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婚約破棄された令嬢、処刑寸前で嫌いな彼に救われる~冷血公爵様の溺愛が止まりません!~

作者: クラル
掲載日:2026/09/26

最後まで読んでくださると嬉しいです!

時は、王立学園卒業パーティー。


「お前との婚約を速やかに破棄し、処刑とする!」


王太子ヴィクトールはその婚約者であり公爵令嬢のエレナはパーティーの中心で怒鳴られていた。


ヴィクトールの後ろにはエレナの義妹であるクロエが泣いている。


「私がいったい何をしたとおっしゃるのかしら?」


エレナは扇で口を隠しながら言う。


「お前は自覚がないのか!?信じられない…クロエの教科書やドレスを破き、使用人の真似事までさせたそうじぁあないか!」


ヴィクトールは、エレナに人差し指を突き立てる。


(それは、私のことではないの?あぁ、そう言うことね…いつも通りの。もう考えるだけ無駄か…大人しくクロエに譲りなさいと言うことかしら?ねぇ義母さま。わかりましたわ)


エレナの顔が一瞬にして無表情へと変貌する。


「わかりましたわ。お受けいたしましょう」


エレナは扇を畳み、カーテシーをして会場から去る。


◇◇◇


「はぁ…」


エレナはテラスに出た瞬間に大きなため息をつく。


「エレナも馬鹿だろ」


そこへ、エレナの幼馴染であり4歳年上の公爵・レオンが現れる。


エレナは事あるごとに何か言ってくるレオンのことが嫌いだ。


「何がよ?」


エレナはレオンを少し睨む。


「まぁまぁ、そうカッとなるな。どうせ濡れ衣なんだろ?そんなことのために命をかける馬鹿がどこにいると私は言いたいのだ」


レオンのごもっともすぎる意見にエレナは言うすべもなく黙る。


(相変わらず勘が無駄に鋭いわね…ちょっとは心配とかないわけ?信じられないわ!)


テラスに冷たい夜風が吹く。


先に沈黙を破ったのはレオンの方だった。


「お前はなぜ言い返さないんだ?」


レオンはエレナの方を見ずに言う。


「そんなこと言ったって…」


(どうせ家で怒られるだけよ。もう、うんざりなの)そう言いたかったが、レオンの手前言えない。


エレナは黙る。


「俺も腹を括らないとか…」


レオンはボソリと言う。

エレナは、その声に反応して顔を一気に上げる。


「え…???」

 

そのままレオンは何も言わずに会場へと去って行った。


「なんだったの?アレは…」


◇◇◇


「ふん!哀れだな…最後まで己のしたことを後悔するがいい!」


ヴィクトールは、横にいるクロエを抱き寄せながら言う。

 

(さようなら…私の今世!来世では幸せになれますように…)


エレナは、そのまま処刑台へと静かに登っていく。


「早くしろ!」


衛兵からは怒鳴られ、たくさんの群衆に見られている。


「紐を下ろしてくれ!」


ヴィクトールは言う。

その横でクロエは笑っていた。


(黒幕はクロエ…?いや、義母さまよね…ヴィクトールは利用されただけかしら?少し頭がお花畑すぎたのではないの?)


その時だった。


「待ってくれ!」


1人の男の声がする


「レオン…?」


そこには、いるはずのないレオンの姿があった。


「なんだ!」

「止めろぉ!」


衛兵がレオンに向かって剣を振りかざす。


「やめてぇぇぇぇ!!!」


エレナはその様子を見て涙を浮かべる。


「うわぁぁ!!!」

「ひっ!」

「来ないでくれぇ!」


レオンは、隠し持っていた細身の剣で衛兵をなぎ倒す。


だが、手や足を少し切られたほどであまり出血はない。


(殺す気はないの?目的は…何?)


エレナの周囲にいた衛兵もレオンの元へと走っていく。


「誰か!止めろ。あの化け物をっ!」


ヴィクトールは、衛兵に命じる。

だが、衛兵は誰も彼もが怖気付き、近づきもしない。


「おい、ヴィクトール!俺はお前に失望したぞ」


レオンは頬についた血を指で払いながら言う。


「来るなぁ!レ、レオンッ!お前の目的はなんだ」


ヴィクトールは腰が抜けてその場にへたり込む。

その後ろではクロエが震えていた。


「あぁ、目的?それは、俺のお姫様を攫うためさ」


(レ…オン?何言ってるの?私は罪人よ?)


