第三話:チュートリアル
「どうです?」
幼女神様は、当然いくでしょみたいな感じで聞いてきた。
「いやいやいや、そんなふわっとしたテキトーな説明じゃ誰もいこうとしないでしょ。
もうちょっとちゃんと説明してくださいよ」
大和は呆れた口調で幼女神様にもっと詳しい説明を求めた。
興味はあるのだ。大和とて男である。剣や魔法で魔物をやっつけるファンタジー小説を読んだりもする。
目の前の幼女がホントに神様かはわからないが、今の状況が普通ではないのは理解できる。
ファンタジー世界の話をすべて信じたわけではないが、そんな世界がもしホントにあるのなら、正直行ってみたいと思ってたりする。
大和は今の自分の状況、高校を卒業して大学に行くということに少し疑問を感じていたのだ。
贅沢を言ってるのは自分でもわかっているが、特にやりたいこともないのに大学に行くことに、大和はあまり意味を見いだせなかったのだ。
そんな大和だからこそ、この幼女の話には興味があったし、もっと詳しく聞いてみたかったのだ。「大和さんは意外と慎重派ですねー。私は今まで結構な人数を今話している異世界に送り込んできましたが、ほとんどの若者は今話した感じで
「行きます」
と決断してくれましたよ。
大和さんはヘタレですねー」
幼女神様は、人を小バカにした感じで少し微笑みながら言ってきた。「では、続きは質問形式にしましょう。大和さんが聞きたいことを質問してみてください」
と幼女神様が言ってくれたので、大和は聞きたかったことを聞いてみることにした。
大和の質問と幼女神様エムの答えをまとめると、だいたい以下のような感じである。
まず異世界の名前はプラティウムといい、五つの国で構成されてるらしい。地球で言うところの中世くらいの生活環境で貴族社会が成り立っているとのこと。それぞれの国をそれぞれの国王が統治し、その中で、貴族が侯爵領や伯爵領といった形で細かく治めてるそうだ。
大和はさらに、それぞれの国の特徴や住んでる人たちについても聞きたかったが、そういった細かい情報は自分の目で見て耳で聞いて判断して欲しいと言われた。
幼女神様いわく、神族であるエムの一方的な意見を聞いて、先入観を持ってほしくないとのこと。
しかしエルフやドワーフといった、みんな大好きファンタジー種族はちゃんと存在すると教えてくれた。なんとワクワクする情報だろうか。今すぐ行きます!と応えてしまいそうだが、まだ大事なことを聞いてない。
「まさか、一般人としていくわけじゃないよな?なんか転移ボーナスみたいなのが有りますよね?」
と大和が聞いてみると
「それではここからが本題です」
と幼女神様が言いながら右手をくいっと動かすと、何もなかった空間に剣や鎧や盾などが写ったパネルなような物が現れた。