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第3話:「地下室の暗号と封印の扉」

放課後の校舎は、静まり返った廊下にわずかに風の音が混ざるだけだった。前回の文化祭展示物盗難、そして部活日誌紛失事件から数日、学園内は一見平穏を取り戻しているように見えた。しかし、影の奥に潜む何かは、静かに動き始めていた。


「翔くん、沙奈ちゃん、お願い!」


探検クラブ部長の小林陽菜が、息を切らして廊下の角から駆け出してきた。彼女の手には小さな紙片が握られている。


「地下室…あの古い部分に、封印された箱があるはずなんです。でも、扉が施錠されていて開かないんです!」


翔は瞬間記憶能力で校舎の古い構造を思い浮かべる。地下室へ続く階段、狭く曲がりくねった通路、そして以前沙奈と共に見つけた秘密の通路の位置。すべてを頭の中に描きながら、現場の状況と照合した。


沙奈は部員たちの表情と手の動きを観察する。陽菜は明らかに焦っているが、微妙に隠していることもあるようだ。


「落ち着いて。まずは現場を確認しましょう」

翔の低い声が、廊下の緊張をわずかに和らげる。


地下室の扉は重く、古びた鍵がかかっていた。だが、扉の周囲には埃や微細な傷が残されている。翔はそれらの痕跡を記憶し、どこから誰が触れたかを瞬時に分析する。


「この傷…最近のものだ。誰かが無理に開けようとした痕跡だ」

翔はそう呟き、手を壁に沿わせながら周囲を確認した。


「扉の仕組みと、この暗号…つながっているはず」

沙奈は壁に書かれた謎めいた文字を指差す。微妙な線の傾きや文字の大小が、単なる落書きではないことを示していた。


二人は部員と協力し、暗号の解読を開始する。文字や線の配置、壁の微細な凹凸を翔が瞬間記憶で整理し、沙奈は部員や教師の心理的反応から補助情報を引き出す。


「なるほど、この順序で操作すれば扉が開くはず」

翔の指が、扉の小さな凹凸と仕掛けをなぞる。慎重に順序を確認し、一つ一つ回転させると、重い扉がかすかに軋む音を立てて開き始めた。


中は狭く暗い。埃と湿気の匂いが漂う。沙奈が先に足を踏み入れ、翔をサポートする。足元には古い板が軋み、微細な落書きや手形が散らばっていた。翔はそれらをすべて記憶し、誰がどの順番で通ったのかを推測する。


「ここを通って誰かが箱を動かした痕跡がある…でも完全には成功していない」

翔は小さな声で呟く。箱は地下室の奥、隠し扉の向こうにあるはずだ。


沙奈が部員を心理的に誘導すると、ついに隠し扉が解錠され、古びた木箱が姿を現す。


「これが…学園の過去の秘密?」

陽菜の声が震える。箱の中には古い資料や手紙、学園の歴史に関わる情報がぎっしり詰まっていた。


「小さな事件のように見えるかもしれない。でも、この箱には、学園全体に関わる秘密が眠っている」

翔は微かに笑みを浮かべながら言った。


沙奈も頷く。

「ええ。前回の秘密の通路とつながっているわ。まだ見えない影が、学園のどこかにいる…」


夕陽が地下室の窓から差し込み、埃の粒子が光を反射してキラキラと舞う。翔と沙奈は、静かに次の事件への兆しを感じ取った。


学園の奥底に眠る影は、まだ動き始めたばかりだった――。



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