周囲がざわめき、どよめく。


「この刃は邪魔だな」


そう言うと、刃を吊っていた紐を刀で切り落とす。


そして、刃が真っ逆さまにエレナの元へと落ちる。


ドカッッッ!!!


「逃げようか!騒ぎが大きくなる前に」


レオンはそのまま、エレナに自分のマントを羽織らせてお姫様抱っこで走る。


「待て〜!」

「止まれ!」


すぐ後ろには衛兵が追ってくる。


「レオン!怖いから降ろして」


エレナは、レオンの肩を叩きながら言う。

その眼は潤んでいた。


「口を閉じろ。舌噛むぞ」


レオンは、笑いエレナを強く抱きしめる。


「へ…?」


レオンはそのまま塀を飛び越え、反対側の路地に入り込む。


「転移!」


シュン!!!!


「ここは?」


エレナはきょろきょろとあたりを見渡す。


そこは母国ではない大きな町。

聞こえている言葉は母国語なんかではない。


「まさか……ハルト様のところですか?!」


エレナはハッとする。


実は、レオナルドには出来のいい弟がいたが跡目争いになってしまい、自ら隣国の王女に嫁ぎ今は伯爵となっているのだ。


「正解だ。しばらく匿ってもらう。まさか、跡目争いをするほど仲が悪い弟のところにいるとは思うまい」


その話を聞き、エレナは唖然とする。


当然だ。


この兄弟は仲がとっても良いのに、周囲のせいで跡目争いになりかけ弟であるハルトが兄のレオンと戦うのは嫌だと言い、家を飛び出したのだから。


エレナはふと思った。

(ブラコンは健在かしら?)


「そうね……」


◇◇◇◇


「兄上!!!」


そのまま、再び転移魔法で飛びながら伯爵邸の前に着くと、そこにはハルトとセリナの姿があった。


エレナは慌てて降りる。


「お久しぶりですわ。セリナ様、ハルト様!」


エレナは礼をする。

だが、セリナの顔が青ざめている。


(いったいどうしたのかしら?)エレナとレオンはわからず混乱する。


「兄上ぇ?とりあえずさ、服着替えて何とかしてきて?」


ハルトのその声にレオンとエレナは己の服を見る。

すると返り血が付いていた。


エレナは、(まさか!)と思い、マントを触る。

すると、赤いべとっとしたものが付いていた。


「あぁあぁぁ!!!」


エレナは、大きな悲鳴を上げた。


「皆さまをご案内して差し上げて?」


セリナは、メイドたちに命じる。


そのまま、あれよあれよという間に着替えさせられて食卓へと向かう。


「お疲れ様です!兄上、エレナ様!」


エレナはあまりにもレオンと席が近いことに気が付き、使用人に頼み離してもらう。


ガシッ!!


レオンの手が、エレナの椅子の背を掴んで引き戻した。


「逃げるな!」


「に、逃げてませんわ!」


「なら座っていろ。俺の隣に!」


(な、なんなのよこの人……!いつも嫌味ばかり言ってきたくせに!)


