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人事担当 黒内 史佳

一連のシリーズ物なので、登場人物紹介させてください。

(なんでしたら、他の作品もお読みいただいても・・・・汗


貴船 珠洲香・・一応、主人公?新人消防士

         この話は彼女が初任研修中の時の話になります。

黒内 史佳 ・・消防局人事担当者。

         珠洲香に違和感を覚えた担当官。

杉崎 詢子 ・・精神科医。カウンセラー。

         消防局の心のケアをしています。

         この人の語りとして、書いていきます。

「ほんとに、止めなきゃな」


 あたしは独りごちた。

 右手には短くなったタバコ。

 健康上の問題点を指摘されても、税金がびっくりするほど高くなっても、止められない。


「健康かあ・・・」


 手にした人間ドックにこいという知らせをゴミ箱に投げ入れる。


「医者の不養生たあ、このことよね」


 わかっている。行ったほうがいいのはわかってる。でも、行ったところで・・・・

 ふうーと煙を吐く。

 こいつ以上のつきあいは、史佳だけだなあ。

 そんなつぶやきを聞いたら、史佳は、喜ぶだろうか、いやがるだろうか。

 いや、あたしたちの腐れ縁について、「やれやれ」って顔をするだけだろう。

 内心はうれしいくせに、それを誤魔化してるだけ。

 小学校から高校まで、同じ学校で、ライバル、時々は親友だったのだから。


「やばいな・・・」


 あたしはつぶやく。

 だいたい、こういうことを考えていると、電話が鳴るもんだ。

 それも、史佳からの。

 そう思いながら、窓の外を見る。

 いつ降り出すかわからないような、曇った空。


 彼女が消防局に入ったというのも、驚いたが、

 数年前に人事担当者に抜擢されたと聞いたときは、もう、言葉が出なかった。

 あの、彼女に、そんなこと、できるのか?

 でも、心のどこかで、彼女ならやるだろうなと思ったことも事実だ。


 彼女とは黒内くろうち 史佳ふみか。32才。独身。

 高校の時の彼女は、表の顔は先生に受ける優等生で、

 裏ではタバコもお酒もやってるような、ワルだった。


 でも自分が正しいと思うことだったら、

 相手が男だろうと女だろうとおかまいなく、

 教師だろうと年上だろうとひるまない、

 全力を尽くすような奴・・・いや、女だった。

 知力、行動力、なんと言っても胆力。どれをとっても一級品だと思ってる。

 あたしなら、いますぐに彼女を消防局長にしたっていい。

 まあ、あたしの意図で消防局の人事が決まることはないのだけれど。


  だが、彼女にしてみれば、あたしの方こそ、意外かもしれない。

 史佳の裏の顔を知ってて、思い切り反発してて、

 ケンカして、ぶつかりあって、

 なんでも張り合ってたあたしが、

 あの、ワルが、精神科医でカウンセラー?

 人の精神より自分の精神、分析する必要があるんじゃないのか?

 と、何度言われたことか。

 冗談半分ではあったけど。


「ふ、ふふ・・・」


  一人で思い出し笑いをした。

 その、ワルの名残が、右手で細い煙をあげている。


 思ってたようには携帯は鳴らなかった。

 そのかわりに、本人がいきなり現れた。

 「やれやれ」という顔をして。

 肩についた水滴を払っている。

 とうとう、降り始めたようだ。


「ま、立ってるのも何だし、座んなよ」

「はい」


  声に応えて、史佳が応接セットに腰掛ける。


「何か飲む?って昼間っからアルコールの訳、ないよね」

「うん、コーヒー。詢子とあたしの分」

「了解」


 相変わらず、対応は丁寧。

 表情はにこやか。

 でも、その表にだまされると後でえらい目に遭う。


  酒でもそうだった。

 にこやかな史佳にだまされて、何度、飲み過ぎたことか。

 史佳に言わせれば、どれだけでもつきあうあたしにまいったそうだけど。

 泥酔した二人で、何度朝を迎えたことか。

 でも、それすらもおもしろかったなあ。

 顔に笑みが浮かぶ。


  コーヒーの刺激的なにおいが部屋に漂う。

 コトリと音を立てて、カップをテーブルに置く。

 あたしもいすに座ると、二人してゆっくりと味わう。

 何も言わない、何も聞かない。本降りになってきた外の雨音が聞こえるぐらい。

 でも、これが二人にとっての、準備の時間。

 こうやって、心の準備を済ましたら、さあ、開始だ。


「消防局のお偉いさんが、こんなところで暇してるわけにはいかないわよね」

「あたしはお偉いさんじゃないです。お偉いさんといえるのは、消防監以上の人ですね」


 これだけの会話で気分がわかる。

(苛立ってるわね。史佳)

 ほほえむと、それがさらに史佳のいらだちを高めたようだ。


「あたしは苦労が多いわりには、報われない人です」

「そういう、愚痴をこぼしにきたのかな?」

「そんな訳はありません」


 史佳はそういうと、持っていた書類袋をテーブルに置いた。

 履歴書。添付されている写真。その他の書類。

 ほかの書類は無視して、あたしは写真を手に取った。

 女子高生。高校の制服に見覚えがありそうだ。市内の高校だろう。

 別にどおってことはない、どこにでもいそうな娘。

 ちょっと気になるのは、暗めの瞳。

 生気を失っているように見えるのは、先入観のせいかな?

 あたしのところに持ち込まれる以上、何かしら問題ありの人物なのだから。


 もうきっと何回も読んで、すっかり暗記しているのだろう。

 史佳が諳んじる。


「名前は貴船 珠洲香さん。18才。高校をこの春卒業。

消防職の三種で受験。筆記試験の結果は良好。体力テストは並。

健康診断では問題なしだけど・・・・」

「だけど?」

「自傷行為と思われる傷がありました」



 この話を書いておかないと、「ずずと出会うこと」の続きが書けないことに気が付きました。(汗  相変わらず、話の作り方が下手ですが、おつきあい下されば、幸いです。


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