第一話:プロローグ
市川大和は肌寒さで目をさました。眠たい目を擦り辺りを見回してみる。
(何処だここ?)
明らかに自分の部屋ではなかった。てゆーか室内ですらなかった。
辺りは真っ暗で、自分は草原のような丘の上で寝ていたらしい。
前を見ると、城壁に囲まれた都市のようなものが斜面の先に見える。
後ろを振り返ると、不気味な感じのする広大な森だ。
大和は自分の服装を見てみると、ラフなTシャツに黒いジーンズといういつもの外出着だった。どうやら着替えずそのまま寝てしまったらしい。
(ナンダこれ?ドユコト?)
大和は覚醒しつつある頭で、思い出してみる。思い当たることがあった。
(あれは夢ではなかったんだな)
市川大和は、18才の高校三年生だ。
近くの高校を卒業し、県内の国立大学に入学することが決まっている。
今は進路も決まりのんびりしてる時期なのだ。
進路の決まった同級の連中は、卒業旅行なんかにいったりして楽しんでるが、大和は一人で毎日プラプラしていた。
いろいろ誘われたが、なんとなく行く気がしなかったのだ。別に友達がいないとかではない。仲が良い奴も何人かいる。ただなんとなく気分がのらなかったのだ。
今日も近くの弁当屋で買ったハンバーグ弁当を食べて、部屋でずっとネットしていた。動画を見たりいろいろだ。(健全な18才らしく)
ちなみに大和は、アパートに一人暮しだ。両親は高校に入ってすぐ交通事故で死んでしまった。
酔っ払い運転のトラックが対向車線に突っ込んで来て、両親の乗った車は避け切れなかったのだ。即死だったらしい。
両親の死後、親戚や祖父母が引き取ろうとしたが、事故相手からの見舞い金やら両親がかけていた生命保険やらで結構な金額が大和のものとなったので一人暮らしをすることにしたのだ。もちろん未成年なので、弁護士に財産管理してもらった上でだが。
パソコンのしすぎで目が疲れたので、ちょうど観ていたアニメ動画が終わったところでベッドに寝転がった。寝るつもりはなかったがそのまま眠ってしまったらしい。
「市川大和さん。市川大和さん。聞こえますか?」
大和は誰かに呼ばれたような気がしてそちらを見ると、眩しいひかりの中に幼女がたっていた。