第四話:チュートリアル2
幼女神様が右手をくいっと動かすと、何もなかった空間に剣や鎧や盾などが写ったパネルのような物が現れた。
縦一メートル横二メートルくらいのパネルが四枚並んでおり、一枚目には剣が、二枚目には鎧が、三枚目には盾がそれぞれ四種類ずつカタログのように写っている。
四枚目のパネルには、なにも写ってなく真っ白である。
後ろが透けているので、実物がそこにあるというわけではなく、さながらホログラムのようにカタログパネルがそこに並んでいた。
(うーん、なんとファンタジー的な)
と大和は思わず感動してしまった。
「もちろんただの一般人としてではありません。転移ボーナスとして、この中から二つ選んで頂き、異世界ペンティアムに持っていけますよ。
剣と鎧というオーソドックスな感じで選んで頂いても結構ですし、厨二っぽく剣を二本選んで頂いても構いません。
それぞれの武具の性能などは、パネルに写った剣や鎧にタッチしてもらえれば説明文がでてきますので」
と幼女神様が説明してくれた。
これはいわゆるチート装備なんだろう。
大和がそれぞれにタッチしてみると
「勇者の剣」「破邪の剣」「暗黒の剣」などといったいかにもな名前とその強力な性能などが表示される。
(まぁほとんどの人が剣と鎧をチョイスするんだろうな。
勇者の剣と勇者の鎧のセットとか破邪の剣と破邪の鎧のセットなら初めてのファンタジー世界でもなんでもできそうだ。)
大和もそんな風に思い勇者の剣と鎧を選ぼうとするが、ふと冷静に考えてみた。
(待てよ。実はレベル的に低い一般人では、強力な勇者セットや破邪セットを選んでも充分な性能を発揮できないんじゃねーの?)
そもそもそんな強力なセットは普通は相応に高いレベルになってから装備するものだ。
もちろんレベルというシステムがあるかはわからないが、言い換えれば沢山の経験を積むと考えてもいい。
そういった経験をつんでないズブの素人では、強力セットを装備しても宝の持ち腐れだろう。
そのへんを聞いてみようとしたら、幼女神様は説明を読めばわかりますよとやんわりと教えてくれた。
もしかしたら勇者セットなどは、勇者でない人間が装備しても強力な性能を発揮しないかもしれない。勇者の剣の説明にも”職種勇者補正あり”とあるし。
(危ない危ない。ここは慎重に撰ばなくては)
大和は考え直しカタログパネルを見回す。
ふと気になって、何も写し出してない四枚目のパネルの所にいってみた。
何も写ってないようにみえるパネルもちゃんと四つに区切られており、どうやらタッチできるようである。
「さすが大和さんは慎重ですねー。ここまできた人はほとんどがすぐに勇者セットや破邪セットを選んで異世界に旅立っていくのに、その四枚目のパネルに気付くなんて」
と女神様が感心したように言って大和を褒めた。
四枚目のパネルをタッチすると、以下の四つのボーナスが表示された。
”貴族の子供に転生”
”王族の子供に転生”
”魔法全属性適正”
”十倍獲得”
上の三つは説明はいらないだろう。大和は最後の”十倍獲得”にタッチして説明を読んでみた。