食べておられる時が一番かわいいです!)
「いかがですか?」
「ふふぉふふぉいふぃ(すごくおいしい)」
「気に入っていただいて、良かったです」
(これ千熊丸、ひとりで喰うな。皆にも分けてやるんじゃ!)
「長頼も食べなよ、あと久秀にものこしておいてあげて」
「若様~」
感激のあまり号泣する長頼であった。
~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~
「はあ~、長頼が来ると千熊丸がしゃしゃり出てきてかなわん。考えが纏まらぬわ」
よく考えてみると、儂は人の話を聞いて裁定したりしてばかりであった。
思いついたことを命令して、まともに金を稼いだことがないな……。
もしかして、儂って意外と役立たずなのでは……。
「ああ、夕陽があかいな~、目に沁みるよ~」
うむ、餅は餅屋というし、元商人であった久秀に任すのが一番かな?
部外者がヘタに口を出すより、お委せの方が上手く行くであろう。
それより、過去の記憶をたどって覚えている事柄を書き写しておこう。
記憶力には自信があるが、何事も用心だ。
一心不乱に、なにかを忘れるように文机で書き物をする長慶であった。
そういえば、儂が捌いた取り調べで不正をしていた奴らが結構いたな……いつからやってたんだろう?
たしか、今井宗久は、武野紹鴎の資産を横領していたな~。
あ、よく考えるとまだ子供か? 『納屋』にはまだ来ていないか?
そうだ、『とと屋』の利休を手下にしてやろう。
あとでやって来る、宗久と一緒に扱き使ってやるわ。
先ずは、不正の疑いのある奴を脅しにかかるとしようか。
「久秀を呼べ~」
かくして、長慶はそれなりの資金と手下をえるのであった。
全ては、起こりうる未来のために……。
― もはや日常?―
”バキッ” 長頼が、事もあろうに兄である久秀をぶん殴った。
”ずざあっ” 盛大にぶっ飛ばされる久秀。
(もはや職人芸である)
「長頼! いきなり何をする?」
「兄上の”悪人顔”が、気にくわないんです! 失礼、ちょっとした挨拶です」
「それをいうな~、私だって気にしておるのだ~ぁ!! というか、挨拶で殴るなっ」
「こまかい男ですね兄上は」
やや見下してように見下ろす、長頼であった。
「こまかくないわっ」
「ほれ!」
ポイと包みを投げ渡した。
「なんだこれは?」
「若君からご下賜されたお菓子です」
「おおお、わかぎみぃぃありがとうございます」
感涙にむせぶ久秀であった。
この久秀が、町中でゴロをまいていたとは、とても想像が付かない。
案外、久秀の”悪人顔”は役に立つのであった。
松永兄弟は、とても仲良しです!