「まぁまぁ、グラスを.......」

「すまない。ありがとう」


ハルトはニヤニヤしながらレオンにワインを注ぐ。


「兄上、顔が緩んでますよ。エレナ様を連れてきたのがそんなに嬉しいんですか?」


「黙れ。お前はすぐ、調子に乗る」


レオンの声は冷たくなんの感情も乗っていない。


「はいはい、わかってますって。兄上の『長年の片想い』を邪魔する気はありませんよ」


「片想い!?!?!?」


エレナはハルトのその発言を聞いた瞬間椅子から転げ落ちそうになる。


レオンはハルトを軽くにらむ。

そして、深呼吸をした。


「片想いではない。今日から両想いだ」


「え……?今なんと?」


エレナは、その場に固まる。


「俺が助けたそして、お前は俺に抱きついた!つまり両想いだ」


レオンはどや顔で言う。

その様子を見たセリナは視線をハルトへと向け二人の肩が震えだす。


「抱きついてませんわ!あれは転移魔法せいで……!」


「泣いていたのは事実だろう?」


「ぐっ……!」


レオンは、エレナの手をそっと取る。

その仕草はあまりにも自然だ。


「エレナ。俺はずっとお前のことを知っているのだ。何もかも」


「……え?」


「お前が義母とクロエに虐げられていることも。ヴィクトールが愚かで、お前を利用していることも。全部知っていた!」


レオンの声は低く、怒りを押し殺していた。

だが、どこか後悔の色がある。


「だから今日、俺は決めた。もう二度と、お前をあの国に返さない」


エレナは先ほどからずっとフリーズしている。


「お前は俺のものだ。俺が守る。俺が幸せにする」


「な、なにを……!」


「嫌か?」


レオンは、エレナの頬に触れた。

その行動に、エレナは反射的に目を逸らす。


「……嫌じゃ、ない……かもしれませんわ!」


エレナが、小さく呟いた瞬間レオンの表情が、今まで見たことのないほど柔らかく崩れた。


「……そうか。よかった」


(な、なんなのよ……この人……!いつも私に冷たかったのに……こんな顔、初めて見たわ……)


ハルトはニヤニヤしながら先ほどレオンに継いだワインを今度は自分自身につぎ飲む。


「兄上、よそでは見せないでくださいね?印象が崩壊しますから……」


「うるさい。黙れ」


レオンはエレナの手を離さない。

そして、一呼吸置きエレナを見つめて言う。


「エレナ。あの国はもうすぐ滅ぶ」


「え……?」


「お前を失ったことで、王宮の仕事は回らない。さらに俺が敵対宣言を出した。ヴィクトールもクロエも、お前の義母も……全員、地獄を見るだろう!」


レオンの瞳はエレナをまっすぐ見つめる。


「お前を傷つけた者は、全員俺が潰す」


エレナは複雑な感情に押しつぶされそうになる。


(レオンは大丈夫なの?そんなことをして……爵位は?領地は?領民は?私のことだけではなくて、自分のことも考えてよ!)


「だから安心しろ。お前はもう、誰にも奪わせない」


レオンはエレナの手の甲に、そっと口づけた。


「俺の姫。今日からは、俺の隣で生きろ」


エレナの心臓は、爆発しそうだった。


(な、なにこれ……甘すぎる……!嫌われていたと思っていたのに……こんなの……反則でしょう……!でも、国に残してきた人はどうするの?)


エレナはそんな疑問を抱く。


ハルトが笑いながら言う。


「エレナ様、覚悟しておいた方がいいですよ。兄上の執着は本気ですから」


レオンは即答した。


「当然だ。俺はエレナを一生離さない」


エレナは真っ赤になって俯いた。


その瞬間、レオンは満足そうに微笑んだ。


「ところで、レオン……爵位はどうしたのですか?」


レオンにエレナが率直に聞くと、レオンは視線を一瞬外す。

そして、ぼそぼそと何かを口走る。だが、あまりにも小さすぎて聞こえない。


「はっきりおっしゃって?」


「隠居した父上と母上に丸投げしてきた...手紙を出したから大丈夫だとは思う.......」


レオンは自信がなさそうに言う。


「ふっ、あははあはは!!!!うそでしょ!兄上が?責任感の強くて、頑固で大変なあの!お疲れ様ですとしか言いようがないね!」


ハルトは限界が来たのか、椅子から転げ落ちるような勢いで笑いだす。


「よせ...」


レオンが言ったその時の顔がそれはそれは珍しい照れ顔で、みんなが笑う。


「やっぱり変わってないわね!レオンは!」


◇◇◇◇

王宮では...


「クロエはどこだ!」


ヴィクトールがクロエを探していた。


「すみません!王妃教育から逃げたもようです!」


近衛兵のうちの一人が走って来る。


その知らせを聞いた瞬間ヴィクトールは書類を握りつぶす。


「どうしてだ!エレナならばっ!それに、なんだこの書類の山は!!!」


ヴィクトールは机の上に6つの大きな高い塔になっている書類を見て愕然とする。


「エレナを探せ!連れ戻せぇ!」


ヴィクトールは、そのまま部屋を飛び出す。


「さすがレオン様...予測的中ですか。こんな主に仕える気なんて僕はありませんよ...」


そう先ほどの近衛兵が言う。


◇◇◇◇


「今日は飲むぞ~!」


レオンは、ワイングラス片手に浮かれている。


「25年物を取っておいてよかったね。義父様が『いつか飲め』ってくださったけど、まさか兄上の祝いの席で飲むとは思わなかったよ。でも、こういう場にこそ、あのワインはふさわしい!本当に、感謝しないとだね、セリナ!」


ハルトはボトルを見ながら言う。


「そうね……こういう時は感謝しかないわね」

読んでいただき、誠にありがとうございます。


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最後のハルトとセリナの台詞が??です…
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